川崎重工:30MW級ガスタービンに搭載する水素30%混焼DLE燃焼器を販売開始

川崎重工が、水素を体積比30%までの割合で天然ガスと混焼し、安定した低NOx運用を実現する30MW級ガスタービン「L30A」向けDLE燃焼器の販売を開始したことを発表した。8MW級「M7A-03D」および1.8MW級「M1A-17D」では、同燃焼器を市場投入しており、今回は3機種目となる。

川崎重工のDLE※1燃焼器は、希薄予混合燃焼※2と追焚き燃焼※3を組み合わせた独自の方式を採用している。希薄予混合燃焼は、燃料を空気と混合してから燃焼させることで局所的な高温部分をなくしNOxの発生を大幅に削減する。追焚き燃焼は、燃料を希薄予混合燃焼後の投入により、メインバーナの燃焼を安定させたままNOxをほとんど生成させることなく出力変更ができる。この燃焼方式を水素の混焼にも適用し、天然ガスと同様に低NOxかつ安定した燃焼を実現した。

また、本燃焼器はガスタービン本体を改造することなく実装が可能である。既存システムの機器を流用しながら、水素圧縮機と燃料混合システムなどを追加するだけで水素を混焼できるため、実績あるエンジンの信頼性を継承したまま水素エネルギーを活用することができる。

川崎重工は、脱炭素社会に向けた水素エネルギーの普及を見据え、水素を「つくる」「はこぶ」「ためる」「つかう」といったサプライチェーンの技術開発を進めている。中でも、水素ガスタービンは、日本のCO2発生量の約4割を占める発電分野において脱炭素化に貢献する、「つかう」分野の重要な製品の一つです。今後もさらなる水素燃料対応のガスタービン燃焼技術の開発を進め、世界の人々の豊かな生活と地球環境の未来に貢献していく。

システムの概念図

【注釈】

※1 Dry Low Emissionの略。水や蒸気の噴射に拠らず燃焼温度を低く制御することで、NOx排出量を削減する方式。

※2 予め燃料と空気を均一に混合した希薄予混合気を燃焼器に噴射・燃焼させる方法。この燃焼方式を採用することで、局所的な高温部分のない均一な温度分布が得られ、大幅にNOxを低減することが可能となる。

※3 希薄予混合燃焼下流に燃料を投入し燃焼させる方法。追焚き燃料の調整で、希薄予混合燃焼を安定させたまま出力を変更でき、NOx排出量を安定して低く保つことが可能となる。

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