昨年ホンダの250ccオフロードバイクに乗り換えたのは、パリダカに出たいとか大それた願望からではなく、ごく稀に友人たちと行く関東近郊ツーリングで「この林道の先に何があるのだろう」という素朴な探究心からだ。だがバイクに乗るのは、せいぜい1〜2ヵ月に1度といったところだから、免許取得から20年以上経っても素人の域を脱することのないペーパーライダーであり、オフロードバイクは宝の持ち腐れであった。
そんな私を見かねたモーターファンバイクスの山田編集長がヤマハ発動機販売が主催する「YRA(ヤマハ ライディングアカデミー)ヤマハ バイクレッスン」体験取材の機会を授けてくれた。今回取材したのはオフロードレッスンで、教習車の刷新など内容を一部変更したことでさらに充実した内容に進化し、応募倍率5〜10倍に達する人気レッスンだという。


オフロード走行にあたり、ヘルメットはもちろん、ブーツ、胸部プロテクターなどの専用装備が必要だが、ほとんどの装備はレンタル可能だ。免許証と長袖・長ズボンなどで気軽に参加できるので、50代初老の男性でもハードルは低い。
教習車は本格オフロードバイク「WR125R」である。フロント21/リヤ18インチホイールによる高い走破性と125ccながら低回転域から扱いやすいエンジンで、初心者でも安心してオフロード走行が可能だという。この最新マシンで、オフロード走行ならではの乗車姿勢やバランスの取り方、バイクの扱い方を基礎から習得できるという。久々の心踊る取材からか、年齢からくるものかその週は眠りが浅かった。

メインのレッスン車両はWR125R。用意されたのはノーマル・ローダウンリンク仕様・ローダウンリンク+ローダウンシート仕様の3種類。今回の筆者の相棒はローダウンリンク仕様。
レッスン会場は埼玉県川越市の荒川と入間川に挟まれた河川敷にあるオフロードヴィレッジというクローズドコースだ。レッスンは、9時からの座学に始まり実技、昼食を挟んでまた実技が16時まで行われ、充実の内容となっている。
受付を済ませて専用装備に着替えて座学。まずは車両の状態、装備類のチェック、停止状態でのライディングポジションの確認などから始まった。本稿ではレッスンの詳細には触れないが、改めて基礎の大切さを学んだ。20年以上も前、大人になってから教習所で2輪免許を取得して以来、誰にも教わることはなかったが、こうして学び直すと全てが新鮮だ。定年後、大学に入り直す諸先輩方の気持ちもちょっと共感できた。

参加者は私のようなオフロードバイク初心者だけでなくリターンライダー、ベテランライダーも対象で、実際、10倍の狭き門を潜り抜けた今回の17名の参加者も初心者からベテランまで多彩だった。住所も地元埼玉からヤマハ本社のある静岡まで幅広い地域から訪れている。むしろベテランも定着してしまった悪い癖を修正したりできるという。
オフロードの装備は想像以上に難儀であった。上半身のプロテクターはともかく、特にオフロードブーツでは足首がほとんど動かず、ギアやブレーキ操作がとても難しい。正直何を踏んでいるのか、踏んでいないのかよくわからない。これでリヤブレーキかけられる? ギアを入れられる? スキーブーツよりは動くが、ほとんど足首は動かないというのが第一印象だ。

オフロードの醍醐味であり、同時に難しいところは、舗装路と比べて圧倒的に滑りやすく、路面に凹凸があることだ。30km/hからクラッチをきってリヤをロックさせるレッスンでは、砂地と草地でグリップがまったく違うことを痛感した。ちなみにWRにはフロントブレーキにABSが備わっていて、つまり転倒しにくく、やば!という瞬間も決定打にはならなかった(立ちゴケはしたが)。
うまくいくとインストラクターが「いいですよ!」と励ましてくれる。これが次のトライへの活力につながる。聞けば、インストラクターの中には元・全日本モトクロス選手権のライダーもいるという。ほかにも経験豊富なスタッフが揃っていて、教え方も上手いが、当然バイクの扱いも上手い。



加速姿勢と減速姿勢をマスターするべく、直線で加速減速を繰り返す。加速時はフロントに荷重を移し、減速時はリヤに荷重が移るようにポジションを変える。減速時は前後ブレーキを使う。バイクはライダーが大きくポジションを変えることで、バランスを取る乗り物であることを改めて痛感する。
曲がるレッスンで学んだ初歩のテクニックで重要なことは、スタンディング走行とリーンアウト、そして足を出すコーナリングだ。スタンディングのポイントは膝がつま先よりも前に出ないことと、ニーグリップをしっかりすること。前方の確認がしやすいのと、足をサスペンション代わりにすることで安定性が増すというが、慣れない姿勢はむしろ疲労が増幅した。

低速でUターンする際はリーンアウトが有効だが、ある程度のスピードでコーナリングするなら、イン側の足を前方に出すのがオフロード流だ。リーンアウトした際のバランスがとりやすくなり、さらに前寄りに座ることでフロントタイヤのグリップをあげる意味がある。足を出す目的は転倒回避のためでもある。路面状況が変化するオフロードでは、予想以上にスライドした際に転倒を回避することができる。それとWR125Rは低速の粘りがあるエンジンなので、Uターンがとてもやりやすかったことを付け加えておこう。
注意点はアウト側のつま先でブレーキやギアを誤操作しないようにすること。右コーナーではギアを操作しないように、左コーナーではブレーキを操作しないようにするためだ。そのためリーンアウト中はリヤブレーキを利かせられない。オフロードでは手前で減速を終えていることが鉄則だ。

ひと通り学んだところでトレッキングコースに行くことなった。まだオフロードを走り始めて3時間しか経っていないのに!と不安になるが、先導する凄腕インストラクターはオフロードビレッジの奥へとズンズンと進んでいく。
訪れた場所は、初心者的にはまあまあの坂だった。高さは3mほどだがツーリング中に出会ったら迂回ルートを探すレベルだ。「ここを登ります」とインストラクター。ええ!と思いつつ意を決して加速姿勢の前傾スタンディング姿勢で上ると、WR125Rは何事もなかったかのように登りきった。続いて似たような下り坂をブレーキングの要領でリヤ荷重で降るとこれもあっけなく降っていける。わずか3時間のトレーニングで、驚くほど技術が進化し、メンタルも変化したことを痛感した。

レッスンの最後は、その時点の実力に合わせて数台ずつグループ分けされて、オフロードビレッジの様々なコースを体験した。複数台で連なって走るとどうしても埃まみれになるが、それも楽しく、もちろんジャンプするような小山は通ってもゆっくりと通過しただけだが、十分に満足のいくものだった。おっかなびっくりだった今朝9時の自分に今の姿を見せてあげたい。

関東のオフロードバイクの聖地、オフロードビレッジは、われわれがレッスンを受けたこの日も大盛況で、多くのライダーがジャンプし、なんなら小さな子供もビョーンと飛んでいた。こんな日が来るのだろうか……いやいや、もういい歳だ、それは目指さないようにしよう。ともかくあれ以来「オフロードブーツが欲しい」「安全面のために肘膝プロテクターも」……などと妄想しつつ、翌日の風呂で鼻をかむと黒い土が出たことに驚きつつ、オンラインストアを物色する日々である。
オフロードレッスンを受けた後、この趣味を続ける方法を考えた。今後も続けていくためには、近くに練習場所が必要だし、何より練習に行く時間が必要だ。しっかりとした技術が身につくまでは単独行は厳禁なので、暇な友人をこの世界に誘い込む必要がある。その時には、老若男女にお薦めできるこの最高のオフロードレッスンを紹介したい。
開催スケジュール

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