① 車載映像の撮影に適したカメラの選択とは

必ずしも高価なものは必要なくスマホでも撮影は可能です。予算があればデータロガーと同期できるものがよいですが、無理な場合は映像にタイムモニターが写るようにすると、後で動画の比較がしやすいでしょう。

②必要でない情報を入れない画角と取り付けのポイント

【参考】梅田講師 コースイン~アタックラップまでのノーカット車載映像(2023年 メディア対抗ロードスター4時間耐久レースより)

上の写真のように、画角の真ん中が外にくる高さに設置します。前方がよく見えるように、カメラを設置する高さはバックミラーより下にしてください。

そして、ピントが車内ではなくコースに合うよう、画面の中心が車外にくるようにするとよいでしょう(これは外の景色が白抜けしてしまうことも防げます)。できればシフトレバーも入るアングルにするとよいでしょう。

さらにポイントは、「サイドウインドウが映らないくらいのアングル」であること。なぜなら、フロントウインドウにおける車窓の景色の変化から、ピッチングやロール、ヨーモーメントなど、操作に対するクルマの動きを判断しているからです。

逆にサイドウインドウまで映る広い画角となると判断がしにくく余計な情報となります。ロールバーなど適当な設置場所がないためか、リアウインドウに吸盤でカメラを固定しているケースがあります。

これだと超広角なアングルなため、4ドア車だとリアのサイドウインドウまで写ってしまうことも。フロントウインドウの比率が小さく、クルマの動きを判断しにくいのです。

水平方向のセンターにカメラの取り付けが難しい場合は、助手席または後部座席のサイドウインドウに設置するのがオススメです。

③走ったら忘れないうちにすぐに見て復習する

走行終了後、グリップ状況やGの感触などのフィーリングを覚えているうちに撮影した車載映像を見ることをオススメします。全ラップでなくてもよいので、1周目とベストラップの周、最後の周を確認できるとよいですね。

④車載映像での操作からチェックするべきポイント

その1 ハンドルの切り方、戻し方に癖はないか? パドックも見る 

舵角によってハンドルを切るスピードが一定でなく乱れていたり、ハンドルを弧状でなく直線方向に回しているケースがあります。これはサーキットだけでなく、パドック内や、街乗りでの車庫入れの際にも確認するとよいでしょう。

その2 目線が近くないか?

頭の向きをチェックします。ブレーキング時に、終了までずっと真っすぐ向いたまままになっていないか? また、コーナーの先を見ているかを、頭の向きで視線を確認できます。

その3 体幹がブレていないか?

ブレーキング時に上半身が前に持っていかれて動いたり、コーナーリング時に横にズレていないかをチェックします。体幹がブレてしまうと、正確な操作が難しくなります。

横Gが掛かりつつ、ステアリングを切りながらのシフトダウンなどの同時操作ではとくに体幹が重要になってきます。アマチュアは気にしていない人が多いのですが、シフトミスが多い人は体幹のブレが原因かもしれません。

その4 シフトチェンジで、無駄な力が入っていないか?

体幹の問題だけでなく、そもそもシフトゲートとズレた方向でシフトチェンジしようとしている映像を多く見かけます。よくシフトミスをする方は、これも映像で確認してみるとよいでしょう。

その5 シフトアップの際に最高回転まで引っ張れているか?

エンジン特性に合わせて、最も効率のよい回転でシフトアップできているかが重要です。NAエンジンの場合、レブリミットに当てる直前でのシフトアップがタイムアップのカギとなることが多いものです。

しかし、NAでもかなり早めにシフトアップしているケースも多くみかけます。逆にターボエンジンでは、高いブーストを維持しやすいように早めのシフトアップが加速効率がいいものです。その場合、引っ張りすぎていないかもチェックしましょう。

その6 舵角とヨーモーメントの変化でアンダー・オーバーを判断

ヨーモーメントは映像の横方向の景色の移り変わりで判断します。ハンドル舵角より景色の変化量が大きければオーバーステア、小さければアンダーステアが発生していることがわかります。

その7 ABSが介入しているか?

ABSが入ると特徴的な振動が映像上でも発生していることが見受けられます。また、キュキュ(シュシュシュ)と連続したスキール音が鳴ります。ABSが介入するタイミングと解除するタイミングをチェックします。

踏み始めてすぐにABSが入るのがベストで、ブレーキ区間の後半にABSが作動している場合は初期踏力が弱く、後半に踏力が上がっているということ。

また、ABSが入ったままハンドルを切ってもクルマは曲がろうとしません。曲がらないのにハンドルを切ってしまい、その後にブレーキリリースしABSを解除する(ハンドルを切ったまま)と、極めて挙動を乱しやすいものです。

その8 どこからハンドルを切り始めているか?

「どこからブレーキを踏み始めたか」をチェックする人は多いですが、「どこからハンドルを切り始めたか」をチェックする人は少ないでしょう。

コーナー進入で奥まで行ってハンドルを切り始めて(ハンドル切り遅れ)、急ハンドルとなる人が多いのです。急ハンドルによって急にロールが発生し、挙動が暴れるようではタイムロスとなります。

その9 ロールの動きとハンドルの動きがリンクしているか? 

ロールがいつから始まっているか? 急に立ち上がっていないか? 急に終わっていないか? をチェックします。いつ始まり、いつ終わったかがわからないのがベストです(前号参照)。

その10「ためらいアクセル」をしていないか?

ブレーキリリース直後に、なんとなくアクセルペダルに移行してアクセルONしている人をよく見かけます。

もちろん向きが変わっていたり、向きを変えるためににあえてアクセルONする場合もあるので一概に悪いとはいえません。

ただし、どのコーナーでも同じように癖でアクセルONの操作をしている可能性があります。

このアクセルONにより向きが変わらず、そのあとに曲げようとしてアクセルOFFをしている場合があるのです。

アクセルONを待つことも重要。クルマの向きが出口方向に変わってから、そしてできるだけ早くアクセル全開にすることを心掛けるとよいでしょう。


R会の添削において、このような観点からチェックしていることの一部をポイントとしてお伝えしました。毎日のようにサーキット走行できる環境にある人はほとんどいないはずです。

車載映像は有効に活用すると効率よくスキルアップにつながります。ただ、漫然と映像を見るのでなく、「より意味のある」 練習にしませんか?

タイヤの縦と横の使い方は低速コーナーと高速コーナーで異なる レブスピードR会 ドラテクの「傾向と対策」セレクション

レブスピードのドラテク通信添削『R会』。受講者から送られてきた車載映像をチェックしている梅田 剛講師は、コーナーによりタイヤの縦横を使う意識を切り替えるべきという。 Text/梅田 剛 本記事はレブスピード 2021年7月号からの抜粋です。


講師
梅田 剛

本業は医師である梅田講師。R会の車載映像添削では、操作と車窓の景色の変化から、ロール、ピッチングの推移やABSの介入などを認識しているという。