JLRが開発を進めるコンパクトSUV、通称「ベイビーディフェンダー」の計画が大きく方向転換した。当初はEV専用モデルとして登場する見通しだったが、新たにハイブリッドモデルも設定されることが明らかになった。

背景にあるのは、世界的なEV市場の減速である。JLRは次世代プラットフォーム「EMA」をEV専用から見直し、ハイブリッドパワートレインにも対応させる方針を正式に示した。最大市場である北米をはじめ、各地域で需要の変化に柔軟に対応する狙いがある。

ベイビーディフェンダーは、現行ディフェンダーよりひと回りコンパクトな本格SUVとして開発が進められており、すでに複数の開発車両が目撃されている。JLR幹部は「ディフェンダーの名にふさわしい性能を備える」と語っており、サイズダウンしても高い悪路走破性は維持される見込みだ。
一方で、本格オフロード性能とEVの両立には課題も残る。ディフェンダーブランド責任者のマーク・キャメロン氏は、床下バッテリーの搭載によってサスペンションストロークやホイールトラベルに制約が生じる可能性を認めている。また、ディフェンダー特有の直立したボディ形状は空力性能の面で不利となり、航続距離の確保にも影響すると説明している。

今回追加されるハイブリッドは、マイルドハイブリッドやPHEVではなく、フルハイブリッドとなる可能性が高い。詳細なシステム構成は公表されていないものの、EVとハイブリッドを併売することで、市場ごとのニーズに対応する商品戦略へ転換した格好だ。
さらにJLRは北米市場を今後の成長戦略の中心に据えており、ステランティスとの協業も視野に入れながら、将来的にはディフェンダーブランドのピックアップや大型SUVなど、新たな派生モデルを投入する可能性も取り沙汰されている。

日本市場でもベイビーディフェンダーへの期待は高まりそうだ。現行ディフェンダーは高い人気を誇る一方で、ボディサイズの大きさから購入をためらうユーザーも少なくない。その点、コンパクト化された新モデルは、日本の道路事情との相性も良好だろう。
仮に国内導入が実現した場合、ハイブリッドモデルは700万〜850万円前後、EVモデルは850万〜1000万円前後になると予想される。ライバルにはランドクルーザー250、ジープ・ラングラー、メルセデス・ベンツGLBなどが挙げられるが、とりわけ注目されるのはランドクルーザー250との競争である。

コンパクトなボディサイズとプレミアムブランドならではの存在感を武器に、「ランクルでは大きすぎる」と感じるユーザーを取り込む可能性は十分ある。都市部でも扱いやすい本格SUVとして、新たな選択肢となることが期待される。


