“大トリ”を務める『クラウンエステート』は大人のアクティブキャビンだった!!|新車レビュー

日本車の歴史を語るのに外すことのできない高級車「クラウン」。
その16代目となるこの最新クラウンは、2022年に4車種展開というサプライズでワールドプレミア。
そして先陣を切り、2023年に「クロスオーバー」、その後に「スポーツ」「セダン」と投入され、この2025年に大トリを飾るカタチで「エステート」がデビュー。
先代のエステートでは、ステーションワゴンとして人気を博していただけに、この新型に期待していた人も多数。
いよいよ全貌が正式公開となった「エステート」の魅力をじっくり見ていこう。

シリーズではなく「群」といて開発されてきたクラウン

トヨタでは4つのクラウンを「シリーズ」ではなく「クラウン群」と呼ぶ。「もっといいクルマづくり」を基本に、新プラットフォームYNGAを開発し、組織は「カンパニー制」を導入。その結果、クルマを単一開発だけに留めず、「群」として開発ができ、ユーザーニーズには「群戦略」で提供していくスタイルができたと自画自賛している。

つまり、多様化するニーズには、車両も多様化する必要があり、クラウンは4つのモデルを製作し、多様なニーズに応えていく。その大トリを務めるのが「クラウン・エステート」というわけだ。

開発の背景には「大人のアクティブキャビン」というワードがあり、既存のクラウンの価値や固定観念では発想・理解できない、新しいクラウンエステートが誕生している。

エステートのラインアップはE-Four・AWDのみ。最低地上高は165㎜〜175㎜で、アウディのオールトラックやメルセデスのオールテレインのような都市型クロスオーバーだ。エンジンはハイブリッドとプラグイン・ハイブリッドの2タイプ。FFをベースとするGA-Kプラットフォームを採用し、エステートの個性がぼやけない製品企画といえる。

2.5Lのガソリンエンジンは、A25A-FXS型でハイブリッド用に開発した41%の熱効率を持つ環境エンジン。このエンジンにモーターを組み合わせたハイブリッド(Zグレード)と外部充電が可能なPHEV(RSグレード)をラインアップしている。

ただし、HEVのエンジンはPHEVよりエンジン走行領域が広いため、出力を上げ、PHEVの177㎰に対して190㎰とし、トルクも219Nmに対し236Nmとなっている。

前後モーターはHEV、PHEVともに共通で、フロントが5NM型で134kW(182㎰)/270Nm、リアが4NM型40kW(54㎰)/121Nmとなっている。ただし、エステートハイブリッドのフロントモーターは、クロスオーバーやスポーツに搭載されるフロントモーター(3NM型)よりは高出力にしてある。その理由は車重が関係し、クラウン群の均質な走行性能とするための気遣いともいえるものだ。

今回は上位グレードの「RS」を試乗。PHEVは、86㎞までEV走行が可能で市街地はすべてEV走行だった。高速道路での合流ではエンジンが稼働したものの、巡航するとEV走行に切り替わった。静粛性は非常に高く、EVの魅力である反応の良さと力強さもあり、クラウンらしい品位を感じさせる。

そして幅広大径タイヤを装着しながらも、しなやかな乗り心地も見事だ。クラウンが持つ品格と質感の中では、特に後席の乗り心地に配慮した「リア・コンフォートモード」はエステートならではの装備だ。

これは4輪操舵機能のDRSと連続可変ダンパーのAVSを連動させ、さらにアクセルを踏み込む速度や量を連動させているため、車体のピッチングや揺れを抑える制御を行ない、フラットライドを実現している。

エクステリアでは顔が印象的。バンパー一体型のフロントグリルはボディと同色で、個性的でもあり独創的とも感じられる顔だ。さらに水平基調のデイタイムランプを採用したハンバーヘッドフェイスはトヨタの顔として印象付けられる。

エステートの特徴ともいえるラゲッジは、後席を倒すとトヨタ初の2mのフルフラットスペースができ、これまでのクラウンでは想像もできない、車中泊を快適にするキャビンが待っている。アウトドアな道具を満載し、上質な走行性能と品格を備えた大人のアクティブキャビン、それがクラウン・エステートなのだ。


2.5L プラグインハイブリッド車2.5L ハイブリッド車

4WD(E-Four)4WD(E-Four)

ESTATE RSESTATE Z
車両型式•重量•性能
車両型式6LA-AZSH39W-CNXZB6AA-AZSH38W-CNXGB
車両重量(kg)2,080※11,890※1
車両総重量(kg)2,355※12,165※1
最小回転半径(m)5.5
燃料消費率(km/L・WLTCモード)km/L20.020.3
寸法•定員
全長(mm)4930
全幅(mm)1,880※21880
全高(mm)1625
ホイールベース(mm)2850
トレッドフロント/リヤ(mm)1,605/1,615
最低地上高(mm)165175
室内長/幅/高(mm)1,930/1,540/1,200※3
乗車定員(名)5
エンジン
型式A25A-FXS
総排気量(L)2.487
種類直列4気筒
使用燃料無鉛レギュラーガソリン
最高出力〈ネット〉kW(PS)/r.p.m.130(177)/6,000140(190)/6,000
最大トルク〈ネット〉 N•m(kgf•m)/r.p.m.219(22.3)/3,600236(24.1)/4,300〜4,500
燃料タンク容量(L)55
フロントモーター
型式5NM
最高出力 kW(PS)134(182)
最大トルク N•m(kgf•m)270(27.5)
リヤモーター
型式4NM
最高出力 kW(PS)40(54)
最大トルク N•m(kgf•m)121(12.3)
トランスミッション電気式無段変速機
車両価格810万円635万円
※1. パノラマルーフを装着した場合、10kg増加します。
※2. 充電ポート(充電リッド)を全開にした状態の最大値は、2,130mmとなります(社内測定値)。
※3. パノラマルーフを装着した場合、室内高は1,150mmとなります。

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【NEW GENERAION CUSTOM #001 小倉学園 群馬自動車大学校/東京自動車大学校】 東京オートサロンの目玉のひとつといえば、ユニークな発想やアイデアで学生たちが仕上げたクルマたち。 メーカーやショップとは一味違った型にはまらない自由な発想のカスタムで、今年も大いに会場を沸かせてくれた。 そんな次世代のカスタムマイスターたちが手がけた、珠玉のマシンを拝見してみよう!

STYLE WAGON(スタイルワゴン) 2025年5月号 No.353より

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