クロスオーバーSUVは乗用車とオフローダーのイイとこ取り

オフロードSUVとクロスオーバーSUVの大きな違いは、フレーム構造の本格的なオフロードSUVとは異なり、乗用車と同じモノコックボディを採用している点にある。
一部例外となる車種もあるが、乗用車をベースとしているため乗り味や使い勝手も乗用車に近い点がクロスオーバーSUVの美点と言えるだろう。
なかでも乗用車に比べて高い最低地上高がクロスオーバーSUVの特徴だ。一般的な乗用車の最低地上高が130mm程度であるのに対し、クロスオーバーSUVは170〜200mm程度が確保されている。
最低地上高が200mm以上確保される場合が多い本格的なオフロードSUVと比べれば低いものの、この高めの車高が雪道での性能に大きく貢献する。
ただし、乗用車にクロスオーバーSUV風の外観や装備を追加しただけで、最低地上高や機能がベースモデルとまったく変わらないモデルも存在する。そういったクルマは当然、雪道での性能も乗用車と変わらない点には注意が必要だ。
車高の高さがもたらす雪道での大きなメリット

クロスオーバーSUVの雪道での性能は、車高の高さと駆動システムに集約される。
車高が高いため、深雪路はもちろん深い轍や段差などでも車両下面が接触しにくい。車高の高さはアプローチアングルやデパーチャーアングルなどの対地障害角の向上にもつながり、雪によるバンパー破損などのトラブルも回避できる。
さらにタイヤが大径かつ、サスペンションストロークやタイヤトラベルも乗用車より大きく確保されているため路面からのショック吸収性に優れる傾向にある。これにより、クロスオーバーSUVは、凸凹に凍った悪路でも安定した走行が可能だ。
また、4WDが選べないクルマも増えているなか、多くのクロスオーバーSUVでは4WDの設定がある点も魅力となる。しかも4WDモデルには、滑りやすい路面での走破性を高めるための高度な駆動電子制御システムが搭載されている場合が多い。
そのほか、ホイールハウスが広く確保されているため、雪が溜まりにくいといった利点もある。ホイールハウス内に溜まった雪はハンドル操作を妨げ、事故に発展するケースもあるため、この点だけ見てもクロスオーバーSUVが雪道に適していることが分かる。
「なんちゃってSUV」や「街乗りSUV」と揶揄される2WDの設定しかないシティユース向けクロスオーバーSUVであっても、特有の車高の高さにより一般的な乗用車と比べて確実に雪に強いクルマだと言える。
それでも過信は禁物!クロスオーバーSUVの性能限界

車高がより高く、駆動制御も特殊な本格的なオフロードSUVと比較すると、クロスオーバーSUVは極端な深雪での走破力やスタックからの脱出性能で劣る。
しかし、モノコックボディを採用するクロスオーバーSUVはオフロードSUVよりも総じて軽量であり、乗り味も乗用車に近いため扱いやすさを損なわない。クロスオーバーSUVは一般用途における雪道にもっとも適したクルマと言ってよいだろう。
ただし、発進時やコーナリング時の「滑りにくさ」といった点では、駆動方式と制御システムに加え、タイヤの性能に大きく依存するため、車種によって大きな差があることは心得ておきたい。
4WDモデルであれば駆動系の電子制御と持ち前の車高の高さが相まって、雪道での走破力は十分と言えるほどに高い。しかし、2WDのモデルの走破力は乗用車に比べてそれほど高いわけではない。
車高が高いぶん、2WDでもそれなりの走破力が備わっているため、深雪でも進んで行ける場面はあるが、一度止まってしまうとそのままスタックしてしまう危険性も高まる。
とくに2WDのクロスオーバーSUVは悪路で無理が効くぶん、限界を超えた際に気づきにくく、身動き取れない状況に陥ってしまいやすい点には注意が必要だ。
もちろん、4WDのクロスオーバーSUVであってもサマータイヤで雪道を走行できるわけではない。また、スタッドレスタイヤやチェーンなど装備を整えた4WDであっても、車体下面が完全に雪と接触してしまうと、どれだけ優れた性能のクルマであってもスタックする点は変わらない。
クロスオーバーSUVは間違いなく雪道での使用に適している。しかしその実、乗用車よりもスタックする「しきい値」がわずかに高いだけであるため、性能への過信は禁物だ。
