見た目はおしゃれ、でも中身はしっかりホンキです

ベスパらしいクラシカルなスタイルを残しながら、中身は182cc仕様の本格チューニングマシン。モノトーンで統一されたマロッシ仕様が存在感を放つ。

日本ではおしゃれな高級スクーターのイメージが強いベスパだが、本国イタリアではマロッシをはじめ様々なブランドからチューニングパーツがリリースされている。とくにスプリントシリーズはエンジンマウントが強化されており、イタリアではワンメイクレースが開催されているほど。また、インドネシアではカスタムベースとしても人気が高く、その手のパーツが実は豊富なのだ。
そんなスプリント150をベースにモノトーンでまとめたのがこの一台。見た目は落ち着いた大人のスクーターそのものだが、中身はかなり刺激的。エンジンにはマロッシ製φ63mmシリンダーを組み込み、排気量は155ccから182ccへアップ。さらにストリートRXマフラーとForce Master 2によって燃調や点火時期まで最適化されている。
もちろん変更点はエンジンだけではない。プーリーや13.5gウエイトローラー、Vベルト、デルタクラッチ、クラッチアウター、センタースプリング、ハイギアまでマロッシ製で統一。まさにイタリア流スポーツチューンのお手本のような内容だ。

Sprint 150をベースに182cc化を実施。マロッシ製パーツを多数投入しながらも、上品なベスパらしさはしっかり残されている。

ベース車はベスパSprint 150。クラシカルなデザインとスポーティな車体構成を両立し、チューニングベースとしても高いポテンシャルを秘めている。

高回転でつながり、そのまま伸び続ける快感

試乗したキッシー岸田がまず驚いたのは、その加速フィーリングだった。「高回転でミートして、そのままグイグイ加速していくのがマロッシらしくてすごく気持ち良い」というコメントどおり、加速は単なる排気量アップ仕様とはひと味違う。高回転でつながった後も車速が落ち込むことなく、そのまま伸び続けていく感覚はまさにマロッシらしい特性。それもそのはず、駆動系パーツはプーリー、Vベルト、クラッチすべてマロッシ製に交換されているのだ。キッシー岸田曰く「イタリアで試乗したレース仕様を思い出す」ほどフィーリングが近いという。
しかも素晴らしかったのは、そのパワーをしっかり受け止める車体側の完成度。高速コーナーでもヨレにくく、フルブレーキ時もフロントがしっかり踏ん張る。パワーアップしたスクーターにありがちな不安感が少なく、「速いのに安心して乗れる」という評価につながっている。ハイギア化によって高速域の伸びも向上。街乗りでは扱いやすく、ワインディングではスポーティ。さらにロングツーリングまでこなしてしまう懐の深さも魅力だ。実際、この車両はエンジン組み付け後も長距離を走行しており、オーナーやショップ側からも耐久性への不安は少ないという声が聞かれた。
おしゃれなスクーターというイメージが先行しがちなベスパだが、その気になればここまで遊べる。見た目と走りのギャップこそ、このスプリント150最大の魅力なのかもしれない。
スクーターのチューニングと聞くとシグナスXやアドレス、最近ならPCXやNMAXを思い浮かべる人が多いだろう。しかし、あえてベスパで楽しむという選択肢も面白い。誰もが選ぶ定番ではなく、自分の好きな一台を自分らしく仕上げる。そんな大人の遊び方もまた、ベスパらしい魅力と言えるのではないだろうか。

リヤショックはマロッシ製RS24。スポーティな走りに対応しながら乗り心地も確保。ホワイトスプリングも車体カラーとの相性抜群だ。

インジェクションモデルのため、ECUにはマロッシ製「Force Master 2」を追加で装着。燃料噴射量や点火時期などを最適化し、182cc仕様のポテンシャルを引き出している。

取材協力

ベスパ東京日本橋

東京都中央区日本橋浜町に店舗を構えるベスパ専門ショップ。新車・中古車販売はもちろん、メンテナンスやカスタムにも対応する。今回のようなマロッシ製パーツを活用した本格チューニングも得意分野。ベスパを「おしゃれな移動手段」としてだけでなく、「走りを楽しむ趣味の一台」として提案してくれる。
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※この記事は月刊モトチャンプ2020年10月号を基に加筆修正を行っています

【モトチャンプ編集部】