「見る」アナログメーターと「読む」デジタルメーター

昔ながらのアナログメーターは直感的に数値が把握できる。デジタルメーターに比べて正確性には欠けるが、日常的な運転にそこまでの正確性は求められない。

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デジタルメーターとアナログメーターの優劣は、表示項目によって変わる。

スピードメーターに関して言えば、変化が比較的緩やかであるためデジタル表示の方が正確な数値を把握しやすい。ただし、これは時間あたりの数値の変化量が少ない場合に限られる。

加速力に優れたクルマなど、短時間で速度が大きく変動するような状況では、デジタル表示された数字は変化を追うのが困難になってしまう。一方、アナログメーターは正確性でデジタルメーターに劣るがこうした変化量は把握しやすい。

とくに、エンジン回転数を表示するタコメーターの数値変動は大きいため、針の動きで直感的に変動量を把握できるアナログメーターの方が適している

このように、アナログメーターは変化量を視覚的に把握しやすく、「見る」だけで現在の相対的な状況が把握しやすい利点がある。

一方、デジタルメーターで正確な数値を知るためには「読む」必要があり、加速が緩やかなクルマのスピードメーターや温度計など、正確かつ変化量が少ない数値を知りたい項目を表示するのに向く。

ただし、デジタル表示でもバーグラフを備えればアナログメーターと同様に変化を示すことは可能だ。こうした表示方法の自由度も含めれば、液晶画面上に表示されるデジタルメーターが優位と言える。

フル液晶デジタルメーターはアナログメーターも表示可能

フル液晶メーターであってもアナログメーターのレイアウトが基本だ。デジタル表示のスピードメーターが補助的に表示されることが多い。

フル液晶ディスプレイを採用したデジタルメーターは、多様な情報を表示可能な点がメリットだ。

物理針を持つアナログメーターでは表示しきれない多彩な情報を表示でき、アナログメーターを模したデザインでスピードメーターやタコメーターを表示させることも可能であるため、ユーザーが使いやすいように設定を変更すればよい。

表示形式に縛られないはずのフル液晶メーターであっても、多くのメーカーがアナロググラフィックのタコメーターとデジタル表示のスピードメーターを組み合わせた表示形態を用意していることから、公道を走行するうえではこのレイアウトがもっとも基本的な組み合わせと言えるだろう。

もちろん、CVT搭載車のようにエンジン回転と速度が同期しないクルマはタコメーターを搭載する意義が薄く、EVのようにエンジンを持たないクルマではそもそもタコメーターが不要だ。

現状、ほとんどのクルマが2ペダルとなりタコメーターが備わらないクルマも増えているため、デジタルスピードメーターがあれば十分とも言える。

つまり、デジタルメーターとアナログメーターのどちらが優れたメーターかは、クルマと使用環境によっても大きく変わるということだ。

アナログメーターは将来的にどうなる?

デジタルスピードメーターを主体としたホンダ N-BOXのシンプルなフル液晶メーター。タコメーターや瞬間燃費などをバーグラフで表示させることもできる。

現状、フル液晶メーターは物理針を持つアナログメーターに比べて高コストだが、デジタル化の進行に伴い、軽自動車にまで採用が広がっている。この流れが加速するにつれて、クルマを取り巻くメーターの変化にはいくつかの道筋が考えられる。

一つは、高いクルマと安いクルマのメーターに明確な差が生まれる道だ。

高額なクルマにはより高精細な液晶ディスプレイが使用され、アナログメーターを模したグラフィカルなデザインや演出にこだわった付加価値の高いメーターとなる一方で、安価なクルマはデジタルスピードメーターを主体としたシンプルで機能性を重視したメーターのみが装備されることになる。

もう一つは、スケールメリットによってフル液晶メーターのコストが下がり、車種間の機能差が縮小していく道だ。そうなれば、車両価格を問わず多くのクルマに同等の機能を持つメーターが搭載されるようになるだろう。

そのなかで物理針を持つアナログメーターは、腕時計のクロノグラフのように装飾され、特別な車種にのみ採用される特別な存在となるかもしれない。