高性能なGRカムリが実現するとすれば、Apexはその前段階を担うスポーティグレードとして位置付けられることも?
北米で絶大な人気を誇るカムリに、新たなスポーツグレード誕生の可能性が浮上した。「Apex」の名は、かつて限定販売されたカローラのスポーツ仕様にも与えられた由緒ある名称だ。その復活が意味するものとは何なのか。

日本市場ではセダン人気の低迷を受けて販売を終えたトヨタ「カムリ」だが、北米では現在も主力モデルとして高い支持を集めている。そのカムリに、新たなスポーツグレードが設定される可能性が浮上した。

2026年6月30日、トヨタが米国特許商標庁(USPTO)へ「Camry Apex」の名称を商標出願していたことが明らかになった。もちろん、商標登録だけで市販化が決まるわけではない。しかし、新たなモデル名を保護するために出願するケースも少なくなく、現地ではさっそくさまざまな憶測を呼んでいる。
「Apex」という名称に聞き覚えがある人も多いだろう。トヨタは2021年モデルとして、北米市場で「Corolla Apex Edition」を限定販売している。
このモデルはエンジン出力こそ標準車と共通だったものの、専用サスペンションによるローダウンや強化スタビライザー、専用エアロパーツ、スポーツエキゾーストなどを採用し、ハンドリング性能を高めた本格スポーツ仕様として仕上げられていた。

さらに120台限定で6速MT仕様も用意されるなど、後のGRカローラへとつながる存在としても高い評価を受けたモデルである。
その流れを踏まえると、仮に「Camry Apex」が市販化されるとしても、大幅なパワーアップではなく、足まわりやシャシー性能を重点的に磨き上げたスポーツグレードになる可能性が高い。
現行9代目カムリ(北米仕様)は2.5L 直列4気筒をベースとする第5世代THSを採用したハイブリッド専用モデルで、システム出力はFFが225hp、AWDが232hpを発揮する。日常域から高速走行まで十分な動力性能を備えていることから、Apexではパワートレーンよりも走りの質を高めるチューニングが重視される可能性がある。
具体的には、専用サスペンションやブッシュ、電動パワーステアリング(EPS)の専用制御、19インチ軽量アルミホイールとハイグリップタイヤの組み合わせ、さらに空力性能を高める専用エアロパーツなどが採用される可能性がある。最高出力を競うのではなく、ドライバーが操る楽しさを引き出すセッティングがApexの持ち味になるだろう。
そうなれば、新型へのフルモデルチェンジとともに姿を消した「カムリTRD」の実質的な後継という位置付けも見えてくる。TRDが担っていたスポーティなキャラクターを、Apexブランドが引き継ぐというシナリオは十分に考えられる。
一方で、この商標出願をもう少し大きな視点で見る向きもある。
トヨタは近年、「GRヤリス」「GRカローラ」「GR86」など、GRブランドのスポーツモデルを積極的に展開してきた。また、新世代の2.0L 直列4気筒ターボエンジンを開発中であることも明らかにしており、今後のスポーツモデルへの展開に期待が集まっている。
もっとも、その新エンジンがカムリへ搭載される計画は現時点で公表されていない。そのため、「GRカムリ」の登場はあくまでもファンの期待や憶測の域を出ない話である。
仮に将来、高性能なGRカムリが実現するとすれば、Apexはその前段階を担うスポーティグレードとして位置付けられる可能性もある。現行ハイブリッドシステムをベースに足まわりや空力性能を磨き上げ、「GR」ほど過激ではないものの、日常でも走りを楽しめるモデルという立ち位置であれば、ブランド全体のラインアップにも無理なく収まるはずだ。
もちろん、自動車メーカーが将来に備えて商標だけを取得するケースは珍しくなく、「Camry Apex」が市販化されない可能性も十分にある。それでも、トヨタが再び「Apex」という名称を動かした事実は興味深い。
SUV人気が続く現在でも、セダンならではの低重心なハンドリングや一体感のある走りを求めるユーザーは少なくない。今回の商標出願は、単なる名称保護にとどまるのか、それとも新たなスポーツセダン誕生への第一歩となるのか。今後のトヨタの動向に注目したい。








