どちらも独自のシートギミックが魅力! 甲乙つけがたい2台!

セレナとステップワゴンの違いは、3列目シートの格納方法と2列目シートのギミックだ。3列目シートの格納方法は、左右跳ね上げ式で荷室空間を圧迫してしまうセレナに対し、ワンタッチ床下収納式のステップワゴンは荷室をより広く使える。

7人乗り仕様が主力となるステップワゴンの2列目シートは、前後左右へ自在に動かせるオットマン付きのキャプテンシートであり、セレナにはない大スライドが可能だ。両シートを中央に寄せて後方へスライドさせれば足を組めるほどの広さを確保でき、前方へは運転席から後席に乗る子どもに手が届くほど近づけることもできる。

一方、8人乗りのセレナには、前後席間を移動可能なスマートマルチセンターシートが備わっており、ベンチシートとセパレートシートの2役を1台で柔軟に使い分けられる。セレナもステップワゴンと同じく2列目シートが左右方向にスライド可能であり、3列目シートへのアクセスを向上させられる点は共通だ。

また、セレナはバックドア上部のガラスハッチ部のみを開けられるデュアルバックドアも大きな特徴であり、狭い場所でも荷物の出し入れがしやすい。ステップワゴンの電動テールゲートは任意の位置で止められるうえ開放角度のメモリー機能も備わるが、ささっと使いやすいのはセレナの方だろう。

マイナーチェンジを受けたセレナはこうしたシートギミックはそのままに、ハイウェイスターVおよびルキシオンのフロントグリルが斜め基調デザインへ刷新。そのほかアルミホイールデザインの変更に加え、インフォテインメントシステムを含む電子アーキテクチャを強化している。

他方、ステップワゴンの30周年特別仕様車は、最上級グレードのプレミアムラインにのみ設定されていた2列目シートヒーターやアダプティブヘッドライトなどを標準とした特別仕様車だ。リヤハッチには初代ステップワゴンの車名ロゴをモチーフとした30周年専用エンブレムが備わり、シートにも専用のタグがあしらわれる。

日産 セレナ e-POWER ハイウェイスターV
ボディサイズ=全長4765mm×全幅1715mm×全高1870mm
ホイールベース=2870mm
車両重量=1810kg
タイヤサイズ=205/65R16(前後)

ホンダ ステップワゴン e:HEV スパーダ 30周年特別仕様車
ボディサイズ=全長4800mm×全幅1750mm×全高1840mm
ホイールベース=2890mm
車両重量=1830kg
タイヤサイズ=205/60R16(前後)

燃費はステップワゴンがリード! 自動車税の安さとe-4ORCEがセレナの強み

パワートレインの仕組みは両車ともにエンジンで発電してモーターで駆動するシリーズハイブリッド方式を基本とするが、高速域での振る舞いが異なる。

セレナは常時、最高出力163ps/最大トルク315Nmのモーターを使って走行する“e-POWER”であるのに対し、ステップワゴンは低中速域は184ps/315Nmのモーターで走行し、ガソリンエンジンの効率が高まる約70km/h以上の速度域ではエンジンの動力を直接を使って走行する“e:HEV”だ。

WLTCモード平均燃費はセレナが19.0km/L(e-POWER ハイウェイスターV)、ステップワゴンが19.6km/L(e:HEV スパーダ)とほぼ同等だが、高速燃費ではステップワゴンの方が1km/Lほどリードしているうえ、高速走行時の余力もステップワゴンの方が上となるだろう。

高速走行を苦手とするセレナではあるが、ステップワゴンより自動車税区分が1つ下となる排気量1.4L で同等の動力性能を発揮できる点は十分に評価できる。ドライバビリティに関しても、常識的な速度で走行する限り不満は出ないはずだ。

セレナは今回のマイナーチェンジで、アクセル操作のみで車速をコントロールできる“e-Pedal Step”に“前回モード記憶機能”を追加したことで、走行の度にスイッチ操作をする必要がなくなった。

また乗車定員は7人に制限されてしまうものの、ステップワゴンのハイブリッドモデルでは選べない4WDモデル“e-4ORCE”が選択できる点もセレナの大きなアドバンテージだ。

日産 セレナ e-POWER ハイウェイスターV
エンジン形式=直列3気筒ガソリンエンジン+モーター
排気量=1433cc
最高出力=98ps/5600rpm
最大トルク=123Nm/5600rpm
トランスミッション=単速
駆動方式=2WD(FF)

ホンダ ステップワゴン e:HEV スパーダ 30周年特別仕様車
エンジン形式=直列4気筒ガソリンエンジン+モーター
排気量=1993cc
最高出力=145ps/6200rpm
最大トルク=175Nm/3500rpm
トランスミッション=単速
駆動方式=2WD(FF)

車両本体価格はセレナが安いがトータルコストで見ると…

セレナ e-POWER ハイウェイスターVの新車価格は377万5200円、ステップワゴン e:HEV スパーダ 30周年特別仕様車は415万9000円だ。

しかし、ステップワゴンはカーナビゲーションシステムが標準装備であるのに対し、セレナはオプション設定となる。セレナで純正カーナビを使うには“ディスプレイオーディオ”(約13万円)、“日産オリジナルナビ”(約24万円)、“Nissan Connectインフォテインメントシステム”(約46万円)の3択から選ばなければならない。

マイナーチェンジで選択できるようになったGoogle搭載の“Nissan Connectインフォテインメントシステム”は、3つの新視点を追加したインテリジェントアラウンドビューモニターや、車両異常を検知するとクルマ周辺の画像をスマホに送信してくれる新機能“リモートフォトショット”などのコネクテッドサービスがセットになることでセレナの使い勝手を大きく高めてくれるが、価格も高い。

他方、ステップワゴンの30周年特別仕様車は標準スパーダの内外装のまま、最上級グレード“プレミアムライン”の機能装備のみを追加したモデルであり、標準のe:HEVスパーダと比べて約16万円高いが“プレミアムライン”より約11万円安い買い得グレードだ。

セレナの車両本体価格は安いが、オプション次第ではステップワゴンの価格を超えてしまう。しかし、裏を返せば仕様の選択自由度が高いとも言える。

両車のクルマ自体の性能や使い勝手には優劣をつけがたい。駆動方式・乗車人数・装備の3点を中心に比較して、用途にベストマッチするクルマを選ぶとよいだろう。

車両本体価格

日産 セレナ e-POWER ハイウェイスターV:377万5200円

ホンダ ステップワゴン e:HEV スパーダ 30周年特別仕様車:415万9000円