削ぎ落として魅せる。それが北米RUCKUSスタイル

2001年に登場したホンダ・ズーマーは、それまでのスクーター像を大きく変えた存在だった。収納力や快適装備を競っていた時代に、あえて外装を減らし、パイプフレームを“見せる”構造を採用。日本だけでなく北米でも「RUCKUS」の名前で人気を集め、ロー&ロングなスタイルを活かした独自のカスタムカルチャーを形成していく。そして現在、SCRWORKS周辺には、そんな北米RUCKUSカルチャーに強く影響を受けたスクーターフリークたちが自然と集まっている。

今回の車両もまさにそんな一台だ。ベースエンジンはGY6系へ変更され232ccに排気量をアップ。吸気系にはOKO製Φ30キャブレター、排気系にはTWO BROTHERS RACING製BLACK SERIESマフラーをセット。もはやノーマルズーマーの雰囲気は皆無で、コンパクトな車体へハイパワーユニットを押し込んだ“別モノ”の存在感を放っている。

外装は極力シンプル。フレーム、エンジン、ホイール、吸排気系をデザインとして成立させているのである。その象徴とも言えるのが、DORBYWORKS製SUPER MESHホイールだ。サイズはフロント12×4J、リヤ13×8Jという極太スペック。とくにリヤ周りは圧巻で、入手困難なミシュランPOWER PURE SCの140サイズタイヤを組み合わせることで、真後ろから見るシルエットはド迫力だ。さらに「BODY MAKE KAZU」で施工したという、ナルドグレーの落ち着いたカラーとオレンジのメッシュホイールを組み合わせるセンスも絶妙。USDMらしい派手さを持ちながら、どこか都会的な雰囲気も感じさせるカラーリングだ。

足周りは、GJMS製フロントフォーク、RRGS製PH80ブレーキキャリパー、NCY製STANCEリヤショックなどを組み合わせた本格仕様。低く長いスタイルを成立させながら、“ちゃんと走る”ことも意識しているのが分かる。続いて細部を見ていくと、配線処理やステー類の仕上げもかなり丁寧。シートにはBRIDE生地を使ったワンオフシートを採用し、メーターはOPMID製、温度管理にはKOSO製メーターをセットするなど、実用面もカバー。オーナーによれば、各部はパテを使って段差をなめらかに整える“スムージング処理”も徹底しているという。クルマのカスタムでは定番の手法で、不要なボルト穴を埋めたり、ボディラインを滑らかにつなげたりすることで、面そのものを美しく見せるカスタムとして知られている。このズーマーも同様に、細かな凹凸や違和感を極力減らすことで、フレームから外装、足周りまでが自然につながって見える。ワイドホイールや232ccエンジンに目が行きがちだけど、本当に面白いのはこういう細部だったりする。“神は細部に宿る”じゃないけれど、近くで見るほど完成度の高さが伝わってくる一台なのである。

また、今回のライドイベントにはLA組のライダーたちも参加。そんな空間の中に並んでも、このズーマーはまったく違和感がなかった。DORBYWORKS、TWO BROTHERS、ASV、RPRO……使われているパーツやスタイルそのものが、完全に北米RUCKUSカルチャーの延長線上にあるからだろう。“USDMっぽい”ではなく、“本気でUSDMが好き”。そんな空気感が、この車両全体から自然と伝わってくるのである。

■MACHINE:ホンダ・ズーマー ■OWNER:Sensei

灯火類にはRIGID INDUSTRIES製LEDを採用。コンパクトながら高い光量を持ち、無機質なフロントフェイスにも大きく貢献している。

シートフレームは、RPRO BILLET REAR GUSSET KITを採用。ズーマー特有のフレーム構造を活かしながら、よりUS RUCKUSらしいロー&ワイドなスタイルへ進化。

13インチ×8JサイズのDORBYWORKS製SUPER MESHホイールが最大の見どころ。ミシュランPOWER PURE SC(140/60-13)を引っ張りで履くと迫力のスタイルが完成する。

シートはBRIDE生地を使用したワンオフ。オレンジステッチやロゴデザインによって、DORBYWORKSホイールとのカラーリンクも意識されている。

エンジン系

エンジンはGY6系をベースに232cc化。エンジンスワップに必要となるハーネス関係はSCRWORKS製で信頼性を向上。駆動系はカバーを外して見せる要素としている。

吸排気系

排気系にはTWO BROTHERS RACING製BLACK SERIESを採用。ショートレイアウトのカーボンサイレンサーが232cc仕様GY6エンジンの存在感をさらに強調する。USパーツらしい無骨な雰囲気も魅力だ。

吸気はOKO製Φ30キャブレターをセット。232ccエンジンに合わせた大径仕様で、レスポンスや吸気量をしっかり確保。

足周り

フロントフォークはGJMS製を採用。ホイールはDORBY WORKS製12インチ×4Jとし、インナー部分をオレンジにペイントしている。フロントタイヤはMAXXIS製100/65-12を履く。

フロントブレーキにはRRGS製PH80キャリパーをセット。極太ホイールとの組み合わせでも負けない存在感を持ち、“ちゃんと走れるストリート仕様”としての完成度を高めている。

DORBYWORKS製SUPER MESHホイールを装着。鮮烈なオレンジカラーと深リム形状によって、停車状態でも強烈なインパクトを放つ。US RUCKUSシーンらしい“見せる足周り”の代表的スタイルだ。

ハンドル周り

RPRO製MONSTER DRAG BARS V3とASVレバーを組み合わせたコクピット。低いハンドル位置によって独特なライディングフォームを作り出し、ストリート感を演出する。

車体関連その他

フロントウインカーは超小型LEDタイプを採用。極限までサイズを抑えながらもしっかり視認性を確保しており、“なるべく余計なモノを見せない”というUS RUCKUSスタイルらしい処理が印象的だ。スムージング処理されたナルドグレーの外装面とも相性が良く他とは被らない一台といえる。

足元はカーボン製タンクカバーを装着。RUCKSTERS製ガスキャップもクールな印象だ。

スピードメーターはOPMID製、温度管理にはKOSO製メーターを採用して足元にレイアウト。シンプルなながら、ストリートマシンとして必要な情報をしっかり管理できる仕様。

テールまわりには極細LEDバータイプをセット。シート下フレームへ沿うように配置することで、リヤビューを徹底的にスッキリ見せている。遊びゴコロのあるスウォッシュ刺繍もいいね。

リヤショックはNCY製を装着。ロー&ロングな車体姿勢を支える重要パーツで、低さと走行性能を高次元で両立している。ナンバーカバーはDORBYWORKSロゴ入りのものをサイドマウント。リヤ13×8Jサイズの極太ホイールをしっかり見せるため、あえてセンター配置を避けたレイアウトとなっている。こうした“タイヤを主役にする”見せ方は北米RUCKUSカルチャーでも定番で、この車両でもリヤビューのインパクト作りに大きく貢献している。

ベースマシンはこちら

2001年に登場したホンダ・ズーマー。

外装を極力排したフレーム構造と極太タイヤで人気を博し、カスタムベースとして独自のカルチャーを築いたモデル。2007年にFI化され最終モデルは2012年式。

取材協力

【SCR WORKS(東京)】

ズーマーをベースとしたUSDMスタイルを得意とするカスタムショップ。ショークオリティとストリートユースを両立した完成度の高いビルドで知られる。

メーカー公式サイトはこちら