リニューアルモデルをターザン山田がテスト!
ステージに合わせたセッティングが自由自在
1993年、フォーミュラマシン用サスペンションの研究開発からスタートしたHKS。1998年には市販車向け車高調『ハイパーマックス』を発売し、その後もⅠ〜Ⅳへと進化を重ねながら、多くのスポーツカーオーナーから支持を集めてきた。
そして2021年にはストリート向けモデル『ハイパーマックスS』、翌2022年にはスポーツ走行特化型『ハイパーマックスR』をリリース。今回、その看板モデルであるハイパーマックスSが大幅リニューアルを果たした。

新型ハイパーマックスSは、“街乗りからワインディング、スポーツ走行まで楽しめる”という基本コンセプトを継承しながら、この5年間で寄せられたユーザーの声を徹底分析。さらに神奈川工科大学との共同研究によって“気持ちいい走り”を数値化し、モータースポーツで培った技術をフィードバックすることで再設計が行なわれている。
目指したのは、単なる乗り心地ではない。“走る楽しさ”まで含めた『走り心地』の追求だ。
特に注目したいのは、ユーザーから多く寄せられていた「ゴツゴツ感」への対策。初期入力を抑えたことで、より上質で滑らかな乗り味を実現している。
コーナリング時の自然な姿勢変化にもこだわり、“快適なのによく曲がる”をテーマとした『フラットライドコンセプト』を採用。内部構造から車種別セッティングに至るまで全面的に見直しが行なわれた。
そのベースとなるのは、HKSこだわりの単筒式ショックアブソーバー構造。さらに、自社生産と自社セッティングによるジャパンメイド品質も大きな特徴だ。

今回のリニューアルでは減衰力調整機構も進化。ニードル形状を変更することで、ワンクリックごとの変化量をより大きく設定した。
特にソフト方向の調整幅を拡大したことで、従来モデルで指摘されていた“硬さ”や“突き上げ感”を改善。さらに車種ごとに最適なニードル形状を採用することで、幅広いシチュエーションに対応できるセッティング領域を実現している。

また、ストローク初期でバンプタッチさせて荷重を立ち上げる特性は継承しつつ、バンプラバー形状を車種ごとに最適化。低速域での不快なゴツゴツ感を抑えながら、高速域ではロール感を自然にコントロールすることで、快適性とスポーツ性を高次元で両立している。


スタビライザーリンクも刷新され、ジオメトリー最適化やボールジョイント採用、ブーツ部の耐久性向上など細部までアップデート。さらにダストブーツ素材もゼロから見直され、耐熱・耐候・耐オゾン性能に優れた素材へ変更された。
これにより、従来は保証対象外だったスタビリンクとダストブーツも、3年6万km保証の対象となった点も見逃せない。

アッパーマウントには、ボディ振動の吸収性としなやかな動きを重視した強化ゴムタイプを採用。車種によってはピロアッパー仕様も選択可能となる。
また、従来モデルのヘアライン調仕上げから、マットな質感のショット加工仕様へ変更された点もポイント。性能だけでなく、細部の質感にもこだわった仕上がりとなっている。

今回は、そんなリニューアル版ハイパーマックスSをターザン山田がワインディングで試乗。GR86、VAB、FL5という3台を乗り比べ、そのリアルな印象を語ってくれた。

まず試乗したのはGR86。
「駐車場から出た瞬間に“おっ、減衰力しっかり出てるな!”って分かる足だね。微小なステアリング操作にも遅れがないし、それでいてゴツゴツ感がない。この辺はデュアルプリロードバルブシステムの効果だと思う。ただ、ペースを上げるとフロントのロール量が少し気になる。巻き込みが強くなって、そこからトラコン制御が入る感じ。少しオーバーステア気味で怖さもあるね。でもフロントの減衰を締めると、一気にバランスが良くなる。ハイパーマックスRにも負けないくらいの仕上がりだと思う。富士や鈴鹿みたいなハイスピードコースでも十分イケそう。とにかくセッティング幅が広いから、弄る楽しさもある車高調だね」。

続いて試乗したのはVAB。
「重い車重なのにロール感を上手く抑えてる。アンジュレーションもしっかり吸収しながら路面を掴んでくれるし、アンダー感も少ない。初期から減衰が立ち上がる感じがあって、高級ショックみたいな上質感がある。しっかり感もレスポンスもあるし、それでいて乗り心地も良い。助手席の彼女なんか、サスペンション替えてることに気づかないんじゃないかな。街乗りなら前後15段で十分だけど、少し攻めるならGR86と同じように減衰を締めてあげるとかなり面白いと思う」。

最後に試乗したのはFL5。
「標準の前後15段設定だと少し柔らかく感じるけど、FFで変なオーバーステアが出ることもないから安心感はあるね。ただ、やっぱりハイパワーFFターボだから、攻めるとフロントのトラクション不足は感じる。これもGR86と同じで、フロント減衰を少し強めるとサーキットではかなり良くなると思う。乗り心地に不満は全然ないし、スピードレンジに合わせて減衰を調整していけば、サーキットでも十分武器になる足だね」。

ターザン山田のインプレッションから見えてくるのは、このハイパーマックスSが単なる“快適系車高調”ではないということだ。
街乗りでの上質な乗り味をベースにしながら、減衰力調整次第でスポーツ走行まで幅広く対応する懐の深さを備えている。セッティングによってキャラクターを大きく変化させられるこの一脚は、乗り手の好みに合わせて“走り心地”を作り込める、現代的オールラウンダーと言えるだろう。
●取材協力:エッチ・ケー・エス 静岡県富士宮市北山7181 TEL:0544-29-1235
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