割り切ったスペックでの走りはどのジムニーとも違うフィーリング!【ジムニー高速化プロジェクト #004】

低速トルクアップに割り切ったECMセッティング! ジムニーの概念を覆す走りは特筆

低回転域のトルクの細さがJB64の弱点と言える。そこに注目し、あえて他の部分を無視し、低速トルクアップに特化したECMデータを製作。このセッティングはかなり実戦的なのである。

通販可能なキットパッケージ、レーシングプラグが同梱!

ビッグフットスタイルのジムニーカスタムで中古コンプリート販売を行っている九州、大分県のナンブオート。JB64のパーツ開発も積極的に行っており、オリジナルのサスペンションが全国的に好評。そんなナンブオートがオリジナルのECMを開発。製作自体はデータ製作会社に依頼しているのだが、納得するまでかけた開発期間は半年以上。よくあるつるしのデータをオリジナルと言っているのとは訳が違う。

注力したのはアイドリングから4000回転までのトルク特性。あえて最大出力、最大トルクにこだわらず、この領域の出力をあげることに注目し、何度もやり直したのだそうだ。ここで、なぜこのポイントに注目したのかを川端氏に聞いてみた。「ウチではカスタムを進める際、大径タイヤ装着が基本的に多いんです。さらに、クロカンを楽しむユーザーも多く、この領域のパワーがどうしても欲しかった。現行ジムニーってここ弱いでしょ? ここさえパワフルなら様々なアクティビティの荷物を満載した場合でも出足が遅いとか、半クラッチがたくさん必要とかそういうトラブルがなくなってみんな乗りやすくなると思ったんです。製作依頼しているところが、かなり苦労するけどなんとかなるって言ってもらえたので、頑張りました」とのこと。実際に完成車に乗ったのだが、JB64特有の2700回転前後の谷を一切感じずに回転が立ち上がっていく。明らかにアイドリングから4000回転までのトルクが強い。このフィーリングは、筆者が今まで乗ったどのJB64とも違う。明らかに低回転域がパワフルなのだ。

今回の車両はノーマルギヤ比で215/85R16という大径タイヤを装着している。しかし、ハイギヤを全く感じさせず、スムーズに走ることができる。この割り切ったスペック、筆者はかなり好きだ。

自分が欲しい特性をオーダーし、完成!

かなり割り切った仕様で、JB64用のECMを製作した川端専務に「低速トルクをとにかく増やしてというオーダーはよくわかるんですが、最大トルクや最大出力に対してのオーダーもしなかったのはなぜ?」と聞いてみた。「簡単ですよ、乗りにくくなるんです。一般の方の使い方で考えると、大径タイヤ装着で、まず低速トルクが欲しい。その仕様でロングドライブを行おうとした際、高回転域で過敏なレスポンスはクルマの動きがギクシャクしてしまう。最大出力はどうしても高回転域で発生します。だから最大出力に関してはこだわらなかったんです。それよりも、普段使いとクロカンでの使い勝手と、早めのシフトでの速度のノリを重視しました。結果、この仕様かなり速いですよ。それもレッドゾーンまで引っ張らなくても良いんです」とのこと。言われてみると、確かに! と納得できる。実際に乗ってみると、215/85R16という大径タイヤを装着しているにも関わらず、早めのシフトが可能で、確かに速度のノリが速い。大径タイヤを装着することで、最終減速比がハイギヤとなり、メーター速度より実際の速度が上がる。回転数が低い状態で速度が出るのだ。

この状態では通常なら上り坂などで失速するのだが、ナンブオートのECM装着車は失速しない。アクセルを少し踏むだけで、巡航がキープできる。それどころか加速してくれるのだ。その際に過敏すぎず、一定速度走行が容易。川端専務の読みがバッチリとハマっている。

このチューニングアプローチ、筆者的には今まで聞いたことがない。チューニングイコール出力アップという図式で、速いクルマが正義という固定概念がある。正直、販売にあたってのアピールとしてもちょっと弱い気がするが、本来一般ユーザーが求めているパワーアップとはこれなのでは。

NANBU AUTO (ナンブオート)】

ジムニー高速化プロジェクト まとめはこちら

HYPER REV(ハイパーレブ) Vol.277 スズキ・ジムニー&ジムニーシエラ No.14より

[スタイルワゴン・ドレスアップナビ編集部]

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