アウディ ジャパンは、3代目にあたる新型アウディQ3を発売した。ボディタイプは先代同様にSUVとスポーツバックの2タイプ。エンジンはガソリンのみの設定で、1.5L直列4気筒ターボ(最高出力110kW/最大トルク250Nm)と2.0L直列4気筒ターボ(最高出力150kW/最大トルク320Nm)の2種類。先代では選択が可能だったディーゼルエンジン仕様は、新型では設定されていない。


1.5Lガソリンエンジン車はマイルドハイブリッドドライブシステムを採用している。アイドルストップからの再始動はベルトオルタネータースターターで行なうので、再始動時はスムーズで静粛性が高いのもメリット。いっぽう2.0Lガソリンエンジン車はコンベンショナルなスターターモーターでの再始動となる。パワートレーンは横置きで、トランスミッションは両エンジンとも7速Sトロニックとの組み合わせ。すなわち7速DCTで、クラッチは湿式多板だ。
駆動方式は1.5Lガソリンエンジン車がFWD、2.0Lガソリンエンジン車はクワトロ(4輪駆動)となる。駆動力の分配を行なうカップリングユニットは電子制御式油圧多板クラッチ式。いわゆるハルデックスカップリングだ(筆者も忘れがちなので記しておくと、ハルデックス社のトラクションシステム部門は2011年からボルグワーナー傘下)。
SUVのボディサイズは全長が4530mm、全幅が1860mm、全高は1610mm。スポーツバックはSUVより全高が40mm低く、1570mmである。2680mmのホイールベースは共通。全幅が1850mmに収まっていれば…、スポーツバックの全高が1550mm以下であれば…と、うらめしく思う人がいるかもしれない。惜しい寸法ではあるが持て余すほど大きくはなく、とくに4500mm台の全長をありがたく感じる向きは多そうだ。

今回はスポーツバックでしか後席の居住性を確かめていないが、空間のゆとり面は全長を考えれば妥当という印象(筆者の身長は184cm)。前席シートバックを削りこんでいるのが、ひざまわりの窮屈感を軽減している。エアコンの温度調節は後席で独立してできるし(もちろん、吹き出し口はある)、USB-Cポートは2口付いている。シートヒーターはフロントのみだ。

インテリアは11.9インチのバーチャルコックピットプラス(運転席前)と、12.8インチのMMIタッチディスプレイ(センター)が一体となったMMIパノラマディスプレイを採用。近年のアウディのデザイントレンドにのっとったものだ。ムードづくりの点では、マルチカラーアンビエントライティングがウリである。フロントドアパネルには片側300ヵ所の精密なレーザーカットを施すことにより、光が繊細に広がる立体的な表現を提供。オプションのアンビエントライティングプロを選ぶと、アニメーションをともなう光の演出も行なうという。
残念ながら日中に行なった今回の試乗時では、トンネル走行時に一瞬だけ雰囲気を味わったにすぎず、次の試乗機会で何としてでも確かめたいと思った装備のひとつだ(光の演出に弱い自覚がある筆者としてはとくに)。
夜の試乗機会で確かめたいと思った装備はまだあり、デジタルマトリクスLEDヘッドライトによるライトガイダンス機能がそれ(2.0L車に標準。1.5L車はオプション)。幅約13mmのヘッドライトモジュールに2万5600個のマイクロLEDを搭載。これにより高精細のグラフィックを路面に投影することが可能で、例えば、外気温の低下を検知した際は雪の結晶マークを路面に投影してドライバーに注意を促す。
また、高速道路走行時は車線中央の位置を視覚的に強調するため、路面に2本のラインを投影して車線維持をサポート。車線変更時はウインカーと連動して車線変更先のレーンを明るくしてガイドする。光を使った演出はアウディのお家芸と言え、出発時と帰宅時は車両前方にアニメーションを投影するカミングホーム/リービングホーム機能を装備。リヤは1本つながりのランプと発光するアウディリングを備える。これらはアウディのコンパクトクラス初採用だ。
運転支援システムでは、パークアシストプラスが備えるリバーシングアシストが気になる。これは、直前に通過したルートを最大50mまで記憶し、ステアリング操作を自動で再現しバック走行をサポートする機能。行き止まりのシーンで役に立ちそうだ。
今回の試乗で確かめることができた装備もあり、新しいステアリング操作ユニットがそれだ。新型Q3は右レバーがP/N/R/Dを切り換えるシフターの役割を担う。左レバーにはウインカーとワイパー、ハイビーム/パッシング機能が割り当てられている。左右のレバーを統合したデザインはアウディ初採用とのこと。右レバーのシフトセレクター自体は同じグループに属するフォルクスワーゲン(VW)ティグアン、パサートが採用済み。ただしレバーはコンベンショナルな形状で、アウディのように倒してポジションを切り換えるのではなく、ひねる方式だ。
「操作系が変わった」という事前の刷り込みがあったおかげかもしれないが、操作に戸惑いは感じなかった。左レバーのウインカー操作に慣れている人はとくに、スムーズに受け入れることができるだろう。
2バルブ式電子制御ダンピングコントロール(減衰力可変ダンパー)の採用も、新型アウディQ3のテクニカル面のハイライトのひとつだ。減衰力可変ダンパーの適用例は高価格帯になるにつれて標準装備の比率は高くなるが、2バルブ式はいまだに少数派だ。しかも、新型Q3はトップグレードの専用装備でもオプション扱いでもなく、全車標準装備である(外観から判断するに、VWティグアン、パサートにオプション設定の2バルブ式と同じカヤバ製だろう)。
2バルブ式のメリットは、伸び側と縮み側を独立して制御できることだ。1バルブ式の場合はひとつのバルブが伸び側と縮み側の両方の制御を受け持つため、伸び側を硬く設定すると、必然的に縮み側も硬くなってしまう。伸び側と縮み側を独立で制御できる2バルブ式なら、縮み側を柔らかくしつつ、伸び側だけ硬くするといったことも可能だ。
Audiドライブセレクトはバランスド、ダイナミック、コンフォート、エフィシェンシー、オフロード+の5種類が設定されている。モードを切り換えるとダンパーのセッティングだけでなく、パワートレーンやEPS(電動パワーステアリング)のセッティングも変わる。デフォルトはバランスドだ。ダイナミックはスポーティな味つけだが、内臓に響くような硬さではなく、ほどよく引き締まった印象。首都高速の連続する継ぎ目はいっさい気にならない。シャープさが増した動きが心地いい。

コンフォートも柔らかすぎないのがいい。ソフトではあるが、収まりが良く、落ち着きをなくさないのがいい。欲を言えば、VW車のDCC Proのようにカスタムのメニューで減衰力を細かく調節できるといいのだが…。
走行中に印象に残ったのは静粛性の高さである。エンジン音の室内への透過もよく抑えられているが、ウインドウガラスを透過するノイズがよく抑えられており、頭のまわりだけ別世界のように穏やか。高車速になるほど静けさが際立つ印象だ。試乗後に確かめてみると、フロントサイドにアコースティック(遮音)ガラスが適用されていた。

パワートレーンの働きは申し分ない。エンジンが働いていることをかすかに感じさせながら、アクセルペダル操作を通じたドライバーの要求に対する力の出し方は、モーターのようにスムーズだ。発進〜微低速時のアクセルオン〜オフ時にギクシャク感はなく、日常走行では多段変速のトランスミッションであることを意識させない。エンジンとトランスミッションはスポーティな走りをするときだけ、高揚感をもたらすツールとして、ここぞとばかりに存在感を示す。そんな印象だ。

新型アウディQ3は新機能、新装備が満載。かつ、ドアの閉まり音も含めて乗り始めから乗り終わりまで静的にも動的にも上質で、プレミアム感を抱かせてくれる。そう考えると、550万円(税込)からの価格設定は非常にリーズナブルに思えてくる。しかし、2バルブ式減衰力可変ダンパーを全車標準にしてくるとは驚いた。
| グレード | アウディQ3 Sportback TFSI quattro 150kW advanced | ||
| 全長 | 4530mm | ||
| 全幅 | 1860mm | ||
| 全高 | 1570mm | ||
| 室内長 | ー | ||
| 室内幅 | ー | ||
| 室内高 | ー | ||
| 乗員人数(名) | 5 | ||
| ホイールベース | 2680mm | ||
| 最小回転半径 | 5.2m | ||
| 最低地上高 | ー | ||
| 車両重量 | 1700kg | ||
| パワーユニット | 2.0L直列4気筒DOHCガソリンターボ | ||
| エンジン最高出力 | 150kW(204PS)/4500-6000rpm | ||
| エンジン最大トルク | 320Nm(32.6kgm)/1500-4400rpm | ||
| 燃料(タンク容量) | 無鉛プレミアム(63L) | ||
| モーター型式・種類 | ー | ||
| モーター最高出力 | ー | ||
| モーター最大トルク | ー | ||
| バッテリー種類 | ー | ||
| バッテリー容量 | ー | ||
| 燃費(WLTCモード) | 12.1km/L | ||
| サスペンション | 前:マクファーソンストラット式 後:4リンク式マルチリンク | ||
| ブレーキ | 前:ディスク 後:ディスク | ||
| タイヤサイズ | 235/55R18 | ||
| 価格 | 628万円 | ||














