復活が有力視されるセリカの開発が進んでいるとの見方が強まるなか、スポーツカーファンの間で議論が巻き起こっているのが「セリカが復活したらGR86はどうなるのか?」という点だ。

一見すると両車は同じスポーツクーペであり、市場で競合しそうにも思える。しかし、現在見えてきている開発動向やGRブランドの戦略を踏まえると、両モデルはライバルではなく、それぞれ異なる役割を担う存在になる可能性が高い。

1970年に初代が誕生したセリカは、トヨタを代表するスポーツカーとして長い歴史を築いてきた。なかでも“セリカ GT-FOUR”は、ターボエンジンとフルタイム4WDを武器に世界ラリー選手権(WRC)で活躍し、高性能スポーツカーとして世界的な人気を獲得したモデルである。
復活が期待される次期型では、新開発2.0L 直列4気筒ターボエンジンを搭載し、300psを超える最高出力とGR-FOUR四輪駆動システムを組み合わせたハイパフォーマンスモデルになるとの見方が強い。現代版GT-FOURとも呼べる存在になる可能性も十分考えられる。
一方、GR86は軽量FRレイアウトを採用し、「操る楽しさ」を追求したピュアスポーツとして独自のポジションを築いている。仮に次期セリカが高出力ターボと4WDを組み合わせるモデルとなれば、両車の商品性は大きく異なる。
価格帯も性能もセリカが上位に位置付けられる可能性が高く、GR86とは競合するよりも、それぞれ異なるユーザー層を担うモデルとして棲み分けられる公算が大きい。
さらに、トヨタのスポーツカー戦略を語るうえで欠かせないのが次期スープラの存在だ。次期型では電動化やハイブリッド技術を採り入れた新世代スポーツカーへ進化するとの見方もあり、ブランドのフラッグシップとして位置付けられる可能性が高い。
こうして見ると、トヨタはGRブランドを次のように再構築しようとしているようにも映る。
GR86:ライトウェイトFRスポーツ
セリカ:高性能4WDスポーツ
スープラ:ブランド最高峰のフラッグシップスポーツ
このように役割を明確に分けることで、各モデルの個性を際立たせる戦略と言えるだろう。
1980〜90年代、トヨタはレビン/トレノ、MR2、セリカ、スープラなど、多彩なスポーツカーをラインアップし、それぞれ異なるキャラクターで多くのファンを魅了してきた。
現在のGRブランドは、その時代の再現ではなく、現代の技術や電動化を取り入れながら、新たなスポーツカーラインアップを築こうとしているようにも見える。
現時点でトヨタは次期セリカや次期スープラについて正式な発表を行なっていない。しかし、新開発2.0L ターボエンジンやGRブランドの拡充方針を踏まえれば、今後のスポーツカー戦略においてセリカが重要な役割を担う可能性は十分ある。
もしGR86、セリカ、スープラがそれぞれ異なる個性を持って共存することになれば、トヨタは再び幅広いスポーツカーラインアップを手にすることになる。その構想が現実となる日は、そう遠くないのかもしれない。









