金銭面も含めて安心して乗れるミッドシップ軽スポーツ

コンディションを問わなければ100万円程度のS600も出回るようになった。走行距離5万km以下に限定すると、支払い総額で150万円が現在の底値となる。

S660はミッドシップレイアウト(MR)を採用する軽自動車規格のスポーツカーだ。全長3395mm×全幅1475mm×全高1180mmのボディに、最高出力64psを発生する直列3気筒ターボエンジンを後席後方に横置きで搭載。トランスミッションはスポーツモードを備えたCVTおよび6速MTとなる。

サスペンションは前後マクファーソンストラットだが、アルミキャスト製のリヤサブフレームとそこから伸びるロッド状の長いロワアームはまるでフォーミュラマシンのような造形となっている。専用設計されたシャシーは高い剛性を誇り、MRと低重心が相まって乗り味も特別感も他の軽自動車とは一線を画す。

電子制御スロットルや独立ブレーキ制御によって現代的なチューニングが施されたS660にはミッドシップ特有の扱いにくさはなく、誰でも安心してスポーツ走行を楽しめる操縦特性に仕立てられている。

ルーフは手動脱着式のタルガトップを採用しており、フルオープンほどの開放感はないが、オープン時の開放感は格別と言えるだろう。取り外したロールトップはフロントフード内のユーティリティボックスに収納可能となっている。ただし、収納すると荷物スペースがほぼ皆無になるため、実用性については割り切りが必要なクルマだ。

中古車相場は高め! しかし手頃な値段の個体が増えてきた

以前に比べて未使用車の数は大きく減少し、しっかりと使われた個体が増えている。部品供給が続いているうちは、安価な過走行車を狙う買い方もできる。

2026年4月現在におけるS660の中古車価格は100万円から450万円と幅広い。走行距離5万km以下の状態良好な個体は支払い総額で150万円から、そのなかでも6速MTモデルは170万円からとやや高めだ。

当時の新車が198万〜218万円だったことを考慮するとS660の現在の中古車相場はやや割高に感じられるが、それだけ根強い需要があることを示唆している。

ただし高額な車両は標準グレードの未使用車のほか、新車で300万円ほどのコンプリートカーとして販売された“モデューロX”や660台の限定販売だった“MUGEN RA”などの高付加価値モデルだ。

2022年の最終モデルに至っては、メーカーの特別保証期間が残っていることもあり標準グレードでも新車価格を超える260万円以上の高値が維持されているが、プレミア価格の個体は以前より少なくなってきており、現在はしっかりと使われた中古車が主体に移り変わってきている。

S660の標準グレードは上級グレードの“α”と、ベースグレードの“β”の2グレードに分けられる。“β”は流通台数が少ないためか下位グレードにも関わらず平均価格が“α”よりも高い傾向だ。そのため、わざわざ中古で“β”を選ぶ理由はみつからない。

2020年1月にマイナーチェンジが実施されたが、外観や装備が多少変わっただけで性能に違いはなく、価格にも大きな乖離はない。おおむね年式とコンディション相応の値付けとなっている。

現在では走行5万km以下のMT車を150万円前後でみつけられれば“買い”と言えるだろう。CVTが希望ならMTより少し安く買える。トランスミッションは半分強をMTが占めているため、希望の仕様を探すことは難しくないはずだ。

部品供給が滞りなく行なわれている現在は維持にも困らない。過走行気味の個体を選び、メンテナンスを兼ねてカスタムしながら乗るのも良いかもしれない。

中古車ならより気軽にS660を楽しめる

今後さらに値下がりする可能性もあるが、全体傾向として中古車相場は上がっていくだろう。また、特別な構造だけに部品の廃盤時期も早い。万全の状態を維持して乗り続けたいなら、S660の中古車は今が買い時と言えるかもしれない。

2人乗りの軽自動車に100万円以上を投じるのは高価に感じるかもしれないが、S660がもたらす走行体験は十分価格に見合ったものだ。軽自動車であるため、維持費を抑えながら本格的なミッドシップスポーツを楽しめるメリットは小さくない。

中古で安く購入できれば、オーバーフェンダーの装着などといった派手な外装カスタムも気兼ねなく楽しめるだろう。パワー不足を感じたとしてもターボエンジンであるためカスタムによって性能を引き上げやすい点もS660の魅力だ。

発売から時間が経過した現在は、アフターパーツやカスタムメニューが豊富に揃っているため、自分好みに仕上げていく過程も楽しみ方のひとつとなる。ただし、現代の軽自動車らしく過度なパワーアップはエンジンの耐久性を著しく縮める点は心得ておきたい。

購入に際してもっとも大きな障壁となるのは居住性だろう。積載能力は工夫で補えるが運転席の広さには限界がある。身長が180cm以上の人は窮屈感が一気に増すうえ、無理な運転姿勢で腰を痛めた人もいるようだ。高身長の人や腰痛持ちの人は、購入前に必ず乗り降りしてみて自分の体格に合うかどうかを必ず確認したい。