着せ替えるという発想!これならビンテージスタイルを簡単に維持できる

2000年前半~2010年代にかけて、アドレスV125用のエアロ外装キットで人気を博した「ブレスクリエイション」。名前を憶えている人も多いだろう。その後は対象排気量帯を上げたり、クルマ用パーツを展開していたけれど、このたびアドレス125の登場を受け、「原点回帰」という想いを込めて再びミニバイク業界へ舞い戻ってきた。
気になる製品は、既存の外装をそっくり交換してしまう「着せ替えキット」。しかも塗装済みだからスグに使えるのが特徴だ。キットの正式名称は「Blesspa」。ブレスパと読み、ブレスクリエイションの「ブレス」とベスパの「スパ」を合わせた造語である。
ベースモデルはスズキ・アドレス125。2023年に登場した先代モデルと2025年に登場した現行モデルの二車種をラインナップ。「え?アドレス125・・・・・・」と思った人はある意味正解。正直ストリートやカスタムシーンでは主役とは言い難い存在だけど、ブレスクリエイションは、そこをあえて選んだ。
「正直、アドレス125ってあんまり注目されてないじゃないですか」とは、ブレスクリエイション代表の高橋氏・・・・・・かなり核心を突いている。普通は人気モデルをベースにするものだが、同社は逆に“隠れている車両”に目を向けたのだ。
「ウチは外装が得意なので、フロントフェンダーがある車両っていうのがまず条件で。そこをキーワードにして探していくと、アドレス125はとても相性が良かったんです。しかもアドレスV125やV125S時代はさんざん弄ってきましたから親近感もありますしね」
なるほど。アドレスV125時代に外装カスタムで支持を集めた実績もあり、ノウハウ的にも“勝ち筋”が見えていたというわけだ。もちろんベースモデルが現行車もしくは近年のモデルならば、見た目はビンテージルックでも機関のメンテナンスもしやすいなどメリットも多い。
そして何より、シンプルな車体構成は外装の変化がダイレクトに効く。つまり「地味だからこそ化ける」。この発想力はとてもユニークだし新鮮である。

ウインカーやヘッドライト(角目→丸目に)もKITに含まれている
作った直後にモデルチェンジ!? それでもやるのがこのメーカー
さらに面白いのが、このモデルの開発裏話だ。
もともとは先代アドレス125ベースで進めていたが、完成間近というタイミングでまさかのフルモデルチェンジ!
「2025年の秋にアドレス125がフルモデルチェンジしちゃって(笑)。それで慌てて新型ベースでも作りました」
普通ならここで計画を練り直すところだが、ブレスクリエイションは止まらない。結果として、新旧2モデルを同時に仕上げるという離れ業に。
「本当は先代モデル用だけ先に発表しようかとも思ったんですけど、どうせなら同じタイミングで見せたほうが面白いなと」
完成からわずか半年。“東京モーターサイクルショーに合わせて発表した”というこのスピード感も含めて、いかにも同社らしいフットワークの軽さだ。

こちらは先代アドレス125ベースのリヤ周りの写真。似たデザインだが型式ごとに形状は微妙に異なっている。

こちらが現行アドレス125ベースのリヤ周り。見比べてみると給油口の位置やタンデムステップ、リヤキャリアのステーの出方などが違うのが分かる。
外装だけじゃない、“雰囲気ごと作る”のがブレス流

今回のカスタムで注目すべきは、単なる外装変更に留まらない点だ。ただの被せるだけのカウルキットではなく、ヘッドライトやウインカーの形状も変わるし車体のボリューム感も違う。さらにオプションパーツ扱いにはなるがリヤキャリア(同社ではクラシックキャリアと命名)などのパーツも自社で製作し、車両全体の“雰囲気”をトータルで作り込んでいる。
「現行アドレス125はリヤキャリアがパイプ式ですから、そこはノーマルを加工してるんです。でも後ろの柱とかクッションの雰囲気は、先代モデル用に作ったキャリアのほうが全体のバランスと合っているので、最終的には現行アドレス125用もそっちのテイストに寄せる予定です」
つまり、実用パーツすら“デザインの一部”として扱っているわけだ。
このあたりは、エアロや外装を専門にしてきたブレスクリエイションならでは。単品で完結させるのではなく、車両全体で世界観を成立させるという思想が見える。
実際、会場ではショップ関係者から「店頭に並べたい」という声も上がっていたという。見た目のインパクト(集客力)と商品としての完成度、その両立ができている証拠だ。
塗装済み+分割販売=“誰でもできるカスタム”

ユーザー目線で見逃せないのが、その導入のしやすさだ。外装キットは塗装済みキットで販売され、装着するだけで一気に雰囲気が変わる。
「もちろん塗装済みで買えますし、フロントキット/リヤキットといったバラ売りも考えています。フロントだけやってみるとか、お財布にも優しいですしね」
この“分割で楽しめる”という提案が実に今っぽい。いきなり全身整形ではなく、まずは顔つきから変える――そんなライトな入り口が用意されている。
さらにメッキミラーやクラシックキャリアなどのオプションも展開予定で、好みに応じて仕上げていける自由度も高い。
フルキットで30万円前後 今春~夏頃にかけて順次発売予定

そしてやっぱり気になるのが価格帯。
今回の外装キットは、フルで揃えて塗装込みでおおよそ30万円前後を想定しているとのこと。
キット内容としては、ヘッドライトカウル/フロントパネル/フロントサイドカウル(左右)/アンダーステップパネル(左右)/フェンダーマスコット/シートアンダーカウル/となっており、付属品として、ウインカー(前後)/LEDヘッドライト/テールライトとなる。またオプション設定もあり、クラシックリヤキャリア、丸型メッキミラー、シート張替え等にも対応してくれるよう。
単なるパーツの寄せ集めではなく、“一台分のデザイン”として成立する構成になっているのがポイントだ。
もちろんフロント/リアの分割販売も予定されているため、「まずはフロント周りだけ」といった少しずつアップデートをしていくような楽しみ方なら、グッとハードルは下がる。先代モデルならば中古のアドレス125をベースにする手もある。どちらにしてもイチからカスタムすることを考えればかなり現実的な予算感に収まるはずだ。
つまりこのキット、“予算と気分に合わせて遊べる”設計になっているわけだ。