Lexus ES

新型はBEVとハイブリッドをラインナップ!

ついに8代目へと進化を遂げたレクサスのミドルサイズセダン「ES」。その走りはレクサスのひとつの到達点に達していた。
ついに8代目へと進化を遂げたレクサスのミドルサイズセダン「ES」。その走りはレクサスのひとつの到達点に達していた。

従来の「レクサス ES」の、端正でどちらかと言えば穏やかなキャラクターを知る人にとっては、新型の変貌ぶりはきっと驚きに違いない。デザインは一気に大胆さを増し、サイズも大幅に拡大された外観は、今までにないインパクトを備えている。

新型ESはパワートレインとしてHEVの他に初めてBEVも設定する。サイズアップはバッテリーを積むためにフロアを嵩上げしながらも、セダンらしいプロポーションを実現するためで、実際に105mm増の1560mmの全高に合わせて全長は165mm増の5140mm、全幅は55mm増の1920mmまで、それぞれ大幅に拡大されたのである。

正直、最初に見た時には面食らった。しかし見慣れてくると、各部に絞りと開放を利かせたボディラインの抑揚、新しい世代のライティングなどが相まって、悪くないなと思えてきた。もっとも、試乗の舞台がアメリカ・サンディエゴだったのも、プラスに働いたのは事実だろう。果たして見慣れた景色の中では、どんな印象となるだろうか。

大型センターディスプレイを堪能できるインフォテインメント

まずステアリングを握った「ES500e」は、前後2モーターのBEV。合計最高出力338PSと強力だ。

運転席に収まると、サイズアップの恩恵で広々とした室内は、高めの着座位置にフラットでワイド感のあるダッシュボード、フードを取り払ったメーターなどのおかげもあって、さらに開放的に感じられる。大画面のタッチパネルに加えて手を近づけると表示が灯り、しっかりクリック感もある新開発のレスポンシブヒドゥンスイッチや、面発光技術を用いたイルミネーション等々、主戦場の中国でもウケそうな仕掛けにも抜かりはない。

いざ走らせると、良い意味でクルマの大きさを感じさせない軽やかな挙動に嬉しい驚きを覚えた。操舵に対する反応に遅れがなく、クルマ全体が一体となった挙動、フラットな乗り心地など身のこなしの質が高い。

電気モーターは踏み始めから豊かなトルクを発生するが、ドライバビリティは穏やかな仕立てで、雑味を徹底的に消し去った高い静粛性も相まって、スーッと軽やかに速度を乗せていく。500という車名にしては大人しい気もしたが、高速道路での加速の力強さ、そしてその時の伸び感は胸のすくものがあり、要はしっかりスポーティさも隠し持っていたのだった。しかも、この時には車体が路面に吸い付くかのような高い安定感まで味わえる。これには感心させられるばかりだった。

第6世代の最新ハイブリッドシステム

実は新型ESの車体は、他にも「レクサス RX」など数多くの車種に使われているGA-Kプラットフォームをベースとしつつ、レクサス内での“味磨き”活動の成果で、カッチリとした剛性を獲得するなど、セダンボディの基本素性の良さが、さらに鍛え上げられている。ここ数年、地力を着々と積み上げてきたレクサスの走りが、ひとつの到達点に至ったというのが、紛れもない実感である。

こちらも好印象だったのがフロント1モーターの「ES350e」。100kg軽い車重のおかげで実用域の力感は十分だし、身のこなしもしなやか。航続距離も670kmを達成している。このモデルだけ設定されるリヤコンフォートパッケージ装着車で後席も試したが、LSをも凌ぐほどの広さと姿勢のフラット感、そして圧倒的な静けさのおかげで、ショーファードリブンとしても十分機能する快適性を実感できた。

HEVの「ES350h」は、2.5リッターエンジンにトヨタが第6世代と呼ぶ最新のハイブリッドシステムを組み合わせる。こちらも走りには余裕があり、燃費も上々。ようやくAWDが設定されたのも朗報だ。

ただし率直に言えば、BEVの静けさ、滑らかさを味わってしまうとTHSIIの走行感覚が古臭く感じてしまったのも事実。モーター音などはもっと静かでも良いだろう。

BEVの「500e」の力強い加速に感心

トップモデルに位置づけられるBEVの「500e」は胸のすく加速、車体が路面に吸い付くかのような安定性を披露した。
トップモデルに位置づけられるBEVの「500e」は胸のすく加速、車体が路面に吸い付くかのような安定性を披露した。

この新型ESは先日、日本でも発売になっている。価格は中々戦略的で、ES350eとES350hは何といずれも790万円に揃えられている。補助金等々も考え併せればBEVがそれなりの割合を占めることになるかもしれない。

いずれにせよ端正で穏やかだったESが、セダンというアイデンティティを守りながら、強く主張する存在となったことは間違いない。市場の評価がとても気になる1台である。

REPORT/島下泰久(Yasuhisa SHIMASHITA)
PHOTO/Lexus
MAGAZINE/GENROQ 2026年8月号

SPECIFICATIONS

レクサスES 500e

ボディサイズ:全長5140 全幅1920 全高1560mm
ホイールベース:2949mm
車両重量:2735kg
システム最高出力:249kW(338PS)
システム最大トルク:438Nm(44.6kgm)
トランスミッション:1速固定
駆動方式:AWD
EV航続距離:444km
サスペンション形式:前マクファーソンストラット 後マルチリンク
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク

【問い合わせ】
レクサスインフォメーションデスク
TEL 0800-500-5577
https://www.lexus.jp

これが新世代レクサスの本気! セダン不要論が叫ばれる今だけど、セダンだから出来ることがある【新型レクサスES試乗】

「セダンはもう要らない」という空気が漂う時代に、レクサスは新型ESへのフルモデルチェンジで応えた。ラグジュアリーサルーンとしての矜持を守りながら新しい時代を切り開こうという姿勢は、その佇まいを前にすれば一目瞭然だ。そして、速さを誇示せず乗員に寄り添うその走りは、セダンにしか踏み込めない領域を静かに示していた。