バイク×プラモデルから「ものづくり」を体感するイベント

静岡県とヤマハ発動機が連携し、高校生にものづくりの魅力を伝える体験型イベント「バイク×プラモで体感する世界ブランド」が、2026年3月14日にヤマハ発動機コミュニケーションプラザ(静岡県磐田市)で開催された。本イベントは、静岡県経済産業部地域産業課が主催し、県内企業への理解促進と将来的な人材確保を目的に企画されたものである。

会場となったヤマハ発動機本社に隣接するコミュニケーションプラザには、県内から24名の高校生が集まった。イベントはヤマハ発動機の企業紹介からスタート。続く展示施設見学では、ヤマハ発動機の歩みや、歴代モデル、技術展示など、実際の製品を目にしながら理解を深めていった。

ヤマハ発動機コミュニケーションプラザの施設見学では、歴代モデルやヤマハ発動機の様々な製品を見学した。

実車の解説から模型制作へ、見比べながら制作すると…

今回制作するプラモデルのモデルとなった「YZF-R1M」は、ヤマハの技術を結集した、公道も走れるMotoGP直系の旗艦スーパースポーツ車だ。

今回制作するプラモデルの原型となった、スーパースポーツモデル「YZF-R1M」の解説では、開発担当者であるヤマハ発動機の田中友基氏が、設計思想や開発の苦労、量産モデルに落とし込む際の課題などを具体的に紹介。スペックや性能の話にとどまらず、「なぜこの形になったのか」「どのように世界と戦っているのか」といった背景が語られたことで、高校生たちの表情も一変した。完成品としてのバイクを見るだけでなく、その背後にある設計思想や開発プロセスに触れられる機会は、高校生にとって貴重な体験となった。

YZF-R1M開発担当の田中氏が、設計思想や量産化の苦労、世界で戦うためのその思想を高校生にわかりやすく解説した。
「YZF-R1M」に使用されている部品に実際に触れると、軽量化されたパーツの軽さに驚きの声を漏らしていた。

座学の後は、いよいよ実践だ。静岡大学の芳賀正之教授による説明を経て、参加者はタミヤ製1/12スケール「YZF-R1M」のプラモデル製作に挑戦した。

実物のバイクを見た直後に縮尺モデルを作る。このプロセスにより、バイクの造形美だけでなく、機能に裏打ちされたメカニズムの妙を指先で体感できる。細かなパーツを組み上げていく工程を通じて、構造や設計への理解が自然と深まる構成となっていた。

静岡大学の芳賀教授が、実車を見た直後に模型を作ることで、造形美と構造、設計思想への理解が深まる学びの意義を説明した。
タミヤ製1/12スケール「YZF-R1M」のプラモデル

参加した高校生からは、「実際にバイクの開発者の話を聞けて、将来こういう仕事をしてみたいと思った」「プラモデルを作ることで構造がよく分かり、ものづくりの面白さを実感できた」といった声が聞かれた。

100分間にわたる制作時間のあいだ参加した高校生は制作に没頭し、会場全体が心地よい緊張感と集中力に包まれていた。

プラモデル制作の経験は少ないという高校生も多かったが、参加者は集中してプラモデル制作を行った。
プラモデルの完成までは、丁寧に制作すると数日は掛かるという。今回は試作時間100分でエンジンまで仕上げることができたので、続きは自宅で完成を目指してもらうこととなった。しかしながら、タミヤのプラモデルは実物と違わぬ精密な造形だ。

楽しい!を入口にして地域産業と若者を結ぶ

今回の企画を立案した静岡県経済産業部地域産業課の担当者および静岡大学の芳賀正之教授は、「静岡には世界に誇れるものづくり企業が数多くあるが、それを地元の高校生が十分に知らない現状があった。ホビーという入口を使うことで、興味を持ちやすくし、将来の選択肢として意識してもらいたかった」と語る。

地方における人材確保が課題となるなかで、こうした取り組みは今後さらに重要性を増していくと考えられる。ホビーと産業を結びつけることで、若年層に自然な形で企業の魅力を伝える本イベントは、地域産業振興の新たなモデルケースとなり得るだろう。静岡発の試みが、全国に広がる可能性にも注目したい。

ヤマハ発動機がある磐田市は静岡県の西部地域に位置するが、中部や東部地域からの参加者も多かった。今回のイベントの注目度の高さを表している。