ヤマハ・XSRシリーズの基本情報




国内向けのXSR125は「XSR125 ABS」として販売され、メーカー希望小売価格は50万6,000円。124cm³の水冷4ストロークSOHC4バルブ単気筒エンジンを搭載する原付二種モデルで、小型限定普通二輪免許以上で運転できる。
XSR125には、ロータイプシートとローダウンリンクを組み合わせた「アクセサリーパッケージ XSR125 Low」も用意されている。独立した車種やグレードではなく、XSR125 ABSに純正アクセサリーを装着したパッケージで、スタンダードモデルと比べて足つき性を最大約30mm向上させている。
XSR155は、2026年6月30日に国内正規モデル「XSR155 ABS」が発売された。メーカー希望小売価格は53万9,000円で、155cm³の水冷4ストロークSOHC4バルブ単気筒エンジンを搭載する。XSRシリーズでは初の軽二輪モデルとなり、高速道路も走行できる点がXSR125との大きな違いだ。
両車の車両重量は137kg、シート高は810mmで共通する。一方、最高出力はXSR125の15PSに対してXSR155は19PSであり、排気量だけでなく走行できる道路や必要な免許にも違いがある。
国内のXSRシリーズには、このほかXSR700、XSR900、XSR900 GPもラインアップされている。排気量や車体構成は異なるものの、クラシカルなスタイリングと現代のパフォーマンスを組み合わせる方向性はシリーズを通して受け継がれている。
主要諸元
| 項目 | XSR125 ABS | XSR155 ABS |
| 車名・型式 | ヤマハ・8BJ-RE46J | ヤマハ・8BK-RGB5J |
| 全長 / 全幅 / 全高 | 2,030mm / 805mm / 1,075mm | 2,005mm / 805mm / 1,075mm |
| 軸間距離 | 1,325mm | |
| 最低地上高 | 170mm | |
| シート高 | 810mm | |
| 車両重量 | 137kg | |
| 乗車定員 | 2名 | |
| WMTCモード値 | 49.4km/L | 48.1km/L |
| エンジン種類 | 水冷4ストロークSOHC4バルブ単気筒 | |
| 総排気量 | 124cm³ | 155cm³ |
| 最高出力 | 11kW[15PS]/10,000r/min | 14kW[19PS]/10,000r/min |
| 最大トルク | 12N・m[1.2kgf・m]/8,000r/min | 14N・m[1.4kgf・m]/7,500r/min |
| 燃料タンク容量 | 10L | |
| 変速機形式 | 常時噛合式6段リターン | |
| タイヤサイズ | 前:110/70-17 / 後:140/70-17 | |
| メーカー希望小売価格 | 506,000円(税込) | 539,000円(税込) |
XSR125・155の魅力


XSR125とXSR155は排気量こそ異なるものの、デザインや車体サイズには多くの共通点がある。
クラシカルな外観に加え、VVAを備えた単気筒エンジンや倒立フロントフォーク、アシスト&スリッパークラッチなどを採用していることが、小排気量XSRシリーズの特徴だ。
XSRらしいネオレトロデザイン
XSR125とXSR155には、XSRシリーズに共通する普遍的なスタイルと現代的なコンポーネントを組み合わせる考え方が反映されている。
XSR125は曲線的な燃料タンクやタックロールタイプのロングシート、ラウンド形状のメーターや灯火類などを採用。XSR155もサークル形状の灯火器や丸型LCDメーターを備え、車体全体を水平基調にまとめている。
過去の特定モデルをそのまま復刻するのではなく、ヤマハの歴史を感じさせる要素を現代のバイクとして再構成している点が特徴だ。
軽量な車体に本格的な足まわり
XSR125とXSR155は、ともに車両重量137kgである。
車体には剛性バランスを考慮したデルタボックス型フレームを採用し、フロントにはインナーチューブ径37mm、ストローク130mmの倒立フォークを組み合わせる。前後17インチホイールを採用し、リアには140/70-17サイズのタイヤを装着する。
XSR155は排気量を155cm³としながら、車両重量はXSR125と同じ137kgに抑えられている。市街地での取り回しを考慮しつつ、コーナリングなどでもスポーティな走りを楽しめる車体構成となっている。
VVAによる幅広いエンジン特性

両モデルには、VVAと呼ばれる可変バルブ機構が採用されている。
XSR125では低中速向けと高速向けの2つの吸気カムを備え、エンジン回転数に応じて切り替えることで、低中速域での扱いやすさと高回転域でのパワーを両立している。XSR155もVVAによって、低中速域のトルクと高回転域のパワーを両立する設計だ。
排気量だけを見れば小型の単気筒エンジンだが、市街地での扱いやすさと回転を上げて走る楽しさの両方を意識している。
アシスト&スリッパークラッチを採用
XSR125とXSR155は、どちらもアシスト&スリッパークラッチを備える。
クラッチレバーの操作荷重を抑えるとともに、シフトダウン時などに発生するバックトルクの影響を軽減する仕組みだ。発進や変速の多い街中での負担を抑え、減速時の車体挙動を安定させることにもつながる。
XSR125・155の気になるポイント
XSR125とXSR155を検討する際に、まず確認しておきたいのが810mmというシート高である。
車両重量は137kgと軽いが、小排気量モデルとしてはシート位置が低いとはいえない。体格によって足つきの感じ方は変わるため、購入前には実車に跨って確認しておきたい。XSR125で足つきを重視する場合には、前述したアクセサリーパッケージ XSR125 Lowも選択肢になる。
XSR125では車両区分にも注意したい。原付二種のため小型限定普通二輪免許以上が必要で、2025年4月からの新基準原付には該当しない。そのため、原付免許や普通自動車免許だけでは運転できない。また、125cc以下のため高速道路を利用することもできない。
XSR155は普通二輪免許が必要となる一方、高速道路を走行できる。XSR125とのメーカー希望小売価格差は3万3,000円だが、必要な免許や車両区分が異なるため、価格差だけで選ぶより用途まで含めて検討したい。
また、XSR155は高速道路を走行できるものの、大型のカウルを備えたツアラーモデルではない。高速道路を長時間利用することが多い場合は、走行風への対策も考えておきたい。
XSR125・155の中古市場
XSR125とXSR155では、中古市場が形成された経緯に違いがある。
2026年8月時点のグーバイクでは、XSR125が50台前後、XSR155が70台前後掲載されており、どちらも複数の中古車を比較できる状況となっている。
XSR125は国内正規モデルが2023年12月に発売されたため、中古市場でも比較的新しい年式の車両が中心だ。車両本体価格は40万円台の掲載例が複数あり、現行新車のメーカー希望小売価格50万6,000円との差が小さい個体も見られる。
一方、XSR155の国内正規モデルが発売されたのは2026年6月で、それ以前から海外仕様の並行輸入車が日本で流通していた。そのため、中古市場には国内正規導入以前の年式も多く、車両本体価格30万円台後半から40万円台の車両も確認できる。
XSR155では国内正規車と海外仕様車が混在しているため、年式や価格だけで単純に比較するのは難しい。中古車を探す際は、国内正規車か並行輸入車かも含めて確認したい。
XSR125・155の中古で注意したいポイント
XSR155の中古車を選ぶ際に特に確認したいのが、国内正規モデルか並行輸入モデルかという点である。
国内正規のXSR155 ABSは2026年6月に発売されたため、それ以前の年式は海外仕様として国内へ持ち込まれた車両となる。中古市場にはインポートモデルや海外仕様と記載されたXSR155も流通している。
並行輸入車では、仕向け地や年式によって仕様や装備が異なる可能性がある。購入時にはABSなどの装備、部品の入手性、販売店での整備対応、保証範囲などを確認しておきたい。2026年に登場した国内正規モデルと、それ以前の海外仕様車では購入後の条件にも違いが生じる可能性がある。
XSR125ではリコールへの対応状況も確認しておきたい。2026年1月、エンジンコントロールユニットのプログラムに関するリコールが届け出られ、同年6月には追加の対象車両が公表された。中古車を購入する場合は、車台番号から対象車両かを確認し、該当する場合には対策済みかを販売店に確認したい。
カスタム内容にも目を向けたい。中古車ではマフラー、スクリーン、フェンダーレスキット、ローダウンパーツなどが装着されている場合がある。とくにXSR125の車高が変更されている車両では、ヤマハ純正の「アクセサリーパッケージ XSR125 Low」によるものか、社外パーツによるローダウンなのかを確認しておきたい。
タイヤやチェーン、ブレーキパッドなどの消耗状態も確認しておくことが大切だ。車両本体価格に加え、購入後に必要となる整備費用まで考慮して選びたい。
XSR125・155の中古が高い理由
XSR125では、中古車になっても新車との価格差が大きく開いていない車両が見られる。
背景のひとつが、国内発売からまだ年数が浅いことだ。XSR125は2023年12月に国内販売を開始したため、中古市場に流通している車両も比較的新しい。年式が新しく走行距離の少ない個体では、中古になっても価格が下がりにくい。
発売当初から需要が強かったことも価格を支える要因と考えられる。ヤマハによると、XSR125は発売日前後に1,000台を超えるバックオーダーが発生した。
125ccクラスながら倒立フロントフォークやVVA、アシスト&スリッパークラッチなどを採用していることも特徴だ。移動手段としての実用性に加えて、デザインや走りを重視して選ばれる側面があり、こうした商品性も中古需要を支える要素と考えられる。
XSR155については、国内正規モデルが2026年6月に発売されたばかりであり、国内正規車の中古相場が形成されたと判断するにはまだ早い。従来から流通してきた並行輸入車とは仕様や流通経路が異なるため、今後の中古価格の推移を見ながら判断する必要がある。
ヤマハ・XSRシリーズの変遷

XSRシリーズの国内展開は、2016年に発売されたXSR900から始まった。
国内初となるXSR900は、845cm³の水冷直列3気筒エンジンを搭載。「The Performance Retro-ster」をコンセプトに、レトロなスタイリングとMT-09をベースとした走行性能を組み合わせていた。通常モデルに加えて創業60周年記念仕様も用意され、国内年間販売計画は2タイプ合計で1,000台に設定された。
販売面でも好調なスタートを切っている。XSR900と60th Anniversaryを合わせた2016年の販売台数は1,812台となり、401cc以上の国内販売ランキングで3位に入った。発売時の年間販売計画を上回る数字であり、国内導入初年度から一定の支持を集めたことが分かる。
翌2017年にはXSR700 ABSが国内ラインアップへ加わった。MT-07をベースに688cm³の水冷直列2気筒エンジンを搭載し、「Urban Casual Retro-ster」をコンセプトに開発されたモデルで、国内年間販売計画は1,500台とされた。
シリーズの展開は、その後小排気量クラスへ広がっていく。2019年にはMT-15をベースとするXSR155がタイやインドネシアに登場。2021年にはMT-125をベースとしたXSR125が欧州で発売され、小排気量モデルにもXSRのデザインや走りの考え方が取り入れられた。
日本市場に小排気量XSRが加わったのは2023年12月である。XSR125 ABSが発売され、シリーズのラインアップは原付二種クラスまで拡大した。発売時の国内年間販売計画は3,000台で、ヤマハの125ccスポーツモデルのなかでも大きな販売規模が見込まれていた。
発売前後には1,000台を超えるバックオーダーが発生した。開発では、初めて自分のバイクを所有する20歳前後のユーザーも具体的なターゲットに設定されており、XSR900やXSR700とは異なる若い層へシリーズを広げる役割を担った。
2024年にはXSR900をベースとするXSR900 GPが国内へ投入された。1980年代のGPファクトリーマシンを想起させるスタイリングを採用し、XSRシリーズのなかでもロードレースの歴史を色濃く反映したモデルとしてラインアップに加わっている。
2025年にはXSR125のカラーリングを変更するとともに、ロータイプシートとローダウンリンクを組み合わせた「アクセサリーパッケージ XSR125 Low」を設定。スタンダードモデルの810mmというシート高に不安を感じるユーザーにも選択肢を広げた。
2026年6月には、XSR155 ABSが日本へ正規導入された。XSR125のユーザーから寄せられた「より遠くまでツーリングしたい」「よりスポーティな走りを楽しみたい」といった声も開発背景のひとつとされている。XSR125に近い車体サイズや扱いやすさを持ちながら、高速道路も利用できる軽二輪モデルが加わったことで、小排気量XSRの選択肢はさらに広がった。
XSRシリーズはモデルごとに排気量区分や発売時期が異なり、同じ条件で比較できる国内販売実績がすべて公表されているわけではないため、歴代で最も売れたモデルを一律に決めるのは難しい。
確認できる販売データでは、国内導入初年度から販売計画を上回ったXSR900や、発売前後に1,000台を超えるバックオーダーを抱えたXSR125など、シリーズ拡大の節目となったモデルがある。当初は大型・ミドルクラスを中心としていた国内XSRシリーズも、現在では125cc、155ccまでラインアップを広げ、免許区分や用途に合わせて選べるシリーズへ成長している。
XSR125・155はやめとけ?
XSR125やXSR155について、一律に購入を避けるべき大きな問題があるわけではない。自分の用途や体格と車両の特徴が合っているかを確認することが重要だ。
前述したとおり、XSR125とXSR155では必要な免許や走行できる道路が異なり、両車ともシート高は810mmとなる。高速道路を利用する予定があるか、足つきに問題がないかといった点は購入前に確認しておきたい。
XSR125は市街地や一般道を中心に使い、高速道路を必要としない人には選択肢になりやすい。一般道だけでなく高速道路も利用して行動範囲を広げたい場合には、XSR155が候補となる。
中古のXSR155を検討する場合は、国内正規車と並行輸入車の違いも判断材料になる。仕向け地や装備、保証、整備体制まで確認し、購入後の維持も含めて検討したい。
デザインだけで購入を決めるのではなく、免許、走る道路、体格との相性まで整理しておけば、「やめとけ」という言葉だけを理由に候補から外す必要はない。
まとめ

XSR125とXSR155は、車両価格の差が3万3,000円にとどまる一方、免許区分や走行できる道路には違いがある。そのため、価格だけで比べるより、普段どのような場面で使うのかを先に整理した方が選びやすい。
中古車を検討する場合は、XSR125では車両状態やリコール対応、XSR155では国内正規車か並行輸入車かといった点も確認しておきたい。購入後の整備や保証まで含めると、同じような車両価格でも条件が異なることがある。
XSRシリーズのスタイリングに魅力を感じたら、まず免許や走行環境から125と155のどちらが自分に合うかを絞り込み、そのうえで新車と中古車を比較したい。用途を基準に選ぶことで、自分に合ったXSRを見つけやすくなるはずだ。


