
2026年4月5日に埼玉県毛呂山町で開催された「第1回ゆずの里 毛呂山町 昭和平成名車展示会」は昭和から平成にかけてのクルマが参加可能だった。そのため幅広い年式のモデルを見ることができたのだが、なかでも異彩を放っていたのが今回紹介するマイティボーイ。一見するとノーマルを保つ普通のマイティボーイなのだが、リヤに注目してほしい。

マイティボーイは当時のセルボをベースにしたピックアップトラック。乗車定員2名の軽トラックなのだが、この個体はリヤの荷台に固定式ルーフが載せられている。トヨタのハイラックスサーフのような出立ちで興味深い。そこでオーナーに聞いてみると、このルーフは新車時にオプション設定されていたのだという。

マイティボーイは80年代に最も安価な4輪自動車として知られていた。83年発売時に45万円という新車価格を引っ提げ話題になったもの。当時のセルボをベースにしたボンネット型ピックアップトラックという構成で、キャブオーバー型の軽トラックに比べると積載性は低い。だから乗用車感覚で楽しまれることが多く、若者にとってはうれしい存在。だが、商用車であることや高級志向の高まりで販売実績を上げることはできなかった。

ところが550cc時代の軽自動車が旧車と呼ばれるようになった昨今では見直される傾向にあり、残存数は少ないものの新車価格を上回る中古車まで現れるようになった。だが、そんな世の風潮とは関係なく2010年にこの個体を手に入れたのがオーナーである宇佐見慎一さんなのだ。現在77歳ということで非常に若く見える宇佐見さんにとって、このマイティボーイは2台目になるそう。

1台目のマイティボーイは散々カスタムやチューニングを繰り返して楽しまれた。その後ランドクルーザー60やNCロードスターなどを手に入れたこともあり手放してしまうが、2010年にインターネットオークションでこの個体を見つけるや飛びついてしまった。以前のマイティーボーイと違いフルノーマルだったことが決め手になったそうだ。

そのため2台目はカスタムやチューニングをすることなく、ノーマルを維持して楽しまれている。2人しか乗れず荷物も大して積めないものの、その不便さが魅力なのだという。前述した2台と交互に乗ってカーライフを満喫されているが、ネットオークションを見ることは欠かさない。すると驚きのパーツを見つけてしまう。それが純正オプションだったハードトップなのだ。

しかも見つけたハードトップは新品未使用。よくぞ残っていたものだと入札すると、意外なことに競り合うことなくスンナリ入手できた。今では旧車本体だけでなく旧車用パーツも高騰する傾向にあるから、非常にラッキーだったと言えるだろう。しかも装着するのはフルノーマルで程度抜群の個体。オドメーターが10万キロ以上表示できない時代のクルマだが、おそらく走行距離は実走行の7万キロ台。まさにこのマイティボーイのために残っていたようなパーツなのだ。

取り付けるのはとても簡単だそうで、さすがは純正クオリティ。だが不便な点もあった。リヤのアクリルウインドーが開閉式なのだが、単に開くだけで開いたまま固定できない。そこで宇佐見さんはサイズの合う他車用ダンパーを見つけて左右に取り付けた。アクリルなので軽量だからダンパーが強いととんでもない勢いで開いてしまう。抜け気味くらいがちょうどいいそうだ。

純正ではないのがエンジンの点火系。ポイント式のクルマに装着例が多いセミトランジスターシステムを追加して、点火を安定させつつポイントの焼損を予防しているのだ。また今では暗く感じるヘッドライトにはリレーを介している。旧車を楽しむならこの程度の変更はむしろオススメできるもの。全く性格の違う3台を楽しまれているカーライフは、とても充実しているようで若く見える秘訣でもあるのだろう。