模倣を防ぎ、ブランドを守る「知財ミックス戦略」が高く評価

4月17日、東京都内で令和8年度「知財功労賞」の表彰式が行なわれた。知財功労賞とは、特許庁が日本の知的財産権制度の発展・普及・啓発に貢献した個人、及び知的財産権制度を積極的に活用した企業等を表彰するもの。意匠に関する知財功労賞を自動車OEMが受賞したのは、トヨタが初となる。

4月17日、東京都内の会場で「令和8年度 知財功労賞表彰式」が開催された。
令和8年度は、経済産業大臣表彰として個人2名と企業等7者、特許庁長官表彰として個人4名と企業等14者が受賞者に選ばれた。

トヨタが知財功労賞を受賞 ハンマーヘッドやスピンドルを守り抜く「知財ミックス」戦略とは

トヨタ自動車が、自動車OEMとして初めて意匠(デザイン)分野における「知財功労賞」を受賞した。「ハンマーヘッド」や「スピンドルボディ」に代表されるデザインアイデンティティはどのように守られているのか。意匠・商標・特許を組み合わせた知財ミックス戦略、そしてデザイン部と知財部が連携して行なっている取り組みに迫る。

トヨタは世界市場におけるブランド認知度の向上を目指し、デザインの一貫性を核とした知財戦略を推進している。かつては車両全体の意匠登録を主軸としていたが、それでは部分的な模倣に対応できないという課題があった。これに対し、1999年の意匠法改正を機に、スピンドルグリルやハンマーヘッドといった象徴的なデザイン要素を「群」として部分意匠で押さえるアプローチへと移行。さらに直近の5~10年では、意匠権だけでなく、特許権(技術的アイデア)や商標権(ブランド識別)を組み合わせる「知財ミックス戦略」を導入。デザイナーと知財部門が連携し、「より多面的に保護する方法」を取り入れている。

今回の知財功労賞の受賞は、そうしたトヨタの取り組みが高く評価された結果である。デザイナーやエンジニアの努力が権利として守られ、彼らの創造性が会社の財産となることにより、働き手の大きな誇りとモチベーションにも繋がっているようだ。

知財功労賞の表彰式は毎年、4月18日の「発明の日」に行われるのが通例となっているが、今年は18日が土曜日のため、開催が1日前倒しされた。ステージにはチーフ・ブランディング・オフィサーのサイモン ハンフリーズ氏が登壇し、特許庁長官表彰が授与された。

知財活用企業(意匠)として表彰されたトヨタ自動車。サイモン ハンフリーズ氏が代表して表彰状を受け取った。