BMEP(正味平均有効圧)エンジン性能を横比較する指標 国産ディーゼルトップはマツダSKYACTIV-D2.2、ガソリンはスバルFA20DIT[内燃機関超基礎講座]

燃焼が均一だと仮定する | ディーゼルエンジンは同時多点で自己着火するが、ピストンが下死点まで下がり切る膨張行程全体で見れば燃焼圧力はけして一定ではない。プラグ点火・火炎伝播のオットーサイクルはさらに均一性がない。しかし、計算上は「均一」だと考える。
BMEP(Brake Mean Effective Pressure)とは、エンジンの排気量によらずに、トルク特性を横並びに評価するために用いられる理論的な数値だ。エンジン開発の現場では非常に重要な指標である。

【モーターファン・イラストレーテッド Vol.136より転載】

BMEPを直訳すると「ブレーキが示す有効圧力」になる。ブレーキという言葉が入っている理由は、1サイクル中に発生するブレーキトルクをシャシーダイナモで測定しているためだ。これを筒内圧センサーで測る場合はIM(net Indicated)EPと呼ばれる。要は、1サイクル中にエンジンが行なっている仕事がMEPであり、その計測方法はひとつではないということだ。
ガソリンエンジンでの燃焼は火炎伝播で広がる。膨張行程全体で見れば発生する圧力は刻々と変わっている。これを「圧力はつねに一定」と考えて、その累積で示すから「正味」という表現が入る。この数字は馬力でもトルクでもなく圧力値である。排気量の大小もDOHCかどうかも関係ない。だから、エンジンの基本的な素性を知るときに役立つ。
計算は「軸有効仕事量÷行程容積」であり、ここでいう1サイクルの仕事量は「MEP×行程容積」だから、MEPを算出するには出力(W)×出力ストローク毎の燃焼回数(オットーサイクルは2)を行程容積×回転数で除する。エンジン設計現場では重要な数値である。

4ストロークサイクル(オットーサイクル)では計算式というよりも概念で示すとこうなるだろうという私見。専門家の方々には異論ありと思われるが、もっと砕いて言えば出力(W)を排気量×回転数で割ればいい。国産全エンジンのBMEPについては、Motor Fan illustrated Vol.164に掲載されている。
現在国産エンジントップのBMEPは、マツダの2.2ℓ直4ディーゼルターボのSKYACTIV-D2.2。BMEP25.83barだ。
国産ガソリンエンジントップのBMEPは、スバルの2.0ℓ水平対向4気筒直噴ターボのFA20 DIT。BMEPは25.15bar。同じくスープラが搭載するBMW製B48型2.0ℓ直4直噴ターボも25.15barである。
モーターファン・イラストレーテッドvol.164「日本車総点検」
日本車全モデル諸元360°分析 見えた「強みと弱み」
・BMEP(正味平均有効圧)/電動化の比率のその中身
・レシオカバレッジは広がっているのか?
・ディメンション徹底分析/プラットフォーム別車種系譜
・車両カテゴリーとタイヤサイズの関係

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