SLK32
復活の2シーターオープンスポーツカー

1989年に登場した「ユーノス ロードスター」は、それまでほぼ死滅状態にあった2シーターオープンスポーツカーの市場を復活させ、世界中に大きなムーブメントを巻き起こした。その流れに各自動車メーカーも呼応し、多くのフォロワーが発売されることなり、メルセデス・ベンツとしても傍観しているわけにはいかなくなった。
そこで1996年のトリノ・モーターショーで発表されたのが、R170型「SLK」であった。1994年の同ショーでお披露目された「SLK Ⅰ コンセプト」、パリ・ショーで発表された「SLK Ⅱ コンセプト」をルーツとするSLKは、ホイールベースを2400mmへと短縮したW202型「Cクラス」のプラットフォームを使用。SLKという名は、スポーティ(sportlich)、軽量(leicht)、コンパクト(kurz)の頭文字をとったもので、そのボンネットフードの下には2.0リッター直4DOHC(M111.946)、2.0リッター直4DOHCスーパーチャージャー(M111.943)、2.3リッター直4DOHCスーパーチャージャー(M111.958)ユニットが搭載された。
コンパクトな2シーターのボディは、ブルーノ・サッコのもと、マイケル・マウラー、ムラト・ギュラクらがデザインを手がけたもの。その最大の特徴は「バリオルーフ」と呼ばれた25秒で開閉可能な電動式のメタルルーフを採用していたことで、重量増によるスポーツ性の低下は免れなかったものの、高い耐候性で後のクーペカブリオレブームの牽引役となった。
大パワーに対応するため新開発トランスミッション

そんなSLKにAMGバージョンとなる「SLK230 AMG」が追加されたのは、デビュー直後の1997年のこと。日本市場用としてAMGジャパンから発売されたSLK230 AMG は、SLK230をベースに専用のエアロパーツ、ホイールなどコスメチューンを施したもので、特にメカニズムには手を加えられていなかった。
そして2001年、メルセデス・ベンツはマイナーチェンジを済ませたSLKのハイパフォーマンスバージョンとして「SLK32」をリリースする。これは「BMW Mロードスター」「ポルシェ ボクスターS」といったライバルたちへの対抗馬として企画、開発されたもので、「SLK320」の3.2リッターV6 SOHC M112型ユニットをベースにIHIと共同開発したヘリカルスクリュータイプのスーパーチャージャーと、水冷式インタークーラーを装着。排気量は変わっていないものの、SLK320の218PS、310Nmを大きく上回る最高出力354PS、最大トルク450Nmを発生した。
この大パワーに対応するためにトランスミッションには新開発のスピードシフト5Gトロニック(5速AT)を採用。マニュアルトランスミッションの用意はなかったが、その0-100km/h加速は5.2秒とアナウンスされている。
合計4333台が製造

エクステリアではフロント、サイド、リヤに専用デザインのスポイラーを装着。マフラーは2本出しで、5スポークのオリジナルホイールにフロント225/45ZR17、リヤ245/40ZR17サイズのタイヤを装着。またフロントブレーキディスクの直径が300mmから334mmに拡大されたのに加え、フロントダブルウイッシュボーン、リヤマルチリンクのサスペンションにも専用のセットアップが施されていた。
一方のインテリアは豪華な装いで、仕立てのいいレザーシート(シートバックレストにAMGのロゴ入り)、ウッドパネルのほか、スタンダードに比べて角ばったデザインのレザーステアリング、AMGロゴ入りのステップカバーなどが奢られている。
残念ながらMロードスターやボクスターSの牙城を崩すまでには至らなかったが、SLK32 AMGは2004年3月までに合計で4333台が製造され、後継のR171型にバトンタッチすることとなった。

