カワサキ×ビモータ、新時代の400ccスーパースポーツ誕生

2026年3月に開催された大阪モーターサイクルショーにおいて、イタリアの名門ビモータが放つ新型モデル「KB399」が世界初公開された。会場となったカワサキブースでは、同ブランドの復活を象徴する一台として大きな注目を集めた。

ビモータといえば、大排気量かつ高価格帯のプレミアムマシンで知られる存在だが、今回のKB399はその常識を覆す400ccクラスへの参入となる。カワサキが資本参加して以降、両社の関係は一層強化されており、本モデルはその象徴とも言える共同開発の成果である。

開発の出発点となったのは、カワサキのスーパースポーツ「Ninja ZX-4RR」。その並列4気筒エンジンの完成度に魅了されたビモータ側が、このユニットを核として新たなモデル構築を決断したことが背景にある。

従来のビモータとは異なる排気量ながら、その思想は一切妥協がない。軽量かつ高回転型の4気筒エンジンを核に据え、イタリアンブランドらしい美意識とハイエンドパーツを融合。ミドルクラスにおける新たな価値基準を提示する存在として登場した。

ZX-4RR譲りの高回転4気筒と専用チューニング

KB399の心臓部には、399ccの水冷並列4気筒エンジンが搭載される。ベースとなるZX-4RR譲りのユニットは、高回転域で鋭く吹け上がる特性を持ち、400ccクラスとしては異例とも言えるパフォーマンスを実現している。

さらに、ビモータ独自のチューニングが施されている点も見逃せない。専用設計のアクラポビッチ製サイレンサーを装備し、高回転域の伸びとサウンドの質を向上。単なる流用ではなく、“ビモータの味付け”が加えられている。

このエンジンは単にパワーを発生させるだけでなく、扱いやすいトルク特性も併せ持つ。街乗りからサーキット走行まで幅広く対応し、ライダーに強い高揚感をもたらす設計思想が貫かれている。

ビモータがこのクラスに参入した意義は大きい。高回転4気筒という希少な存在をベースに、より洗練された走行体験を提供することで、400cc市場そのものの価値を押し上げる可能性を秘めている。

専用シャシーと豪華装備が生む“ビモータらしさ”

KB399はエンジンだけでなく、車体構成においても徹底した作り込みがなされている。アルミ削り出しのトリプルクランプや専用セッティングのサスペンションを採用し、剛性と操作性のバランスを高次元で両立。

ブレーキにはブレンボ製Stylemaキャリパーを装着し、400ccクラスとしては異例の制動性能を確保。さらにフロントフォークも専用品が与えられ、単なるベースモデルの流用にとどまらない仕上がりとなっている。

デザイン面では、上位モデル「KB998 Rimini」に通じるレーシーなスタイリングを採用。ウイングレットを備えたフルカウルは空力性能を意識した造形となっており、ビモータ特有の造形美と機能性が融合している。

また、燃料タンクや電装系など一部はZX-4RRの要素を活用しつつ、フロントまわりやカウルデザインで大きく差別化。結果として、見た目にも走りにも“別物”と感じさせる完成度を実現している。

上位モデル「KB399 ES」が示すプレミアムの極致

KB399には、さらに上級仕様として「KB399 ES(エディツィオーネ・スペチアーレ)」が用意される。このモデルはビモータの真骨頂とも言えるプレミアム装備を惜しみなく投入した一台だ。

最大の特徴は、ドライカーボンを多用した外装である。アッパーからサイド、ロワーカウル、さらにはウイングレットに至るまでカーボン化され、軽量化と高級感を両立。視覚的なインパクトも圧倒的だ。

サスペンションにはオーリンズ製を採用し、走行性能はさらに高次元へと引き上げられる。加えて、アルミ削り出しのハンドルや調整式ステップなど、細部に至るまでレーシングスペックが与えられている。

価格はスタンダードモデルが約146万円、ESモデルが約245万円とされ、400ccクラスとしては高額ながら、その内容を考えれば極めて戦略的な設定とも言える。

2027年春の発売が予定されるKB399は、単なる新型モデルではない。カワサキとの協業によって再生を遂げたビモータが、新たな市場に向けて放つ意思表示そのものだ。

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