連載

西川淳の自動車1Weekダイアリー

浪費は人生の豊かな行動

早いもので今年も半分が終わった。このダイアリー連載の累計数字を見ていただいてもわかるように、試乗台数も距離も例年通り、順調に伸びている。“紹介すること”もさることながら(今どき人気のない)、“乗ること”に重点を置くライターとしては、時代にあっているかどうかは別にして、我ながら順調に“仕事”をこなしていると言えそうだ。とはいえ、従来ほどには試乗インプレがウケなくなっていると思う。なぜなら多くのユーザーはイメージを消費するからだ。クルマ側の進化もあって、まずどんなクルマに乗っても“大きな間違い”はない。であれば、ライフスタイルに合ったモデルであれば、あとは価格と話題性、デザインの好みで決めればいい。加えて人気モデルともなれば発売と同時にオーダー困難になってしまうから、とっとと注文した者勝ちで、そんな人にとっては“乗るとすごくいい”という情報ならまだしも、“乗ると〇〇に問題がある”なんて評価の可能性を孕んだインプレ記事など読みたくもない、ということだろうか。幸い、私は消費ではなく浪費のクルマ、つまりスーパーカーやスポーツカー、ラグジュアリーカーといった贅沢分野を主戦場とする。購買の行動そのものはさらに“インプレ”を必要としないかもしれないが、浪費という人生の豊かな行動に憧れを抱く人も多い。読んだだけで贅沢な気分に浸れるリポートを心がけたい。

2026年7月第2週

2026年7月4日(土)曇り

ホンダ スーパーONE
ホンダ スーパーONE

早朝より某誌連載の撮影。「ホンダ スーパーONE」を上七軒で撮影する。撮影後、いったん帰宅し海外出張の準備。シャワーを浴びてすぐにスーパーONEで出発。京都駅でランボルギーニ博士のI先生をピックアップし東京へ向かう。たかだか30kWh程度のバッテリーしか積んでいないBEVで長距離ドライブは無謀だと思ったが、これがなかなか楽しい。1時間もしくは100kmごとにSA/PAに寄り、15分くらい充電休憩を取った。面白いことに、同じようなペースで走っているエンジン車も結構いるということ。筆者のようにエンジン車であれば通常、1度かせいぜい2度しか休憩を取らないほうが珍しいのかも、と思った。横浜インターで降りて、久しぶりにコーナーストーンズさんへ。さらに都筑のスペシャルショップに寄ってから都内へ。スーパーONEを預けに編集者の自宅へ。フライトまで時間があったので、彼と近所の居酒屋でディナー。電車で羽田まで移動し、エアフラ深夜便でスペインはテネリフェ島に飛ぶ。機内泊。

2026年7月5日(日)晴れ

フェラーリ 849テスタロッサ スパイダー
フェラーリ 849テスタロッサ スパイダー

羽田からおよそ14時間でパリ=シャルル・ド・ゴール空港へ。そこで乗り継ぎ、昼過ぎにはテネリフェ島のリゾートホテルに到着する。8時間の時差があるからおよそ20時間かかった計算だ。ヨーロッパも遠くなったものである。ホテルのプールサイドで遅めのランチはハンバーガー。ヨーロッパは酷暑だと聞いていたけれど、テネリフェ島はスペイン領とはいえ、ほぼ西サハラの沖合、つまりはほぼアフリカだ。もっと暑いかと思いきや、日差しこそ強かったものの、過ごしやすい。島で風が抜けるからだろうか。夜はプレスカンファレンスとディナー。この旅の目的は「フェラーリ 849テスタロッサ スパイダー」を試すこと。テネリフェ泊。

2026年7月6日(月)晴れ

フェラーリ 849テスタロッサ スパイダー
フェラーリ 849テスタロッサ スパイダー

早朝からテスタロッサ スパイダーの試乗。海岸線を走ったかと思えば、ワインディングを駆け上がり、尖った富士山のような火山の周りをハイペースでクルーズする。そう言えば以前にきた時も「ガヤルド」のスパイダー試乗会で、同じようなルートを走ったような記憶があった。あの時はタイの新聞記者とペアを組んでテストしたが、彼の運転が怖かった記憶しかない。「スーパーカーを運転したことはあるの?」という私の問いに、「あるよ!」と返してきたものだから安心して乗ったら、どうも様子が変。「どこでどんなスーパーカーに乗ったの?」と聞けば、「親しいクルマ屋さんの展示スペースでフェラーリをちょっと動かした」。それ、運転って言う? 午後は部屋で原稿執筆。リゾートホテルの部屋にはたいてい、テーブルがない。仕方なくベッドで沢山ある枕を重ねて机がわりにした。夜はホテルでオフィシャルディナー。開発陣やPRチームと語り合う。テネリフェ泊。

2026年7月7日(火)晴れ

ヨーロッパに来ると毎夜なぜかピッタリ1時と3時と5時に目がさめる。測ったようにそうなる。日本時間の9時、11時、13時。無理に寝てもしょうがないので、この朝は覚悟を決めて3時にベッドを抜け出し、シャワーを浴びて眠気を払ってから、再びベッドに戻って執筆に取り組む。午前中には空港へ移動。帰りはトルコ航空で、マドリード、イスタンブール経由の関空だった。

2026年7月8日(水)晴れ

空港で朝食(写真は別日)
空港で朝食(写真は別日)

一時帰国? 関空には夜の19時に着陸した。入国や税関もスムースで、荷物も手持ちだったから、19時20分発の京都駅行きバスに間に合った。自宅でしっぽくうどん。歳をとったせいか、数日の海外出張でも醤油味の出汁が恋しくなるようになった。

2026年7月9日(木)晴れ

奈良トヨタさんの「パブリカ デラックス」&「パブリカ コンバーチブル」
奈良トヨタさんの「パブリカ デラックス」&「パブリカ コンバーチブル」
私の「セリカXX スーパー2000GT」
私の「セリカXX スーパー2000GT」

朝からかかりつけの歯医者さんでクリーニング。同い年の先生としばしクルマ談義。自宅に戻り、服を着替えて京都駅へ。弁当を買って近鉄特急に飛び乗り、奈良市へ向かう。奈良トヨタさんの「パブリカ デラックス」&「パブリカ コンバーチブル」、2台のレストア完成披露と、私の「セリカXX スーパー2000GT」のレストアキックオフに出席。近鉄奈良駅ではたまらずクラフトビール! それにしても白人の観光客で溢れている。

2026年7月10日(金)曇り

現代新旧アルピーヌ
現代新旧アルピーヌ

朝イチのリムジンバスで伊丹空港へ。7時30分のANA便で羽田へ向かうも、このところの常でやっぱり遅延。羽田空港が混んでいるのだろう。結局9時55分発のANAロンドン行きへはラウンジで休憩する間もほとんどなく乗り継ぐ。効率的ではあるが、遅れが常態化する東京―大阪の便は考えものだ。ついこの前も1時間遅れて、ミーティングに間に合わなかったこともある。もっとも京都から東京へは新幹線も飛行機もさほど所要時間は変わらない。新幹線のほうが圧倒的に便利であることは間違いない。同日夕方、ロンドン着。シャトルでグッドウッド近くの街へ。夜はプールサイドでアルピーヌのプレゼンテーションとディナー。元フェラーリ、元ランボ、前モーガンCEOのマッシモと、SP1プロジェクトなど彼の日本に関する思い出話を。明日からグッドウッドへ。ミドハースト泊。

2026 7/4〜2026 7/10

走行距離 約800km 試乗車数 1台

2025 11/1〜2026 7/10累計

走行距離 約4万700km 試乗車台数 162台

スパークギャラリーにて

和製EV2台に自動車メーカーそれぞれが持つ矜持を見た【西川淳の自動車1WeekダイアリーVol.34】

スーパーカー界の重鎮、モータージャーナリスト西川淳。この連載は、昨年還暦を迎えた氏が、日々どんなクルマに乗って、何を感じたのか徒然なるままに語るものである。果たして今週はどこで何をして過ごしたのか?

連載 西川淳の自動車1Weekダイアリー

フェラーリ 849テスタロッサ スパイダー
by ゲンロクWeb
業界人コラム 2時間前

「849テスタロッサ スパイダー」に乗りにテネリフェに【西川淳の自動車1WeekダイアリーVol.35】

スパークギャラリーにて
by ゲンロクWeb
業界人コラム 2026.07.11

和製EV2台に自動車メーカーそれぞれが持つ矜持を見た【西川淳の自動車1WeekダイアリーVol.34】

フェラーリ ルーチェ
by ゲンロクWeb
業界人コラム 2026.07.04

「ルーチェ」は老舗ステーキ屋さんのベジタリアンメニュー【西川淳の自動車1WeekダイアリーVol.33】