プロ野球・読売ジャイアンツの阿部慎之助前監督(昭和54年/1979年生まれの46歳)が、親子喧嘩で口論となった末、娘さんの胸ぐらを掴んで投げ飛ばした。娘さんはチャットGTPに相談した結果、児童相談所を紹介されて連絡。児相は警察に通報し、阿部前監督は自宅で暴行容疑にて逮捕。シーズン中に現役監督が逮捕され、翌日に辞任記者会見を開くという前代未聞の事態に発展した。
阿部前監督よりも10歳年上の筆者は、昭和44年(1969年)生まれの56歳。阿部前監督とは干支で一回りほど世代が違えど、親や学校の教師、時に近所のカミナリオヤジが子供たちを殴る「体罰は当たり前」の、戦後のザ・昭和時代の直球ド真ん中に生まれ育った。

筆者の中学時代(昭和57年~60年/1982年~1985年)は、暴力教師が生徒を殴るのと同様、生徒が暴力教師を殴るのは当たり前で、校内暴力と呼ばれた。これまでの「教師=絶対的な存在」という図式が、完全に崩れ去っていた。
地域性や荒廃度の差はあれど、窓ガラス・扉・トイレなど、校内のあらゆる箇所がハチャメチャに破壊されていたあの頃は、毎日が本当に漫画「北斗の拳」や映画「マッドマックス」のようなバイオレンスに満ちた時代だったのを、覚えている人も多かろう。

竹刀(しない)を片手に指導する公認自動車教習所の教官たち

巨人軍の阿部監督が、親子喧嘩で口論となった娘の胸ぐらを掴んで投げ飛ばして逮捕された。これを聞いた筆者は暴力教師ではなく、なぜかかつて通っていた教習所の教官を思い出した。
筆者は高校1年の16歳の時(昭和60年/1985年)、バイクの自動二輪中型免許(現在の普通二輪中型限定)を取得するため、夏休みを利用して静岡県のとある公認自動車教習所の合宿免許に入所した。
時は空前のバイクブームに沸いていた時代。合宿先の公認自動車教習所には、竹刀(しない)を持った教官が待ち構えていた。中学や高校の入学後に感じた、いかにも体育会系という不穏で重くてイヤーな雰囲気。
「そんな教官なんていない」と反論する人もいるだろう。しかし筆者の通った公認自動車教習所には全員ではないが、一部存在した。これは嘘でも誇張でもない。
当時はバイクの運転免許取得希望者が続々入校し、合宿所は常に満室。飽和状態の教習所は繁盛し、入校者を制限するほど潤っていた。人手不足のため、当時は素行の良くない不良上がりの輩も教官として採用されていたように思えた。
「教官の教え方が気に入らないならば、いつ辞めてもらっていいですよ。入校を待っている生徒もいますから」という空前の“買い手市場”も影響してか、竹刀を持った一部の教官はイキがっており、筆者も教習中に「違うだろ!」と何度か竹刀で手や足を叩かれた。
筆者は卒業検定に合格するまでの二週間ほど在籍。竹刀を持った教官にシゴかれた生徒の中には、教習中や教習後に教官と喧嘩したり、中には厳しい教習に耐え切れず、途中で辞めていく者もいた。
「オレが教えてやる!」の元白バイ警官『鬼の中川』

この頃、「オレが教えてやる!」のキャッチフレーズでおなじみだった、戸塚ヨットスクール(家庭内暴力や登校拒否の子供たちを預かる施設)ばりに、竹刀を持ってスパルタ指導する『鬼の中川(※注1)』と呼ばれた元白バイ警官の名物教官が話題となり、頻繁にテレビや雑誌に取り上げられていた。
今思えば当時、竹刀を持った合宿免許の教官は、ひょっとしたら鬼の中川や、戸塚ヨットスクールを模倣していたのではと想像する。
上述した通り、筆者は何度か竹刀で叩かれた。しかし木刀ならともかく、竹刀で多少叩かれても、長袖のライティングウェアや長ズボンを着用しているため、実際は悲鳴を上げるほどの痛さは感じない。頑丈なヘルメットならばなおさらだ。
ヘルメットを被った状態では教官の声が聞こえにくいため、筆者的には「人を畜生のように扱いやがって!」という怒りよりも、瞬時に「ニーグリップが甘いんだな」「上半身の使い方が固いんだ」等々の分かりやすさを感じた。正直「竹刀指導も悪くはないじゃないか」と思った。
『鬼の中川』および一部の教官が持っていた竹刀は、「教える側への服従」を促すだけでなく、車体やパワーの大きなバイクに対し、全身を上手に使って操るためのポイントを“手を取り足を取り”教えるためのツールの役割も果たしていたような気がする。
※注1:当時は公認自動車教習所で限定解除(現在の大型二輪)が取得不可。元白バイ警官『鬼の中川』と呼ばれた名物教官・中川氏は、独自の教え方で、「司法試験よりも難しい」と揶揄された限定解除突破をサポート。
「若者の交通事故を少しでも減らしたい」という氏の指導は人気があり、氏が経営していた練習場は大人気(バイク雑誌には広告も掲載されていた)。マスコミには竹刀を持った点が大きくクローズアップされたが、実際にはもしも教習中に危険な行為があったら、生徒を竹刀の先で小突く程度だったとの噂もある。
竹刀を持った指導は教育か、それとも暴力か?

確かに筆者が通った教習所の指導は厳しかった。それには大きな理由がある。バイクブームだった当時、若者によるバイクの死亡事故が全国で頻発し、深刻な社会問題になっていたことだ。
今思えば、竹刀を持った教官たちもバイクが好きだったはず。大なり小なり「バイクは楽しいけれど、今の超高性能なモデルは扱い方によっては危険だぞ」「絶対にバイクで事故るなよ」「親や友人を悲しませるなよ」という思いがあったのではないか。
竹刀はかつて相撲取りや格闘家が、弟子や後輩を指導する時にも繁用。国内において竹刀は、時に地面に先端を激しく叩きつけて「バシィ!」という音を立て、「オレの方がエライ。お前はオレに服従しろ」「オレは納得していない」「オレは怒っている」と威嚇する、シゴキの代名詞ともいえるアイテムだった。
竹刀を肩に掛け、ニラミをきかせる相撲部屋の親方やプロレスラーの姿を覚えている人も多かろう。

全日本女子プロレスで一世風靡した極悪同盟のダンプ松本(※注2)や、「マダラオオカミ」の異名をとった上田馬之助(※注2)も、自身のアイコンとして竹刀を採用。ちなみにアントニオ猪木のライバル・タイガージェットシン(インド系カナダ人)のアイコンはサーベルだった。
筆者的には教える側が竹刀を持って指導(威嚇)する行為は、今でも校内暴力時代のイキがった教師をイメージさせて嫌な気持ちになる。
そもそも竹刀は武士道に通ずる剣道の道具であり、家畜を扱うように丸腰の人間を叩くものではない。相手を支配するため、竹刀で丸腰の、しかも非のない人間を一方的に威嚇・打つ行為は、その人間の尊厳を奪うこと以外の何物でもない。
2026年現在、竹刀で人を威嚇する指導者はほぼ排除された模様だが、筆者は分別あるはずの大人が、イキがって竹刀や木刀を振り回す姿に強い嫌悪感を抱く。
※注2:ダンプ松本は、そういった民衆の嫌悪感を逆手に取り、当時女子中高生から爆発的な人気を誇った「クラッシュギャルズ」を相手に、上田馬之助と同様、ショービジネスにおいて完璧なまでの極悪非道なヒール(悪役)を演じ切った。
あの自己プロデュースと演出、またダンプ松本&上田馬之助の覚悟は、今考えても実に見事で圧巻だった。両者とも日本のプロレス界に名を刻む、類まれな名選手といえよう(ダンプ松本も上田馬之助も、実生活は極めて常識的で穏やかな人物)。

筆者は竹刀を持った教師に慣れていた。しかし竹刀を持った男の姿に恐怖を覚え、竹刀で小突かれる行為を暴力と捉える人もいただろう(当時、合宿免許の教習所を去った人の多くはそれが原因だと思う)。
人にモノを教えるのは本当に難しい。報道によれば、狡猾になった子供たち、体罰禁止、モンスターペアレンツの出現で教師を目指す若者は減少。メンタルを壊す先生も多いらしい。阿部監督問題と同様、皆さんはどう考える?
“お気に入り”の教官も指名可能な、イマドキの教習所事情

筆者の息子(平成15年/2005年生まれの23歳)が昨年、原付二種に乗るため、公認自動車教習所で普通二輪小型限定免許を取得。当然ながら竹刀で叩かれることもなし。今時の教習所は“お気に入り”の教官も指名可能で、教習中も終始和気あいあいとした雰囲気。指導も懇切丁寧だったという。
息子は小学校~高校まで本人はもちろん、同級生の誰も教師から体罰を受けたことはないらしい。筆者は息子が反抗期、思春期真っ盛りの高校時代、一度だけ胸ぐらをつかみ「キサマぁぁ、なんだその態度はぁぁ!」と激高。
なお息子は母親である妻からは幼い頃、悪さをした時に何度か平手打ちを食らった模様だ。筆者は「子育ては難しい」としょっちゅう感じていたが、その反面、実に楽しくて幸せなものであった。今では社会人になり独り立ちした息子には感謝しかない。
もしも2026年になった今、自動車教習所に竹刀を振りかざす教官が存在し、ブッ叩かれたとしたら? チャットGTPに聞いてみたところ……
チャットGTPに質問:自動車教習所でバイクの教習中、教官に竹刀で叩かれました。どうしたらいいですか?
チャットGTPの答え:それが事実であれば、非常に問題のある行為です
それが事実であれば、非常に問題のある行為です。
日本の自動車教習所で、教官が教習生を竹刀で叩くことは、指導の範囲を超える可能性が高く、状況によっては暴行や傷害に該当することもあります。
まず確認したいポイントは次のとおりです。
・実際に身体に竹刀が当たったのか
・どの程度の強さだったのか
・ケガや痛み、あざがあるか
・他の教習生や教官が見ていたか
・「冗談」や「演出」ではなく、指導中に行われたものか
今後の対応としては、
・証拠を残す
・ケガやあざがあれば写真を撮る
・日時、場所、教官名、状況をメモする
・目撃者がいれば記録しておく
・教習所へ正式に苦情を申し入れる
・所長や責任者に事実確認と説明を求める
・可能なら書面やメールで記録を残す
・ケガがある場合は受診する
・診断書は後の証拠になります
・悪質な場合は警察への相談も検討する
・暴行や傷害にあたる可能性があります
・まず相談だけでも構いません
また、その教官が「本当に竹刀を持っていた」のか、それとも指示棒や教習用の器具を竹刀と表現しているのかで評価が変わる場合があります。
差し支えなければ、
・いつの出来事か
・どこを叩かれたのか
・ケガや痛みがあるか
・教官は何と言っていたか
を教えてください。状況に応じて、どの程度深刻な問題か、どこに相談すべきかを具体的にお伝えできます。
