基本情報

ホンダ・フリードは2008年に初代モデルが登場し、現行型は2024年6月に発売された3代目にあたる。
現行型のボディサイズは、全長4,310mm、全高1,755mmで、4WD車は全高1,780mmとなる。全幅はAIR系が1,695mm、CROSSTAR系が1,720mmである。AIR系は5ナンバーサイズに収まる一方、CROSSTAR系は全幅が1,700mmを超えるため、3ナンバーとなる点は押さえておきたい。
パワートレインは、1.5Lガソリンエンジンと、1.5Lエンジンに2モーターを組み合わせたe:HEVの2種類である。e:HEVは電気式無段変速機、ガソリン車はトルクコンバーター付きCVTを採用する。駆動方式はFFと4WDを設定し、乗車定員はグレードによって5名、6名、7名が用意されている。
現行型の主なグレードは、標準系の「AIR」、装備を充実させた「AIR EX」、クロスオーバーテイストの「CROSSTAR」である。
代表グレード例
| 項目 | フリード e:HEV(ハイブリッド車) | フリード(ガソリン車) |
| 車両型式 | 6AA-GT5 / GT6 / GT7 / GT8 | 5BA-GT1 / GT2 / GT3 / GT4 |
| 駆動方式 | FF(前輪駆動) / 4WD | FF(前輪駆動) / 4WD |
| 乗車定員 | 5名 / 6名 / 7名 | 5名 / 6名 / 7名 |
| 全長×全幅×全高 | 4,310 × 1,695(AIR)/ 1,720(CROSSTAR)× 1,755[4WDは1,780]mm | 4,310 × 1,695(AIR)/ 1,720(CROSSTAR)× 1,755[4WDは1,780]mm |
| ホイールベース | 2,740mm | 2,740mm |
| 最低地上高 | 135mm[4WDは150mm] | 135mm[4WDは150mm] |
| エンジン型式 | LEB-H5(直列4気筒 1.5L) | L15D(直列4気筒 1.5L) |
| エンジン最高出力 | 78kW[106PS]/6,000-6,400rpm | 87kW[118PS]/6,600rpm |
| モーター最高出力 | 90kW[123PS]/3,500-8,000rpm | ー |
| トランスミッション | 電気式無段変速機 | 無段変速オートマチック(CVT) |
| WLTC燃費(FF) | 25.0〜25.6km/L | 16.1〜16.5km/L |
e:HEV車は、低速域からモーターの力を活かした滑らかな走りと燃費性能を重視するユーザーに向いている。ガソリン車は車両価格を抑えやすく、近距離移動や街乗りを中心に使う場合に選びやすい。
ホンダ・フリード 変遷
2008年に登場した初代フリードは、「フリーライフ・クリエイション」をコンセプトに、コンパクトなボディと3列すべてで大人が座れる室内空間を両立したモデルとして開発された。発売当初は7人乗り、8人乗り、5人乗り仕様を設定し、ファミリー用途から日常使いまで幅広いニーズに対応していた。
2011年には、フリードシリーズにハイブリッド車が追加された。5ナンバーサイズのミニバン/ハイトワゴンとして初のハイブリッド車とされ、燃費性能を重視するユーザーにも選択肢を広げた。
2016年には2代目へフルモデルチェンジした。2代目では、3列シートのフリードに加え、2列シートで荷室の使い勝手を高めたフリード+を設定。ハイブリッド車にはSPORT HYBRID i-DCDを採用し、Honda SENSING搭載グレードも展開された。
2019年にはマイナーチェンジが行われ、内外装デザインを刷新し、クロスオーバースタイルのCROSSTARを追加した。現在のフリードにもつながる、標準系とCROSSTAR系の方向性は、この2019年の改良で強まったといえる。
現行型となる3代目は2024年6月に発売を開始した。グランドコンセプトは「“Smile” Just Right Mover」で、日々の暮らしに笑顔をもたらすクルマを目指して開発された。前述したAIRとCROSSTARの2系統を設定し、パワートレインにはe:HEVとガソリン車を用意している。
直近では、2025年1月にe:HEV、同年3月にガソリンモデルの一部改良が発表された。e:HEVは2025年2月6日、ガソリンモデルは2025年7月24日に発売され、いずれも外装塗料の変更や一部安全装備・運転支援機能の適用範囲拡大が行われている。
2026年の動きとしては、一部改良に関する情報も出ており、2026年秋ごろに一部改良が行われ、3代目フリードとしては初めて特別仕様車「BLACK STYLE」が設定される可能性があるとされている。
BLACK STYLEは、新たに追加されるとみられるAIR EXの2列5人乗り仕様をベースに、フロントグリルやホイール、ドアミラーなどをブラックで仕立てる仕様になる見込みだ。内装もブラック基調のシートやダーク系の加飾によって、落ち着いた雰囲気を高める仕様になるとみられている。
また、AIR EXには2列5人乗り仕様が追加される可能性も報じられている。これまで2列5人乗りはCROSSTARに設定されていたが、AIR EXにも設定されれば、3列シートを必要としないユーザーにとって選択肢が広がることになる。
ホンダ・フリード 販売台数推移
フリードは、2008年の登場以来、コンパクトミニバン市場で安定した販売実績を残してきた。2021年7月には、フリードシリーズとして累計販売台数100万台を突破している。
| 年 | フリード単体 | フリードシリーズ |
| 2008年 | 50,646台 | ー |
| 2009年 | 79,525台 | ー |
| 2010年 | 74,248台 | 95,123台 |
| 2011年 | 45,750台 | 67,736台 |
| 2012年 | 73,543台 | 106,316台 |
| 2016年 | 40,975台 | 52,202台 |
| 2017年 | 79,940台 | 104,402台 |
| 2022年 | 61,963台 | 79,525台 |
| 2023年 | ー | 77,562台 |
| 2024年 | ー | 85,368台 |
| 2025年 | ー | 90,437台 |
2008〜2022年の推移を見ると、初代では2009年に7万9,525台を販売し、登場直後から高い需要を獲得したことが分かる。シリーズ全体では2012年に10万6,316台を記録しており、フリードシリーズとして最も販売台数が多かった年となる。
2代目登場翌年の2017年には、フリード単体で7万9,940台、シリーズ全体で10万4,402台を販売した。フルモデルチェンジ直後の新鮮さに加え、フリード+の設定やHonda SENSING搭載グレードの展開が販売を押し上げたと考えられる。
2023年はシリーズ全体で7万7,562台、2024年は8万5,368台、2025年は9万437台とされている。2024年6月に3代目へ切り替わった後も販売は伸びており、2025年にはホンダ乗用車の中でも高い販売規模を維持している。
2026年に入ってからも販売は堅調に推移している。こうした流れを見ると、フリードは一時的なヒット車ではなく、世代を重ねながら安定した需要を保ってきたモデルであることが分かる。
ホンダ・フリードの魅力
フリードの魅力は、コンパクトなサイズと室内の使いやすさを両立している点にある。
前述したとおり、現行型は全長4,310mmに収まっており、大きなミニバンに比べて街中で扱いやすい。一方で、3列シート車では家族や同乗者が座れる空間を確保しており、2列目キャプテンシート装着車では1列目から3列目までウォークスルーできる仕様も設定されている。狭い道や駐車場での扱いやすさと、多人数乗車の実用性を両立している点が強みである。
3列目の使い勝手も特徴だ。現行型では3列目シートの構造を見直し、跳ね上げ時の固定位置を低く、ほぼ垂直にすることで荷室への張り出しを抑えている。3列目を使わない場面では荷室を広げやすく、ベビーカーや買い物荷物、レジャー用品などを積みたい場面にも対応しやすい。
スライドドアの使いやすさも、フリードが選ばれる理由のひとつである。大開口スライドドアとワンステップ低床フラットフロアによって、狭い駐車場でもドアをぶつけにくく、乗り降りしやすい設計となっている。子どもや高齢の家族を乗せる場面では、この扱いやすさが日常的な安心感につながる。
走行面では、e:HEVの存在が大きい。2モーターハイブリッドシステムによって、日常走行の多くをモーター走行中心でこなすことができ、静かで滑らかな走りを実現している。ガソリン車も1.5L i-VTECエンジンを採用し、街中から高速道路まで扱いやすい走りを目指した仕様となっている。
安全面では、Honda SENSINGを備える。広い水平画角のフロントワイドビューカメラと前後8つのソナーセンサーを用い、衝突軽減ブレーキ、渋滞追従機能付ACC、車線維持支援システム、標識認識機能、近距離衝突軽減ブレーキなどで運転をサポートする。家族で使う機会が多いミニバンとして、予防安全機能が充実している点は大きな魅力である。
デザイン面では、AIRとCROSSTARで異なる個性を選べる。繰り返しになるが、AIRはシンプルで上質な印象を重視した仕様であり、CROSSTARはアクティブな印象を持たせた仕様である。日常になじむ雰囲気を求めるならAIR、アウトドアやレジャーを意識するならCROSSTARが候補になる。
フリードは、単に「小さなミニバン」というだけの車ではない。街中で扱いやすいサイズ、3列シートや2列仕様の選択肢、スライドドア、e:HEV、安全装備を組み合わせることで、家族構成や生活スタイルに合わせて選びやすい一台になっている。
まとめ
フリードを選ぶうえで大切なのは、販売台数の多さや人気だけで判断するのではなく、自分の使い方に合う仕様を見極めることだ。
3列目を頻繁に使うなら、6人乗りや7人乗りのシート配置、3列目の座り心地、荷室とのバランスを確認したい。一方で、普段は2列で十分というユーザーにとっては、CROSSTARの5人乗りや、今後追加が報じられているAIR EXの2列5人乗り仕様が選択肢になる可能性がある。
パワートレインでは、燃費や滑らかな走りを重視するならe:HEVが有力である。購入価格を抑えたい場合や、近距離移動が中心であればガソリン車も検討しやすい。どちらを選ぶかは、年間走行距離や高速道路の利用頻度、購入時の予算によって変わる。
フリードは、2008年の登場以来、世代を重ねながらコンパクトミニバンとしての価値を磨いてきたモデルである。3代目となる現行型では、AIRとCROSSTARという2つの方向性を用意し、日常使いとレジャー用途のどちらにも対応しやすくなった。
自分の生活圏、家族構成、荷物の量、走行距離に合う仕様を選べば、フリードは日々の移動を無理なく支える実用的な一台になるはずだ。