Volvo EX60

ゲームチェンジャーとなる次世代BEV

ボルボのBEV専用プラットフォーム「SPA3」を採用したEX60。その走りのポテンシャルは想像を遥かに凌駕するものであった。
ボルボのBEV専用プラットフォーム「SPA3」を採用したEX60。その走りのポテンシャルは想像を遥かに凌駕するものであった。

「迂闊だった……」スペイン・バルセロナ郊外でボルボの新型BEV「EX60」に試乗したとき、そんな言葉が心に浮かんだ。今年1月、極寒のスウェーデン・ストックホルムで行われたEX60のワールドプレミアに出席した私は、ボルボのホーカン・サムエルソンCEOや開発陣と対話する機会を得た。そのとき彼らが強調していたのは、EX60に初めて採用されたコンピューター・アーキテクチャー、それにシャシーに直接バッテリーセルを搭載するセル・トゥ・ボディなどに関することで、乗り心地やハンドリングについて言及する者はひとりもいなかった。

したがって、ボルボはEX60を「ゲームチェンジャーとなる次世代BEV」と位置付けているが、それは主にデジタル技術のことを指しているのであって、私たちが日ごろ大切にしているシャシー性能やパワートレインのドライバビリティは特に重視されなかったという印象を抱いた。事実、最近リリースされたBEVのなかには、最新テクノロジーの採用には熱心でもクルマとしての基本性能にさほど注力していないと思われるモデルがなきにしもあらずだった。

モダンで洗練されたインテリアデザイン

再生ポリエステル製テキスタイルを用いたダッシュボードを採用。Google Gemini対応インフォテインメントや大型ディスプレイを統合し、先進性と上質感を高次元で両立した。
再生ポリエステル製テキスタイルを用いたダッシュボードを採用。Google Gemini対応インフォテインメントや大型ディスプレイを統合し、先進性と上質感を高次元で両立した。
再生ポリエステル製テキスタイルを用いたダッシュボードを採用。Google Gemini対応インフォテインメントや大型ディスプレイを統合し、先進性と上質感を高次元で両立した。

しかし、スペインで試乗したEX60はシャシー性能が抜群に優れていた。それは、歴代ボルボのなかで圧倒的なトップに位置するだけでなく、古今東西のプレミアムSUVと比べても首位に近いポジションに立っているように思えたほどだった。

まずは、低速域での乗り心地が驚くほど優しい。それも、タイヤでカバーできる微小領域だけに限らず、もっと大きな路面の窪みを通過するようなシーンでもキャビンに過大なショックを伝えることなく、すーっと滑らかに走り抜けていくのだ。ここまでであれば、さして驚くには値しない。けれども、そこからさらにペースを上げていったとき、EX60の真価が発揮される。例えばハイウェイクルージングでボディがフラットに保たれるのは当然のこと。それだけでなく、加減速やコーナリングが伴うワインディングロードでもピッチングやローリングをほとんど起こさず、引き続きフラットな姿勢を保ち続けてくれるのだ。これは低速域でのソフトな感触のことを考えれば、意外といって間違いないだろう。

そうしたなか、唯一、ボディのほどよい動きを看取できるのがブレーキング時のノーズダイブ。といってもその量は決して大きくなく、コーナー進入時に必要なフロントへの荷重移動を実感できるギリギリの量に抑え込まれているのだ。個人的には、コーナー進入時のこのノーズダイブが感じられるクルマの方が、フロントタイヤのグリップレベルが把握しやすくて好ましいと考える。そしてEX60は、私がまさに欲しいと思うレベルのノーズダイブを示してくれたのだ。

必要十分な広さを持つラゲッジルーム

通常時523リットル、セカンドシートを倒すと923リットルまで拡大するラゲッジルーム。必要にして十分な積載能力を持つ。
通常時523リットル、セカンドシートを倒すと923リットルまで拡大するラゲッジルーム。必要にして十分な積載能力を持つ。

ここまでくれば、EX60がワインディングロードで発揮したハンドリングもご想像いただけるはず。ローリングやピッチングが小さいのでステアリングのわずかな動きにも正確に、そして俊敏に反応。しかも、操舵量とノーズの入り方の関係が常に一定に保たれるため、クルマの挙動を予測するのも容易で、走り始めた当初から自信を持ってコーナーに進入していくことができた。

さらに驚きだったのが、単純にハンドリングがいいだけではなく、ブレーキング、操舵、そしてステアリングを戻しながら加速という一連の動作が流れるように、そしてリズミカルに楽しめることもEX60の特色といっていい。このとき味わえる一体感は、もはやスポーツSUVの領域にあるといってもいいくらいだ。

もはやスポーツSUVの領域

素直なステアリングフィールにどこまでもフラットな姿勢を維持するボルボEX60。もはやスポーツSUVの領域である。
素直なステアリングフィールにどこまでもフラットな姿勢を維持するボルボEX60。もはやスポーツSUVの領域である。

ところで、ここまで紹介してきたのは、オプションの電子制御式ダンパーを備えたP10 AWDエレクトリックというグレードのインプレッション。EX60にはこれ以外にベーシックなP6エレクトリック(後輪駆動)、そしてハイパフォーマンスなP12 AWDエレクトリックが揃っているが、いずれのグレードにもエアサスペンションは設定されていない。つまり、いわゆるコイルスプリングと電子制御式ダンパーの組み合わせで、これだけの走りを実現していたわけでが、これについても驚きを隠せなかった。日本には早ければ今年中にまずはP10が導入。追ってP6が発売される見通しという。

REPORT/大谷達也(Tatsuya OTANI)
PHOTO/Volvo cars
MAGAZINE/GENROQ 2026年8月号

SPECIFICATIONS

ボルボEX60 P10 AWDエレクトリック

ボディサイズ:全長4803 全幅1899 全高1639mm
ホイールベース:2970mm
車両重量:2114〜2330kg
システム最高出力:375kW(510PS)
システム最大トルク:710Nm(72.4kgm)
トランスミッション:1速固定
駆動方式:AWD
EV航続距離:554〜660km(WLTP)
サスペンション形式:前ダブルウィッシュボーン 後マルチリンク
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク

 

【問い合わせ】
ボルボお客様相談室
TEL 0120-922-662
https://www.volvocars.com

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