世界に誇るホンダ スーパーカブとは?

登場以来、国内はもちろん、世界中の人々に愛され続けてきたホンダ スーパーカブ。初代のホンダ スーパーカブ「C100」は1958年(昭和33年)8月に登場。のちのモンキーやゴリラ等にも搭載されることとなる空冷4ストローク単気筒の横型エンジン、左手でのレバー操作を省いた自動遠心式クラッチ、初代モデル発売当時にはまだ日本にはなかった、欧州のモペッドを意識した大径の17インチホイールなど、基本設計は誕生以来、一貫して変わることはない。
「年齢や性別を問わず、誰でも気軽に利用できる便利な乗り物」を目指して設計されたスーパーカブは、丸みを帯びた親しみやすいフォルムが特徴。足元には雨風が凌げる実用性に優れた大型のレッグシールドを導入。リアには大容量の荷物も積載できる大型のキャリアを導入。
スーパーカブは時代やトレンドに合わせ、ハンドルカバー、フロントカバー、ヘッドライト周り、テール周り、前後フェンダー、レッグシールド、サイドカバー、リヤキャリアなど各部のデザインを細かく変更してきた。
1983年(昭和58年)発売のハイグレードバージョン「スーパーカブ50スーパーカスタム(カスタム版はスーパーカブの豪華版で度々登場)」は丸みを排除し、全体的に角張った外観にデザインされ、フロントにミニスクリーン、角形ヘッドライト等の採用で差別化を大きく推進。
2012年(平成24年)、スーパーカブ50/110は突如、豪華版の「カスタム」をイメージさせる角張ったフォルムにフルモデルチェンジ。その姿は“日本伝統の古き良き”丸目ヘッドライトとは一線を画す、アジアンテイストがふんだんに盛り込まれたもの(同車は中国で生産)。
カブフリークの度肝を抜いたのも束の間、5年後の2017年(平成29年)には再び丸みのある“スーパーカブらしい”外観に復活(同車は国内の熊本に生産移管)。2018年(平成30年)には前後にキャストホイール、フロントにディスクブレーキを装備した新しいコンセプトの原付二種モデル「スーパーカブC125」が誕生するなど、その姿を変えてきた。
スーパーカブは発売国の文化や風土、免許制度や法律に合わせ、デザイン・排気量・仕様・名称を変更しているのがポイント。アメリカ仕様車はタンデムも使用可能なダブルシートの装着や狩猟用(別名ハンターカブ)、アセアン諸国仕様車はスクーターテイストの強い外観など、国民性や趣向に合わせた独自のマシンづくりが行われている。

ホンダ スーパーカブ シリーズ ※すべて2026年モデル
スーパーカブ50……24万7500円(税込)

国内では2025年(令和7年)11月より、世界基準の新たな排出ガス規制が適用。これにより排ガス規制をクリアできない現行50cc以下の車両の生産は実質上、2025年10月末で終了となった。
前後スポークホイールを装備したスタンダード版のスーパーカブ50は2025年2月現在、24万7500円(税込)で流通在庫のみが販売されている状況だ。
「スーパーカブ50・ファイナルエディション」は、スーパーカブ50生産終了のメモリアルとして発売。同車は2024年(令和6年)11月8日(金)から2024年(令和6年)11月24日(日)まで受注可能な期間限定モデル。車両価格は29万7000円(税込)。 ※すでに受注終了
メーカー公式WEBサイト https://www.honda.co.jp/SUPERCUB/
| 車名・型式 | ホンダ・2BH-AA09 | |
| 全長×全幅×全高(mm) | 1,860×695×1,040 | |
| シート高(mm) | 735 | |
| 車両重量(kg) | 96 | |
| 燃料消費率(km/L) | 国土交通省届出値:定地燃費値(km/h) | 105.0(30)〈1名乗車時〉 |
| 燃料消費率(km/L) | WMTCモード値(クラス) | 69.4(クラス 1)〈1名乗車時〉 |
| 総排気量(cm³) | 49 | |
| 最高出力(kW[PS]/rpm) | 2.7[3.7]/7,500 | |
| 最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm) | 3.8[0.39]/5,500 | |
| 燃料タンク容量(L) | 4.3 | |
スーパーカブ110 Lite……34万1000円(税込)

新排ガス規制により2025年(令和7年)10月31日をもち、国内では50cc以下の原付一種モデルの生産が終了。これに代わって新登場するのが、125ccクラスの原付一種「新基準原付(法律や構造上、原付二種の125ccモデルとは別物)」。
新基準原付モデルとして2025年(令和7年)12月に発売されたスーパーカブ110 Liteは、原付二種モデル「スーパーカブ110」をベースに、新基準原付基準をクリア。最高出力はベースモデルの8.0psに対し、4.8psに抑制。価格は34万1000円(税込)。
メーカー公式WEBサイト https://www.honda.co.jp/SUPERCUB110Lite/
| 車名・型式 | ホンダ・8BH-JA76 | ||
| 全長×全幅×全高(mm) | 1,860×705×1,040 | ||
| シート高(mm) | 738 | ||
| 車両重量(kg) | 101 | ||
| 燃料消費率(km/L) | 国土交通省届出値:定地燃費値(km/h) | 105.0(30)〈1名乗車時〉 | |
| 燃料消費率(km/L) | WMTCモード値(クラス) | 67.5(クラス 1)〈1名乗車時〉 | |
| エンジン種類 | 空冷4ストロークOHC単気筒 | ||
| 総排気量(cm³) | 109 | ||
| 最高出力(kW[PS]/rpm) | 3.5[4.8]/6,000 | ||
| 最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm) | 6.9[0.70]/3,750 | ||
| 燃料タンク容量(L) | 4.1 | ||
スーパーカブ110……35万2000円(税込)

2009年(平成21年)に「新時代のスーパーカブ」として登場したロングセラーモデル・スーパーカブ110。モデルチェンジごとに進化を遂げる同車は、2022年(令和4年)4月にマイナーチェンジを受け、フロントはドラム式からディスクブレーキ(ABS搭載)、前後ホイールはスポークタイプからキャストタイプ、前後タイヤはチューブタイプからチューブレスに変更された。
新基準原付・スーパーカブ110 Liteのベースモデルでもある原付二種の同車は、スーパーカブ50とは仕様の異なる横型エンジンを搭載。最高出力は8.0psを出力するなど余裕のパワーを誇る。価格は35万2000円(税込)。
メーカー公式WEBサイト https://www.honda.co.jp/SUPERCUB/
| 車名・型式 | ホンダ・8BJ-JA59 | |
| 全長×全幅×全高(mm) | 1,860×705×1,040 | |
| シート高(mm) | 738 | |
| 車両重量(kg) | 101 | |
| 燃料消費率(km/L) | 国土交通省届出値:定地燃費値(km/h) | 68.0(60)〈2名乗車時〉 |
| 燃料消費率(km/L) | WMTCモード値(クラス) | 67.9(クラス 1)〈1名乗車時〉 |
| 総排気量(cm³) | 109 | |
| 最高出力(kW[PS]/rpm) | 5.9[8.0]/7,500 | |
| 最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm) | 8.8[0.90]/5,500 | |
| 燃料タンク容量(L) | 4.1 | |
スーパーカブC125……49万5000円(税込)

2018年(平成30年)に登場したスーパーカブC125は、1958年(昭和33年)発売の初代スーカーカブ「C100」を現代に蘇らせたかのような丸みのあるスタイルが特徴。
グロムやモンキー125と同系の横型エンジンは、空冷4ストローク単気筒SOHC 2バルブの124cc。フロントブレーキはディスク式(ABS搭載)、前後ホイールはキャストタイプ、前後タイヤはチューブレスタイプを導入するなど、強靭な足周りに設定。
外観はレトロだが、各種機能は最新のもの。スマートキーシステム(キーを持っているだけでエンジン始動が可能)が採用され、メーター中央にはギアポジションも表示。ミッションは4速リターン。
2021年(令和3年)9月にモデルチェンジを受け、同年3月に登場していた三世代目のグロム(JC92)と同系の新型エンジンを搭載。国内の平成32年(令和2年)排ガス規制に適合するため、ボア径×ストローク長を変更して従来よりもロングストローク型となり、排気量は123ccに変更。
メーカー公式WEBサイト https://www.honda.co.jp/C125/
| 車名・型式 | ホンダ・8BJ-JA71 | ||
| 全長×全幅×全高(mm) | 1,915×720×1,000 | ||
| シート高(mm) | 780 | ||
| 車両重量(kg) | 110 | ||
| 燃料消費率(km/L) | 国土交通省届出値:定地燃費値(km/h) | 70.0(60)〈2名乗車時〉 | |
| 燃料消費率(km/L) | WMTCモード値(クラス) | 67.8(クラス 1)〈1名乗車時〉 | |
| エンジン種類 | 空冷4ストロークOHC単気筒 | ||
| 総排気量(cm³) | 123 | ||
| 最高出力(kW[PS]/rpm) | 7.2[9.8]/7,500 | ||
| 最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm) | 10[1.0]/6,250 | ||
| 燃料タンク容量(L) | 3.7 | ||
ホンダ スーパーカブの魅力
現行モデルも継承する伝統の「ホンダ横型エンジン」

スーパーカブはアンダーボーンフレームへの搭載を前提とした、エンジンの腰上(シリンダーヘッドとシリンダー部分)をフロントタイヤ方向にレイアウトした通称「横型エンジン」を採用。これは今も昔も変わらない、スーパーカブの一貫したポリシー。ただし機構や性能は常に進化を遂げてきた。
初代スーパーカブのC100は、空冷4ストローク単気筒OHV(オーバーヘッドバルブ) 2バルブ49ccエンジンを搭載。OHVとはプッシュロッドという長い棒を介してロッカーアームを動作させ、吸排気バルブを開閉させるシステム。
OHVエンジンはSOHCエンジン比べ、高回転域でのバルブ開閉が安定しにくいのがネックだが、レトロなOHVエンジンは正統派のスーパーカブフリークに根強い人気がある。
OHVエンジン+キャブレター仕様は原付一種の49cc、二人乗り可能な原付二種の54cc(スーパーカブC105)や86.7cc(スーパーカブCM90など)の各排気量をラインナップ。
1964年(昭和39年)、スーパーカブはOHVエンジンから1本のカムシャフトで吸排気バルブを開閉させるSOHC 2バルブエンジンに進化。初搭載は排気量64ccの「C65」。OHVに比べ、SOHCは高回転域でのバルブ開閉が安定しているのが特徴。
1986年(昭和61年)、スーパーカブ「C50」はより安定した電力を供給し、メンテナンス性に優れた12VのMF(メンテナンスフリー)バッテリーを新採用。また既存の6V電装から主流になりつつあった12V電装に変更することで、利便性を大幅に向上。
上記のSOHCエンジン+キャブレター仕様の排気量は、原付一種の49cc、原付二種の63cc(スーパーカブC65など)・72cc(スーパーカブ70)・85cc(スーパーカブ90)が設定された。
2007年(平成19年)、スーパーカブ50は新排ガス規制に伴い、環境性能を向上。吸気系を従来のキャブレターから、優れた始動性&スムーズな走りなどに寄与する、電子制御燃料噴射システム「PGM-FI」に変更。エンジンは低フリクションを実現するローラーロッカーアームやオフセットクランクを採用した新設計。点火方式は最先端のフルトランジスタ式に変更。マフラーには新たに触媒が装着された。
2009年(平成21年)、スーパーカブ90を上回る低燃費を誇る排気量109ccのPGM-FIエンジン、発進と変速にそれぞれ独立したクラッチ機構を備えた2段クラッチシステムなど、既存のスーパーカブにはない新たな機構を随所に投入したスーパーカブ110が登場。
2018年(平成30年)には排気量を124cc(現行モデルは123cc)に設定し、フロントディスクブレーキや前後キャストホイール、スマートキー装備した、豪華でパワフルなスーパーカブ C125もリリースされた。
スカートでも乗車できる、乗車しやすい伝統の「アンダーボーンフレーム」

スーパーカブはホンダの創業者・本田宗一郎の「誰でも手の内に入るものを作る」というスローガンの元に開発。「よっこらしょい」と足を振り上げることなく、スカートを着用した女性でもまたがりやすく、しかも乗り降りしやすいステップスルーの車体構造に設計。
そのために採用されたのが「アンダーボーンフレーム」。メインフレームをネック部からエンジン後部へ斜めに取り回したこのフレームは、足元に適度な空間ができるため乗車時に体や車体が安定しやすいのがポイント。
エンジンはフレームに見合う形状が求められ、結果として過去に例を見ない腰上(シリンダーヘッドとシリンダー)が水平に近い、フロントタイヤ方向にレイアウトした横型エンジンが開発された。
左手でのクラッチ操作を省いた“自動遠心式クラッチ”は「蕎麦屋の配達時も片手で運転できる」ように設計


1958年(昭和33年)にスーパーカブC100が誕生以来、現行モデルまで継承されている、スーパーカブ伝統のシーソー式シフトベダルと、左手でのクラッチ操作を省いた自動遠心式クラッチ。左手でのクラッチ操作を省いたスーパーカブ110やスーパーカブC125などの原付二種モデルは、ギア付きながらAT小型限定免許でも運転できるのがポイント。
スーパーカブが左手でのクラッチ操作を省いた理由の1つが、たとえば左手に「おかもち」を持った出前のお蕎麦屋さんが、右手のみでも運転できるようにするため(当時は左手側にスロットルを移設できるオプションパーツも設定された)。
発売当時はスーパーカブに乗り、右手でおかもちを持ったお蕎麦屋さんが走行するテレビCMも放映。今となっては大らかな時代背景を感じさせる、ほんわかムード満点のエピソードだ。
スーパーカブの気になるポイント
スーパーカブは低燃費の代表選手
| 国土交通省届出値:定地燃費値(km/h) | WMTCモード値(クラス) | |
| スーパーカブ50 | 105.0(30)〈1名乗車時〉 | 69.4(クラス 1)〈1名乗車時〉 |
| スーパーカブ110 Lite | 105.0(30)〈1名乗車時〉 | 67.5(クラス 1)〈1名乗車時〉 |
| スーパーカブ110 | 68.0(60)〈2名乗車時〉 | 67.9(クラス 1)〈1名乗車時〉 |
| スーパーカブC125 | 70.0(60)〈2名乗車時〉 | 67.8(クラス 1)〈1名乗車時〉 |
1:定地燃費値:車速一定で走行した実測にもとづいた燃料消費率
2:WMTCモード値:発進、加速、停止などを含んだ国際基準となっている走行モードで測定された排出ガス試験結果にもとづいた計算値
(クラス):排気量と最高速度によって分類される
上記はすべてカタログに掲載の燃料消費率(km/L)。1リットルのガソリンで、どれだけの距離を走行できるかを表した数値だ。
一般的に信号での停止・発進を行う一般公道での実燃費は、「2:WMTCモード値」に近いとされる。WMTCモード値は、すべて65km/Lを上回る驚きの数値だ。なおSNSやネットの情報による実燃費は、
・スーパーカブ50:50km/L前後
・スーパーカブ110 Lite:データなし
・スーパーカブ110:60km/L前後
・スーパーカブC125:60km/L前後
SNSやネットの情報による実燃費は、全般的に50よりも排気量の大きな110やC125のほうが優れている。これは50に比べ、スロットルを全開にする機会の少ないパワフルでトルクフルな走りができる、110ccクラスや125ccクラスならではのメリットなのかもしれない。
スーパーカブ 性別・年齢を問わない「ちょうどいい」サイズ感
| サイズ(mm) | シート高(mm) | 車両重量(kg) | |
| スーパーカブ50 | 1,860×695×1,040 | 735 | 96 |
| スーパーカブ110 Lite | 1,860×705×1,040 | 738 | 101 |
| スーパーカブ110 | 1,860×705×1,040 | 738 | 101 |
| スーパーカブC125 | 1,915×720×1,000 | 780 | 110 |
国内のスーパーカブシリーズは発売以来、一貫して安定の17インチホイールを採用し、ボディは日本人サイズに設定。前後10インチホイールの小型スクーターと比べればやや大柄かもしれないが、50/Lite/110のシート高は小柄な女性でも足着き性の良い735mm&738mmまでローダウン化。
なおタイで生産されるスーパーカブC125は、ヨーロッパでも発売中。国内専用車となる50/Lite/110に比べ、全長とシート高はやや高めで大柄。車両重量も110kgとややヘビー。
スーパーカブ エンジンとともに足周りも進化

スーパーカブのエンジンはOHV、SOHC(6V電装)+キャブレター、SOHC(12V電装)+キャブレター、電子制御燃料噴射システム「PGM-FI」に変更するなど着実に進化。
スーパーカブのポイントは時代に合わせ、エンジンだけでなく足周りもアップデートされているところ。
伝統の前後17インチホイールを採用した足周りは、長年スポークホイール、チューブタイプのタイヤ。前後ブレーキはドラム式。フロントフォークは車体を支持するフォークとホイールの間にアームを介した「ボトムリンク式」を採用。
しかし2009年(平成21年)に登場したすべてが新設計のスーパーカブ110は、定番のボトムリンク式フロントフォークではなく、スポーツ走行にも適した正立型フロントフォークを採用。なお同車は2022年(令和4年)にマイナーチェンジを受け、フロントはドラム式からディスクブレーキ(ABS搭載)、前後ホイールはスポークタイプからキャストタイプ、前後タイヤはチューブタイプからチューブレスに進化している。
スーパーカブ110登場から3年後の2012年(平成24年)、「ニューベーシックカブ」をコンセプトにフルモデルチェンジされた角張った形状のスーパーカブ50/110も、ボトムリンク式フロントフォークではなく正立型フロントフォークを導入。
2018年(平成30年)に登場したスーパーカブC125は、1958年(昭和33年)発売の初代スーカーカブ「C100」を現代に蘇らせたかのような丸みのあるスタイルだが、フロントブレーキはディスク式、前後ホイールはキャストタイプ、前後タイヤはチューブレスタイプを導入するなど、強靭かつ豪華な足周りにアレンジ。空冷4ストローク単気筒SOHC 2バルブ124ccのパワフルなエンジンンに対応している。
スーパーカブ 中古車市場
1958年(昭和33年)に登場した超ロングセラーモデルのスーパーカブシリーズは、中古車市場におけるタマ数も極めて多い。現在、中古車として市場に回っている個体は、1990年代以降のモデルがメイン。「要レストア」や「現状渡し」を除く、低年式ながら“そこそこ走れる車両”は、15万円前後から選択できる。
現行車であるスーパーカブは、高年式で走行距離が短く、程度も良い個体でもお宝ビンテージモデルのような“プレミア”が付くことなく、新車価格を大きく上回ることのない“中古車らしい納得の適切な価格”で流通。
ただしOHVエンジン搭載車や6V電装のSOHCエンジン搭載車は旧式のため、大半の個体が廃車となり、本体車両が中古車市場に出回ることはほぼない(ごくまれに解体された中古の純正部品がネットオークション等に出品される場合あり)。
なお初代スーパーカブ「C100」は“スーパーカブの中のスーパーカブ”としてマニアやフリークからリスペクトされており、程度の良い“本物の車両”はもちろん、純正部品も骨董品的な扱いでプレミアムが付き、超高額な価格で売買されている(中古車市場に出回ることはほぼなし)。
これらも影響し、程度の良いOHVエンジン搭載車や6V電装のSOHCエンジン搭載車などは「お宝ビンテージモデル」として、ネットオークション等では驚くほどの高額な値段が付く場合がある。
スーパーカブ 中古車購入時の注意点
他の車種と同様、一般的にバイクは年式が古いほど経年劣化により部品交換やオーバーホールの必要あり。たとえ車両本体が安価で購入できても、すぐに故障や不具合が発生する「安物買いの銭失い」となる可能性が高い。
基本的にスーパーカブは構造も簡単で、故障しにくいのが特徴。ただし低年式や走行距離の長い車両は、消耗部品の多数交換や各部のオーバーホールが必要となる場合あり。特にエンジンのオーバーホールは工賃もパーツ代も高額になる傾向が強いので要注意。
キャブレター車の構造やしくみは、コンピューター制御のフューエルインジェクション車よりも簡単で、社外のアフターパーツも多いのが特徴。キャブレター車を現状渡しの状態で安く入手し、インターネットや専門誌等で分解・組み立て方法を習得し、自分でレストア・カスタムを楽しむハイエンドなユーザーが多いのもスーパーカブの特徴だ。
スーパーカブ カスタムの歴史とチューニング事情

豊富な社外パーツの登場で今では定番となったスーパーカブやモンキーのボアアップチューニング。
ホンダのスーパーカブを始め、モンキーやゴリラにも搭載されてきたエンジンは「横型エンジン(シリンダーヘッドやシリンダーが地面に対して水平=横向きにレイアウトされている)」と呼ばれ、排気量アップなどのチューニングが人気。
現在ではアフターパーツメーカー各社からボアアップキット等のエンジンカスタム用パーツがリリースされているが、実はC105が登場した1961年当時から最高速度向上やパワーアップを求める若者を中心に、
・49ccの「C100」に、54ccの「C105」用シリンダー&ピストンを流用して54ccにボアアップ
・「C100」のシリンダー径をΦ39mmからΦ42mmにボーリング加工(穴を拡大する加工術)を施し、「C105」用Φ42mmピストンを組み合わせてボアアップ
・「スポーツカブC115(54cc)」用のΦ42mmハイコンプピストンを流用し、圧縮を上げてパワーアップ
などのチューニングが行われていた。54ccエンジンを搭載した「スーパーカブC105」や「スポーツカブC115」は、スーパーカブやモンキーのエンジンカスタムの先駆けだったのだ。
純正パーツ流用によるエンジンカスタムはスペシャルパーツ武川やキタコなど、アフターパーツメーカーが多数誕生するきっかけとなり、エンジンパーツだけでなく外装や足周りを強化するパーツも数多く誕生。これらの流れからスーパーカブやモンキーは極めてカスタムしやすい土壌にあり、カスタムパーツの数もバイクの中では群を抜いて豊富なのが特徴だ。
特にSOHC(6V電装)+キャブレター、SOHC(12V電装)+キャブレターのスーパーカブ50やスーパーカブ90のエンジンは、モンキー、ゴリラ、ダックス、シャリィ、ベンリィ、ジャズなどのエンジンにボルトオンで載せ替え可能。つまりキャブ車の横型エンジンは、基本的にキャブ車の横型エンジン搭載車すべてのフレームへ搭載可能なのだ。
6V仕様もしくは12V仕様のキャブレター車用クランクケースさえあれば、シリンダーヘッド・シリンダー・ピストン・クランクシャフト・ミッション(内側)、またキャブレターなどは、すべて社外パーツでまかなえてしまう。これもスーパーカブのユニークな点であり大きな魅力となっている。
スーパーカブ 伝説&現行の兄弟車

2026年(令和8年)2月現在、国内のスーパーカブシリーズはスーパーカブ50(原付一種)、スーパーカブ110 Lite(原付一種)、スーパーカブ110(原付二種)、スーパーカブC125(原付二種)が発売中。また新聞配達専用車としてスーパーカブ50プロ(原付一種)、スーパーカブ110プロ Lite(原付一種)、スーパーカブ110プロ(原付二種)がリリース。
スーパーカブは登場以来、国内外で過去に同系のホンダ横型エンジンを搭載した様々な兄弟車を輩出。国内での一例を挙げれば、
●1960年(昭和35年)、完全新設計のプレスバックボーンフレームを採用したスーパーカブC100のスポーツ版でありスーパーカブシリーズの異端児的存在「スポーツカブC110」。
●1997年(平成9年)、前後のホイールを17インチから14インチに小径化し、シート高をスーパーカブ50の735mmから705mmに変更した“小さなカブ”の「リトルカブ」が登場。スーパーカブ50をコンパクト化&オシャレに演出したリトルカブは、「カブ=オジサンやオバサンの乗り物」というイメージを一新。女の子からも大好評。
●1999年(平成11年)に登場した、外観はジョルノ風のスクーターであり中身はカブの超個性派「ジョルカブ」。
また2026年(令和8年)2月現在も人気モデルとして発売されている現行車は下記の通り。
◎2013年(平成25年)に登場したアウトドアやレジャーでの使用を想定した「クロスカブ50」と「クロスカブ110」。両車はソロキャンプにも人気。
◎2020年(令和2年)、国内で1981年(昭和56年)に発売された「CT110ハンターカブ」をイメージしたデザインの「CT125ハンターカブ」。同車はソロキャンプやアウトドアに大人気。
スーパーカブ 中国では電動モデル「Cub e:(カブ・イー)」が市販化

ホンダの中国現地法人である本田技研工業(中国)投資有限公司は2023年(令和5年)1月、中国の上海で中国国内のZ世代(ジェネレーションZ)の若い世代に向けた電動カブ「Cub e:(カブ・イー)」を発表。
Cub e:は丸みを帯びたスーパーカブ伝統のスタイルを踏襲。中国におけるCub e:の電動二輪車の区分は、最高時速が時速25km/h以下にカテゴライズされる「EB」。そのため自転車風のペダルを装備しているのがポイント。
ボディサイズは全長1,839mm×全幅639mm×全高1,066mmで、ホイールベース(軸距)は1,235mm、重量は53.6kg、前後キャストホイールはスーパーカブ伝統の大径17インチ。
リチウムイオンバッテリーの電圧/容量は48V/24AH。定格出力は400W。最高速度は25km/h。航続距離は満充電で65km。2026年2月現在、国内では「eBike Tokyo(イーバイク東京)」が輸入販売。価格は39万6000円(税込)。
スーパーカブ ライバル的存在であるスクーターとの比較

国内ではこれまで庶民の足の定番だったスーパーカブだが、現在では全般的にスクーターの方が安価といえる。また前後10インチのスクーターはスーパーカブよりもコンパクトなために取り回しもラク。加えてスクーターはシート下収納スペースも設置されており、スーパーカブよりも利便性が高い。
そのためスーパーカブに特別な思い入れのない一般庶民は、扱いやすさとリーズナブルな価格によりスクーターを選ぶ傾向にある。これは駅前の原付専用駐輪場を見れば一目瞭然だ。
これまでスーパーカブを使用していた新聞配達業務を、ギアチェンジのないスクーターに切り替える新聞販売店も増加。またスーパーカブの利用が定番だった外回りなどの営業車。またピザやファストフードの配達は、ホンダのルーフ付き三輪スクーター(スリーターと呼ぶ)である「ジャイロキャノピー」などに取って代わった。
スーパーカブは同車に慣れ親しんできた中高年齢層。また「丸みを帯びた可愛いルックスが好き」「左足でのガチャン・ガチャンというギア操作が楽しい」という若いユーザーに支持されているのが特徴。
スロットルのみでスムーズにスイスイ走行できるスクーターにはないダイレクトな操作感と、他にはない独特のフォルムを備えた伝統あるスーパーカブ。全般的に価格はスクーターよりもやや高額だが、スクーターにはない面白さや存在感が価格以上の魅力となって多くの人々を魅了している。
まとめ

スーパーカブを生産販売するホンダは2025年(令和7年)1月28日、
「ホンダにおける2024年度(令和6年度)の二輪車販売台数は2020万台を見込んでおり、世界シェアは約4割と試算」
「成長のカギはインド。インドでどこまでシェアを伸ばせるか? またインドで電動化がどれだけ進むか? というところも含め、ホンダはインドでのチャレンジを継続する」
「ホンダは2040年代にすべての二輪車でカーボンニュートラルの実現を目指す。エンジンの進化にも継続的に取り組みながら、電動化を推進。2030年のグローバルでの電動二輪車の販売目標を400万台とし、エンジン車をベースにしない電動専用モデルを増やしていくことで競争力を高める」
と発表した。
日本郵便では2020年(令和2年)より、郵便配達用バイクとして「ホンダ BENLY e:(ベンリー:イー)」を現場に導入し、既存の郵政カブに代わって一部のエリアに採用。
ファストフードの大手・マクドナルドはデリバリー用バイクとして、aidea社が発売する電動3輪バイク「AAカーゴ」を導入。ガソリン車よりもランニングコストの安い電動バイクは、次世代のビジネスのコミューターとして活躍中だ。
庶民の足や配達用として普及・進化したスーパーカブだが、EV(電動車)大国の中国では電動バージョンの「Cub e:(カブ・イー)」がリリース。同車は国内でも並行輸入販売中。
スーパーカブは今後、どのように進化していくのか?「Cub e:(カブ・イー)」として電動化の道を歩んでいくのだろうか?
世界最大のバイク市場を誇るアジア圏では、排気量125ccクラスの小型モデルが主流。国内でも125ccクラスの原付一種「新基準原付」が導入され、ようやく125ccクラスがスタンダードになった。
現況、スーパーカブのマーケットの中心はアジア圏であり、山岳地帯や寒冷地域などでも大活躍。バイクやクルマの電動化を積極的に進める中国であっても、EV(電動車)の普及は都市部がメインであり、農村部での庶民の足はもっぱらスーパーカブなどガソリンで動く小型バイクだ。
発展途上国も多いアジア圏では、欧州を中心に声高に叫ばれている「クルマやバイクのEV化」は日本よりも遥かに遅れているのが実情。
筆者は2025年、フィリピンのマニラを旅行した。マニラは高層ビルが立ち並ぶ、東京並み、もしくはそれ以上の巨大都市に成長。マニラ市街では、スーパーカブ系など排気量125ccクラスをメインにしたガソリン車の「バイクタクシー」が庶民の移動の重要な役割を担っている。
バイクの主要マーケットであるアジア諸国において、欧州が進める「クルマやバイクの電動化」が早期に現実可能なのか? なんてこともマニラ市街を爆走するバイクタクシー、またレトロバス「ジプニー」を横目に見つつ、ふと頭をよぎった(旅行記は下記ページ参照)。
結論から言えば、EVよりも航続距離の長いガソリン車のスーパーカブは、今後も根強く生き残っていくはず。というか、残さなくてはならない存在だと思う。
庶民の足・スーパーカブは今後数十年はまだまだ必要であり、日本を含め、絶版化してもらっては困る貴重な存在であると筆者は考える。
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