お便り フレームの素材でもある「鉄」と「アルミ」どっちが良いの? の件

投稿者:埼玉県/龍大さん

チェンの回答

鉄(スチール)とアルミ(アルミニウムの略称)どちらが優れているか? の前に、フレームの素材として使われる金属について軽くレクチャー。どちらの金属も他の素材を混ぜたり熱処理をしたりして、強度や特性を高めた「合金」として使う場合が多いんだ。鉄であれば、ハイテン鋼やクロモリ鋼。アルミでいえば、溶接が出来て強度の高いジュラルミンという言葉を聞いたことがあるでしょう。


まず鉄は、素材自体の弾性が特徴だ(簡単に言うとバネ的な特性)。力を加えれば縮み、力を抜くと元に戻ろうとする特性で、アルミに比べてこの範囲が広い。具体的にはフレームが適度に変形する(しなる)事で、衝撃吸収性を持たせて=接地感が掴みやすかったり、乗り心地がソフトに感じるのがメリットだね。

また限界を超えた時の挙動が分かりやすいというのも鉄ならでは。アルミは剛性を高く出来ても、この弾性はマネ出来ないってわけ。長年ドゥカティが鉄フレームにこだわって採用しているのも、このあたりの特性を大事にしているんだろうね。

対してアルミは、とにかく軽くて錆に強い! 同じ質量に対するアルミの比重は2.7で、鉄は7.9。といっても鉄と比べるとアルミは弱いため、肉厚を増したりリブを入れたりと断面形状を工夫して必要な剛性を確保している。それでも鉄より軽量に仕上げられるってわけ。

そのため、軽量、高剛性を求められるスポーツ車に多く採用されているよね。そういえばチェンが昔乗っていたホンダ・VFR400Rもアルミフレームだったんだけど、エンジンの熱がフレームに伝わってきて足がめちゃくちゃ熱かった。熱伝導率が高いというのもアルミの特徴の一つだね。

1988年に登場した筆者チェンが乗っていたホンダVFR400R(NC30)はアルミフレームを採用(1987年登場の先代VFR400Rはスチール製フレーム)



ちなみに四輪車は鉄フレームの独壇場。これは生産コストが安い事と高強度の鋼材が開発され薄肉化が可能になり軽量に仕上げられる事。また、アルミに比べて鈑金修理がしやすいといったメリットが挙げられる。それぞれ長所が違うから悩みどころだけどチェン的には鉄フレームの乗り味が好みかな。

写真はスチール(鉄)製フレームを採用しているヤマハ・XSR125の外装を取り外したストリップ。
操安を担うメインフレーム(太い部分)とライダーが座るシートフレームの二つに分かれているのが良く分かる。またフレームは性能だけでなくデザインの一部として重要な要素にもなっている。

まとめ

● 人間の感性に近い鉄

● 軽量高剛性のアルミ!どっちも良いのよ

著者紹介 チェン

元レースメカニックで、カスタムビルダーや二輪誌編集部員のキャリアを持つ。現在はスーパーモトのレースに参戦し、ハイエースで全国を飛び回っている。

※この記事は月刊モトチャンプ2024年8月号を基に加筆修正を行っています