200基ものバックオーダーを抱える人気っぷり!

ストリートから競技ユースまで想定した製品展開

第二世代GT-Rのマーケットでは、メンテナンス部品の確保が世界共通の課題となっている。なかでも深刻なのが、チューニング時に破損するリスクも高いRB26DETT用エンジンブロックの供給不足だ。一時は世界的な枯渇状態となり、良質な中古ブロックの確保すら難しくなっていた。

そんな状況を打破するべく、オーストラリアの“PRP”ことPlatinum Racing Products(PRP)が開発したのが、純正と同寸法ながら大幅な強度向上を実現したRB26DETT用鋳鉄ブロックである。

PRPは、アルミ削り出しパーツなど高精度なマシニング製品で知られるブランドだ。近年はファクトリーを大幅に拡張し、最新CNC加工設備を導入。現在ではRB26パワーチューンの世界でトップブランドの一角を担う存在へと成長している。

今回発売された鋳鉄ブロックは、単なる純正代替品ではない。高出力化と大排気量化を前提に、構造や材質、各部設計を全面的に見直した高精度・高強度モデルだ。

デッキ厚は12.5mmへと強化され、シリンダー間のウォータージャケットを廃止。冷却水路を外側へ移設したサイアミーズボア構造を採用することで、超高過給にも耐えられる高いブロック剛性を確保している。

この設計により、ボア径は最大90mm、ストロークも90mmまで対応。さらにオーダー時に指定すれば、シリンダー高を2mm延長した仕様での製作も可能となる。RB26ベースの3.0L仕様はもちろん、今後は新たなストローカーキットの登場も期待される。

オイルギャラリーも最適化され、高ストローク化したエンジンでも十分な潤滑性能を確保。さらにヘッドスタッドをメインキャップまで貫通させる構造とすることで、超高ブースト時に発生しやすいヘッドガスケット抜けを強力に抑制する。

素材には、品質の高い鉄鋼資源で知られるオーストラリア産ダクタイル鋳鉄を採用。高い強度だけでなく、素材品質の安定性にも優れ、ハイパワーエンジンのベースとして十分なポテンシャルを備えている。

ラインアップはストリート、レース、プロの3グレード。

1000ps対応のストリート仕様は、純正同様にクランクケース内へラダーを収める構造を採用し、レイアウトを維持しながらブロック剛性を高めている。

2000ps対応のレース仕様は、ブロック底面とオイルパンの間へ2ボルト式の強化スチール製ラダーキャップを追加。クランク支持剛性を大幅に向上させ、高出力時のケース変形を抑える。

さらに開発中の3000ps対応プロ仕様では、4ボルトメインキャップを採用予定。世界最先端のドラッグレースを視野に入れた究極のRB26ブロックとなる。

ストリート仕様とレース仕様はすでに販売を開始しており、現地価格はストリート仕様が約112万円、レース仕様が約140万円(2026年7月時点)。日本へ輸入する場合は、このほか送料や関税などが必要となる。

PRPのファクトリーを訪れると、仕上げ加工を待つRB26ブロックが工場内にずらりと並んでいた。すでに量産体制へ移行しているものの、約200基ものバックオーダーを抱えているという。

それでも、鋳造から機械加工までを自社で一貫して行なえる体制を整えているため、一般的に想像するほど納期は長くないとのこと。現在はプロ仕様に加え、RB30寸法のハイデッキブロックも開発が進められている。

新ブロックの開発にあたっては、専任エンジニアを迎え入れ、専用エンジンベンチ室まで新設。現在テスト中のRBエンジンは、プレシジョン製大型タービンとメタノール燃料を組み合わせた約1800ps仕様だ。

すでに高出力環境で耐久テストを繰り返しており、工場内には開発段階で使用された複数の試験用ブロックも確認できた。さらに年内には同サイズの大型タービンを2基装着した4000〜5000ps級ドラッグエンジンを完成させ、世界記録への挑戦も予定しているという。

今回のファクトリー訪問では、鋳鉄ブロック以外にも注目の新製品を確認することができた。

そのひとつが、PRPオリジナルのRB26DETT用シリンダーヘッドだ。純正部品の供給不足と、ハイパワーチューンのさらなる進化に対応するため開発が進められており、取材時にはPRPロゴが鋳出しされた鋳造品を見ることができた。

まだ最終仕様ではないものの、すでに複数回の設計変更を重ね、製品化は目前とのこと。ブロックだけでなくシリンダーヘッドまで新品で揃えられるようになれば、RB26チューニングの可能性はさらに広がるはずだ。

さらに、超高出力ドラッグマシン向けシーケンシャルミッションの開発も進行中だ。

PRP代表のハーマンさんは「世界記録を狙う5000ps仕様にも耐えられる競技用ミッションを作る!」と笑顔で語ってくれたが、その開発体制は本格的。PRPはヨーロッパのレーシングギヤメーカーを買収し、ケースをPRP、内部ギヤを現地メーカーが担当する共同開発体制を構築している。

5000psという数値にはユーモアも含まれているだろう。しかし、オーストラリアで繰り広げられる3000〜4000ps級ドラッグマシンに対応するミッションを本気で開発していることは間違いない。

PRPはシドニー近郊に拠点を構え、アルミ削り出しパーツを得意としてきたブランドだ。現在はシリンダーブロックやシリンダーヘッド、ドライサンプシステム、点火系、各種ビレットパーツ、さらにはミッションまで自社開発する総合パフォーマンスメーカーへと進化を遂げている。

掲げるモットーは「妥協なき精度と美学」。設計から鋳造、機械加工、性能検証まで多くの工程を自社設備で完結できることが最大の強みだ。RB系だけでなく、4G63やJZ系、VR系エンジン向けパーツも幅広く展開している。

純正ブロックの枯渇が進むRB26DETTにとって、新品ブロックという選択肢が誕生した意義は非常に大きい。しかもPRPが目指したのは純正の再現ではなく、1000〜3000ps級まで対応する次世代の高強度ブロックだ。

シリンダーヘッドやRB30ハイデッキブロック、さらにはシーケンシャルミッションまで開発を進めるPRP。その存在は、補修部品メーカーの枠を超え、これからのRBチューニングシーンを大きく変える可能性を秘めている。

●取材協力:Platinum Racing Products(PRP)

「究極のGT-R、完成しました!」世界を驚かせたガレージアクティブとGReddyの電撃コラボBNR32

RB28コンプリートエンジンにGP78Rタービンを組み合わせ、1450ps級ポテンシャルを秘めるR32 GT-R。フルドライカーボンボディと最新パーツを融合させたDRY CARBON-Rは、ガレージアクティブの技術力を象徴する存在だ。

【関連リンク】
Platinum Racing Products(PRP)
https://www.platinumracingproducts.com/ja-jp