カワサキ・ニンジャ500……891,000円

カワサキZ500……847,000円

排気量拡大の余地があったとは……
ニンジャ・Z400の兄貴分として、2024年から海外市場、2026年から日本での発売が始まったニンジャ・Z500に対して、僕はこれまでに3つの驚きを感じている。

まず1つ目の驚きは、ニンジャ・Z400の並列2気筒エンジンに排気量を拡大する余裕があったこと。もっとも歴史を振り返れば、カワサキは過去に何度か400ccと500ccの兄弟車を手がけているけれど、2018年から発売が始まった現行ニンジャ・Z400は兄貴ではなく弟、ニンジャ・Z250と基本設計の多くを共有しているのだ。
その主な目的は軽量化で、2018年型ニンジャ400は先代に対して、なんと40kg以上の軽量化を実現していた(211→167kg。なおZ400の発売は2018年から)。

となると、ニンジャ・Z400の排気量は上限ギリギリ……と考えたくなるものの、ストロークを51→58.6mmに延長して、ニンジャ・Z500のエンジンは排気量を398→451ccに拡大(70mmのボアは変更ナシ)。
その微妙な数値をどう感じるかは人それぞれだが、ニンジャ・Z500のセールスは絶好調で、2025年のアメリカではカワサキ全車の中でトップの販売台数を記録したと言う。
既存のニンジャ・Z400の魅力

続いて述べたい2つ目の驚きは、海外から2年遅れとはいえ、日本での販売が始まったこと。
言うまでもなく、日本には400ccを境とする独自の二輪免許制度が存在するため、500ccの需要はあまり期待できない。例えば、ニンジャ・Z400のユーザーが同系モデルでステップアップするなら、購入を考えるのはニンジャ・Z650やニンジャ・Z1100、ニンジャH2 SX・Z H2などだろう。
にも関わらず、カワサキは日本市場での販売を決定したのだから、おそらくニンジャ・Z500の仕上がりには相当な自信があるのだと思う。

そして3つ目の驚きは、実際に乗ったらムチャクチャ良かったこと。と言っても、僕は以前からニンジャ・Z400にかなりの好感を抱いていたので、悪いはずはないと考えていたのだが、ニンジャ/Z500のスポーツライディングの楽しさは、僕の予想以上だったのである。

なお僕がニンジャ・Z400に好感を抱いた理由は、48psのパワーと167・167kgの車重が、自分自身の身の丈と昨今の日本の道路事情に合っていると思ったから。
いや、その表現だとオッサンが妙な悟りを開いたみたいだが、ニンジャ・Z400の乗り味に、僕は1980~1990年代の2スト250cc&4スト400ccレーサーレプリカに通じる資質を感じたのだ。

もちろんニンジャ・Z400のキャラクターは、往年の2スト250cc&4スト400ccレーサーレプリカほど尖っていなくて、市街地走行やツーリングをごく普通にこなせる。
とはいえ、手の内に入る車格感やきっちり開け切れるエンジン特性、そして場面によっては600cc以上のスポーツモデルを凌駕する速さは、往年の2スト250cc&4スト400ccレーサーレプリカに通じるところがあって、そういった感触は近年の他の250~400ccスポーツモデルでは、なかなか得られないものだったのである。
+53ccで、ここまで変わるのか‼

さて、ここからはようやくニンジャ・Z500の話で、まず往年の2スト250cc&4スト400ccレーサーレプリカに通じる感触は、ニンジャ・Z400と同様だった。
では+53ccの排気量が(最高出力・最大トルクは、ニンジャ・Z400:48ps/10000rpm、・3.8kgf・m/8000rpm、ニンジャ・Z500:53ps/10000rpm、4.4kgf・m/7300rpm)、どんな違いを生み出すのかと言うと……。

別物と言っては言い過ぎかもしれないが、+5ps、+0.6kgf・mで、ここまでエンジンフィーリングが変わるのか‼と思った。発進時のダッシュは明らかに力強く、スロットル操作に対する速度の上昇は明らかに早く、ロングストローク化を図ったにも関らず、高回転域の伸びの良さはまったく衰えていない。
ちなみに、こういった排気量拡大仕様では、振動の増加やエンジンの頭打ちの早さなど、何らかのマイナス要素が発生することが珍しくないのだけれど、ニンジャ・Z500の場合は、ニンジャ・Z400に劣る要素はどこにも見当たらなかった。

そんなわけで、カワサキの手法にいたく感心した僕ではあるものの、前述したように独自の二輪免許制度が存在する日本で、ニンジャ・Z500が大人気を獲得するのは難しいだろう。
とはいえ今現在の僕は、合計で20台以上が存在するニンジャ・Zシリーズの中で、自分自身の身の丈と現代の日本の道路事情に最も合っているモデルは、今回の2台ではないかと感じているのだった。
ニンジャ400 ライディングポジション


外観はスーパースポーツ然としているものの、ニンジャ500のライディングポジションはスポーツツアラー的。もっとも体格が大柄な筆者は(身長180cm・体重74kg)下半身にタイトさを感じたので、自分がこのバイクのオーナーになったら、座面高が785→815mmに上がる純正アクセサリーのERGO-FITハイシート(価格は2万8490円)を装着すると思う。
Z500 ライディングポジション


ネイキッドの乗車姿勢にはフレンドリーというイメージを抱きがちだが、Z500の場合はニンジャ500よりハンドル幅が広くてグリップ位置がライダーから遠いため、必ずしもとっつきがいいわけではない。なお2台の乗り味の差異を端的に述べるなら、ニンジャはややしっとり、Z500はちょっとヤンチャ、という印象だった。
ディティール解説










主要諸元
車名:ニンジャ500 《Z500》
型式:8BL-EX500G
全長×全幅×全高:1995mm×730mm×1120mm
《1995×800×1055mm》
軸間距離:1375mm
最低地上高:145mm
シート高:785mm
キャスター/トレール:24.5°《24.3°》/92mm
エンジン形式:水冷4ストローク並列2気筒
弁形式:DOHC4バルブ
総排気量:451cc
内径×行程:70mm×58.6mm
圧縮比:11.3
最高出力:39kW(53ps)/10000rpm
最大トルク:43N・m(4.4kgf・m)/7300rpm
始動方式:セルフスターター
点火方式:フルトランジスタ
潤滑方式:ウェットサンプ
燃料供給方式:フューエルインジェクション
トランスミッション形式:常時噛合式6段リターン
クラッチ形式:湿式多板コイルスプリング
ギアレシオ
1速:2.929
2速:2.056
3速:1.619
4速:1.333
5速:1.154
6速:1.037
1・2次減速比:2.029・3,071
フレーム形式:ダイヤモンド(アルミペリメター)
懸架方式前:テレスコピック正立式φ41mm
懸架方式後:ボトムリンク式モノショック
タイヤサイズ前:110/70R17
タイヤサイズ後:150/60R17
ブレーキ形式前:油圧式シングルディスク
ブレーキ形式後:油圧式シングルディスク
車両重量:171kg《167kg》
使用燃料:無鉛レギュラーガソリン
燃料タンク容量:14L
乗車定員:2名
燃料消費率WMTCモード値・クラス3-2:25.2km/L(1名乗車時)
