電動化を推進しつつユーザーの選択肢を狭めないラインナップ展開
ボルボは環境意識の高い北欧を本貫地とするメーカーだけに、他メーカーに比べて電動化シフトは早かった。一方で、昨今のEV市場の減速もあり、完全なEVシフトではなくマイルドハイブリッド(HEV)とプラグインハイブリッド(PHEV)を用意して、ユーザーの使い方に応じて選ぶことができるラインナップとしている。

今回「EX90」と「ES90」が発表されたことで、これまでEVモデルが用意されていなかったボルボのフラッグシップである「90」系にEVがラインナップされ、ユーザーの選択肢が増えることになった。


両車はクルマのキャラクターこそ異なるが、基本的なシステムや装備の仕様などは、ボルボの最新アーキテクチャーにより構成されており、共通する点が多い。
7シーター・ラージサイズSUV「EX90」
現在、日本で販売されているボルボのフラッグシップとなる「90」はラージSUVの「XC90」で、HEVとPHEVをラインナップする。また、一方でボルボの電動SUVは「EX」のネームが与えられており、このほど発表された「EX90」は「XC90」のEV版とも言えるラージサイズ電動SUVだ。

北欧デザインのインテリアは機能美を追求したシンプルながらラグジュアリーなテイスト。北欧製家具を用いたプライベートラウンジのようなくつろぎ空間が演出される。

ラージサイズの電動SUVでも珍しい3列シート車だが、3列目シートも身長170cmくらいまでであれば十分快適に過ごせるスペースを確保。加えて、他の席同様に安全性能も担保されているのはボルボらしい点だ。また、3列目と前席との会話がしやすいように、サウンド補助機能も備えるなど、人間中心のボルボらしい作りとなっている。

グレードは全車ツインモーターAWDで、最大出力はフロント:130kW(177ps)+リヤ:205kW(279ps)、最大トルクはフロント:265Nm(27.0kgm)+リヤ:405Nm(41.3kgm)を基本に最上級グレードは高出力モーターを搭載し、フロント:220kW(299ps)+280kW(381ps)と最大トルクフロント:390Nm(39.8kgm)+リヤ:480Nm(48.9kgm)というハイパフォーマンスを誇る。それでいて、バッテリーは全グレード共通の106kWhの大容量で、一充電走行距離 650km(WLTC モード)を実現。

価格は以下表の通りだが、XC90の1019万円(HEV)〜1294万円(PHEV)よりやや上回るものの、スタート価格はXC90のPHEVよりも安く設定された。

| モデル名 | 価格(消費税込み) |
| EX90 Plus Twin Motor | 1199万円 |
| EX90 Ultra Twin Motor | 1349万円 |
| EX90 Ultra Twin Motor Performance | 1399万円 |
「S90」と「V90」をEVで統合した「ES90」
ボルボはフラッグシップセダンである「S90」と、そのステーションワゴン版である「V90」をラインナップしていたが、いずれも現在は日本では販売されていない。そのポジションをEVである「ES90」で補うことが期待されている。

一見、昨今流行のリヤデッキを短くしたクーペライクセダンだが、実はトランクではなくリヤゲートを備える5ドアハッチバックとなっている。しかも、ウインドウより下のラゲッジルーム容量はV90並を確保しているという。
加えて車高は175mm〜190mmを確保しており、クラッディングのような加飾は施されていないものの、クーペSUVと言える構成だ。

ホイールベースは3100mmと非常に長く、後席は広々とした空間が確保されている。EX90同様に「Ultra」系にはBowers&Wilkinsハイフィディリティ・オーディオシステムを採用。25スピーカーにヘッドレストスピーカー、サブウーファーを備え、Dolby Atomosによる3Dサラウンド音響を心ゆくまで楽しむことができる。加えて、ロンドンの伝説的な録音スタジオである「アビー・ロード・スタジオ」の名をを冠したサウンドモードでは、車内のサウンド体験を自在に調整することができる。


センターディスプレイは縦型14.5インチの大サイズで、Googleを搭載して快適なインフォテインメントが提供される。今後、GoogleのAI「Gemini」も実走予定だ。
完全なキーレスシステムとなっており、ドアの開け閉めや起動などはスマートフォンを介して行なわれるのも特徴だ。


パワートレインはシングルモーターのRWDと、ツインモーターのAWDを設定。シングルモーターは最大出力245kW(333ps)と最大トルク480Nm(48.9kgm)。ツインモーターはEX90のハイパフォーマンスグレードと共通のフロント:220kW(299ps)+280kW(381ps)と最大トルクフロント:390Nm(39.8kgm)+リヤ:480Nm(48.9kgm)となっている。

シングルモーターは92kWh、ツインモーターはやはりEX90と同じ106kWhのバッテリーを搭載し、航続距離はそれぞれ665kmと720kmを実現している。
価格は以下表のとおりだが、スタート価格はシングルモーターのRWDで1000万円を切っている。
| モデル名 | 価格(消費税込み) |
| ES90 Plus Single Motor Extended Range | 979万円 |
| ES90 Ultra Single Motor Extended Range | 1129万円 |
| ES90 Ultra Twin Motor Performance | 1229万円 |
最新のテクノロジーを投入したブランニューモデル

EX90とES90はボルボの新プラットフォーム「SPA2アーキテクチャー」(SPAから進化した)と、ボルボ独自のハードウェアとソフトウェアの統合型技術基盤「スーパーセット・テックスタック(Superset tech stack)」に基づいて開発された、次世代のソフトウェア・デファインド・カー(SDV)となる。

これまで機能ごとに分散していたECUをひとつに統合して一括して処理を行なう「Hugin Core(※)」を採用。安全システムや駆動システム、インフォテインメントからバッテリー管理まで、車両のすべての機能を統合制御することで、走行性能はもちろん安全性やインフォテインメントのユーザビリティも向上させている。
Hugin Core
「Hugin(フギン)」とは北欧神話の主神であるオーディンに仕える一対のワタリガラスの片方で、「思考」を意味する。知識を司るオーディンのために情報収集を行ない報告する。
Hugin CoreはNVIDIA製のインテリジェントカー用コアコンピュータ「DRIVE AGX Orin」を使用。254TOPS(毎秒約 254 兆回の演算)という超高速の演算処理能力で、車両の統合制御が行なわれる。
また、常に人を中心に考えてクルマを作り続けていたボルボは、新たな先進安全機能を両車に追加。全車標準装備となる「ドライバー・アンダスタンディング・システム」は、2台のドライバーモニタリングセンサーがドライバーの視線の動きを、ステアリングホイールの静電容量センサーがステアリング操作などを検知し、独自に開発したアルゴリズムにより解析することで、注意力散漫や眠気などの状態を把握し、警告から安全停止、通報まで必要に応じ適切なサポートが行なわれる。

加えて「オキュパント・センシング(乗員検知システム)」による車内置き去り防止機能を搭載。これは、オーバーヘッドコンソール、天井のリーディングランプ、荷室に内蔵された 60GHz のレーダーセンサーを使用し、ラゲッジスペースを含む車内全域をカバーする世界初のシステムだ。

このシステムは、寝ている小さな子どもの呼吸による胸の動きのような、サブミリメートル(1mm 未満)のわずかな動きまで検知し、独自のアルゴリズムにより人やペットなのかどうかを判断。置き去りを検知するとクルマがロックできなくなり、ディスプレイに警告が表示される。オーナーの意図した残置の際でも、エアコン等を自動で作動させ、車内に残った人やペットのリスクを低減させる。
そして、インテリア素材にはボルボ独自のバイオ素材「ノルディコ」を始めとした環境負荷を抑えた天然素材やリサイクル素材を利用。製造やリサイクル過程における二酸化炭素排出力も低く抑えられている。

ボルボがもてる最新技術を惜しみなく詰め込み、優れた快適性と静粛性、ボルボ史上最高の安全性を備え、機能美溢れるスカンジナビアンデザインで包み込んだEX90&ES90は、ボルボだけの独創的な最上級ラグジュアリーEVとして存在感を放っている。



