バッテリーや部品への負荷を考えるとオフが無難?

アイドリングストップは、信号待ちや渋滞などでクルマが停止した際に自動でエンジンを切り、ブレーキを離すなどの発進操作をおこなうと再び始動させるシステムのことである。
無駄な燃料の消費を防ぎ、排気ガスを減らすための環境に配慮した機能として、ここ十数年で多くのクルマに標準装備されるようになった。
しかし、エンジンの再始動時に生じる不快な振動や、発進時のわずかなタイムラグ、あるいは停止中にエアコンの効きが弱くなってしまうことにストレスを感じる人も多いようだ。
そのため、エンジンをかけるたびにアイドリングストップをキャンセルするドライバーは少なくないかもしれない。

では、アイドリングストップのキャンセルによって、なにかほかにメリットは得られるのだろうか。
結論から言えば、アイドリングストップのキャンセルによって、トータルでのガソリン代の出費を抑えられる可能性は十分にあるとされている。
とくに街中など信号待ちや渋滞によるストップアンドゴーが多い場所において、エンジンの頻繁な停止と始動を繰り返すことは、クルマにとって決してよいことばかりではない。

そもそもエンジンの再始動には、セルモーターという部品を動かすために大きな電力が必要となり、それを支える専用のバッテリーにもかなりの負担がかかってしまう。
アイドリングストップ車に搭載されている高性能なバッテリーは、一般的なバッテリーに比べて価格が数万円ほど高く設定されていることが多い。
そのため、わずかに浮いたガソリン代よりも、負荷によって短くなった寿命による高額なバッテリー交換費用のほうが上回ってしまうケースが少なくないというわけだ。
また、セルモーターなどの関連部品への負荷も蓄積されるため、長期的なメンテナンス費用を考慮すると、乗車時に機能をキャンセルするのは経済的にも理にかなった行動と言えるだろう。
あえて機能を最初から搭載しないモデルも増加している模様

さらに近年の自動車市場の動向を見ても、アイドリングストップに対する考え方は大きく変わりつつある。なんと、あえてこの機能を最初から搭載しない新型車が続々と増えているのが今のクルマ業界の現状なのだ。
たとえば、トヨタのコンパクトカーである「ヤリス」には、アイドリングストップ機能が備わっていない。また、ホンダの新型「フリード」や「フィット」といった身近な人気モデルのガソリン車にも、マイナーチェンジや新型投入のタイミングでこの機能が廃止されている。
エンジン自体の燃費性能が飛躍的に向上した現代においては、高いコストをかけてまでアイドリングストップ機構を載せるメリットが薄れてきていると判断された証拠といえるだろう。
さらに、アイドリングストップをオフにすれば、エアコンが途切れることなく快適な車内温度を保つことができ、発進時のわずかなタイムラグや不快な振動に悩まされることもなくなる。

したがって、目先の小さなガソリン代の節約よりも、高額なバッテリーの寿命を延ばし、快適でスムーズな運転環境を優先するならば、乗車時に機能をキャンセルする行為は十分に理にかなっているといえそうだ。
自分のライフスタイルやクルマとの付き合い方に合わせて、上手に機能を取捨選択していく視点がこれからのドライバーには求められている。
