【世界初】川崎重工がドライ方式「水素専焼」1.8MW級ガスタービンコージェネレーションシステムの販売を開始

川崎重工は、世界初となるドライ方式※1で水素専焼が可能な燃焼器を搭載した1.8MW級ガスタービンコージェネレーションシステム「PUC17MMX」の販売を開始したことを発表した。同社は将来的な水素エネルギーの普及を見据え、水素サプライチェーン(つくる・はこぶ・ためる・つかう)の構築を推進しているが、日本のCO₂発生量の約4割を占める発電分野において、水素を「つかう」ガスタービンは脱炭素化に貢献する重要な製品の一つとされる。

「水素専焼」ガスタービン開発概要

天然ガスに比べて燃焼速度が速く、燃焼温度が高い特性を持つ水素を燃料とした発電設備では、NOx※2排出量の増加や燃焼器部品の過熱などが課題として挙げられます。当社はマイクロミックス燃焼※3と追焚き燃焼※4を独自に組み合わせることで、この課題に対応したドライ方式の水素専焼燃焼器(以下、「本燃焼器」)の開発に成功した。安定的な水素燃焼を実現することで、大気汚染防止法のNOx規制値を超えない低NOx運用が可能とされる。また、水素と天然ガスの混焼運転にも対応しており、水素を体積比で50%から100%までの任意の割合で利用できることから、水素の供給量に応じてフレキシブルに運用することができる。

なお、本燃焼器は、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の「水素社会 構築技術開発事業※5」の一環として、「ドライ低NOx水素専焼ガスタービン技術開発・実証事業」(2019年度~2020年度)、「水素CGS※6の地域モデル確立に向けた技術開発・研究」(2021年度~2022年度)において開発した技術を活用している※7

■注釈

※1 ドライ方式:
水噴射(あるいは蒸気噴射)を行わず、NOx 低減をする燃焼方法。燃焼エネルギーのロスが無いため水噴射方式と比べ発電効率は高くなるが、燃焼温度のコントロールが難しい。

※2 NOx:
窒素酸化物のこと。物が高温で燃えたときに空気中の窒素と酸素が結びついて発生する酸化物であり、光化学スモッグや酸性雨の原因物質のひとつ。大気汚染防止法や地方自治体の条例により排出量が制限されている。

※3 マイクロミックス燃焼:
小さな噴射孔(直径1mm以下)から燃料を小分けに噴射し、多数の微小火炎にて燃料を燃焼させることで局所的な高温部分をなくし、NOx排出量を安定して低く保つことが可能となる。

※4 追焚き燃焼:
マイクロミックス燃焼の下流に燃料を投入して燃焼させる方法。追焚き燃料の調整で、マイクロミックス燃焼を安定させたまま出力を変更でき、NOx排出量を安定して低く保つことが可能となる。

※5 水素社会 構築技術開発事業:
事業名:水素社会構築技術開発事業
事業期間:2014年度~2025年度

※6 CGS:
コージェネレーションシステム(Co-Generation System)の略。電気と熱の両方を同時に供給することができるエネルギーシステム。

※7 ドライ方式水素ガスタービンで、窒素酸化物の大幅削減と水素・天然ガス混合燃料を用いた実証運転に成功。

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