先生:損 保太郎
某損保サービスセンターに勤務。知っているようで知らない「等級」のカラクリを分かりやすくレクチャーする。

生徒:モン太
今年加入している自動車保険は8等級。「これって良いの? 悪いの?」と、自分の等級がどのくらいなのかよく分かっていない。

そもそも「等級」って何? 無事故なら1年でひとつ上がる!

損 保太郎(以下、保太郎) まず「フリート」っていうのは、ざっくり言えば会社などがまとめて所有・使用している車両のまとまりのこと。自動車保険では、大きく「フリート契約」と「ノンフリート契約」に分けて考えるんだ。フリート契約は、契約者が所有・使用する自動車が10台以上の場合に適用され、9台以下の場合はノンフリート契約となるんだよ。

モン太 10台もクルマを持っている人なんているモンか?

保太郎 運送会社やタクシー会社など、たくさんの車両を使う法人が多いね。逆に個人の契約は、ほぼノンフリート契約と考えていい。

一般的に「等級」と呼んでいるのは、このノンフリート契約で保険料の割増・割引を決めるために使われる区分のことなんだ。1~20等級があって、初めて契約する場合は原則6等級からスタート。1年間、等級に影響する事故がなければ、翌年は1等級上がって7等級になる。

モン太 なるほど。ボクは6等級から始まって、2年間無事故だったから2つ上がって8等級っていうわけだモンな。

保太郎 そういうこと。基本的には等級が上がるほど保険料の割引率は大きくなり、下がれば保険料は高くなる仕組みなんだ。

【表1A】等級と割引率

保太郎 等級によってどれくらい割増引率が変わるかは表1Aを見てもらうと分かりやすいよ。例えば8等級なら、事故の影響を受けていない場合は38%割引になる。

モン太 8等級で38%割引! けっこう大きいモンね。

保太郎 ただし、ここで「あれ?」と思うところがあるはず。同じ等級なのに「無事故」と「事故有」で割引率が違うよね。

モン太 ホントだモン! 同じ8等級なのに、なんで2種類あるモンか?

事故を起こしたら何等級下がる? 「3・1・0」の3パターン

無事故なら翌年は1等級アップ。では、事故を起こして保険を使ったら1等級ダウン? じつはそう単純ではない。事故の内容によって「3等級ダウン事故」「1等級ダウン事故」、そして等級に影響しない「ノーカウント事故」がある。

モン太 無事故だったら等級が1年ごとにひとつずつ上がるのは分かったモン。逆に事故を起こして保険を使ったら、等級はひとつ下がるってことだモンか?

保太郎 それが、そうとは限らないんだ。バイクやクルマを運転中に追突してしまった場合や、交差点の出会い頭で事故を起こして、対人賠償責任保険や対物賠償責任保険、車両保険などを使った場合は、一般的に「3等級ダウン事故」になる。

モン太 1回の事故でコツコツ上げていった等級が3つも下がっちゃうモンか!

保太郎 そうだね。いっぽう、火災や台風、飛来中・落下中の物との衝突などで車両保険を使った場合は、「1等級ダウン事故」となるケースがある。例えば飛び石でフロントガラスが割れて、車両保険で対応した場合などだね。事故区分は契約内容や事故状況によって確認が必要だけど、「保険を使ったら全部3等級ダウン」ではないんだ。

それから、保険を使っても等級に影響しない「ノーカウント事故」もあるよ。

モン太 ふ~ん。いろいろあるモン。

保太郎 例えば契約内容によっては、ファミリーバイク特約や弁護士費用特約、人身傷害保険だけを使った事故などが、ノーカウント事故として扱われることがある。ノーカウント事故だけなら、無事故の場合と同じように翌年は1等級上がるんだ。

モン太 ファミリーバイク特約を使っても、必ずクルマの等級が下がるわけじゃないんだモンね。ミニバイク乗りには大事なところだモン!

保太郎 そうだね。ただし、どの補償がノーカウント扱いになるかは契約内容によって異なる場合があるから、実際に保険を使う時は保険会社や代理店へ確認してほしいね。

フリート契約は「等級」とは別の仕組み

保太郎 余談だけど、法人に多いフリート契約はノンフリートの等級制度とは仕組みが違う。保険料の割増引は、契約全体の事故実績などを反映して決まるんだ。

モン太 小さい事故を何度も起こすのも影響するモンか?

保太郎 そう。フリート契約では契約全体の損害実績が関係するから、事故件数や支払われた保険金などが保険料に影響するんだ。個人向けのノンフリート契約とは考え方が違う、くらいで覚えておけばOKだよ。

同じ8等級でも「38%割引」と「15%割引」!? カギは事故有係数

ここが知っておきたいポイント。同じ等級でも、事故歴によって適用される割引率が違う場合がある。例えば表の8等級では「無事故」が38%割引なのに対し、「事故有」は15%割引。その差はかなり大きい。

【表1B】等級と割引率

モン太 表をよく見ると7等級から上の等級って、割引率が2つになっているモン。

保太郎 良いところに気付いたね。実は7等級以上では、同じ等級でも事故歴によって適用される割引率が違うんだ。そこで出てくるのが「事故有係数」という仕組みなんだよ。例えばモン太君は6等級から始まって2年間、等級に影響する事故がなく8等級になった。この場合、表の例では38%の割引になる。

だけど、前年11等級だった人が3等級ダウン事故を起こして8等級になった場合は「事故有」の割引率が適用され、同じ8等級でも15%割引になるんだ。

モン太 ええっ! 同じ8等級なのに23ポイントも違うモンか!

保太郎 そうなんだ。無事故で等級が上がってきた人と、事故によって同じ等級まで下がってきた人で、保険料に差を付ける仕組みになっているんだよ。

モン太 事故を起こすと、等級が下がるだけじゃないんだモンね。

保太郎 そこがポイント。3等級ダウン事故なら、原則として事故有係数が3年間適用される。1等級ダウン事故なら1年間。さらにその期間中に別の事故が重なると、事故有係数適用期間が加算される場合があり、上限は6年なんだ。

モン太 なるほど~。無事故で等級が上がった人と、事故を起こして等級が下がった人の差を付けているというわけだモンな。

保太郎 そういうこと。ちなみに事故が多く、1等級や2等級まで下がった場合などは、契約条件や事故歴によって保険会社から継続契約を断られたり、引受条件が厳しくなったりする場合もある。だから保険料を節約する意味でも、安全運転が大事なんだよ。

モン太 たしかに、3等級下がって、そのうえ事故有の割引率まで適用されたらダブルパンチだモン……。

保太郎 そうだね。それに、小さな事故では「保険を使って受け取れる金額」よりも、等級ダウンによって翌年以降に増える保険料の方が大きくなる場合もある。そんな時は、保険会社や代理店に「保険を使った場合、今後の保険料がどのくらい変わるか」を確認してから決めるといいよ。

モン太 事故を連絡したからって、絶対に保険を使わなきゃいけないわけじゃないんだモンね。

保太郎 その通り。事故が起きたらまず相談。そのうえで、保険を使うかどうかを判断すればいい。等級と保険料の仕組みを知っておくと、その判断もしやすくなるんだ。

モン太 なるほど~。ボクの8等級も意味が分かったモン! このまま安全運転で20等級を目指すモン!!

保太郎 その意気だね。保険料を節約するためにも、運転にはくれぐれも気を付けてね!

※ここでは一般的な自動車保険について解説しています。等級の扱い、事故区分、割増引率、事故有係数適用期間などは、加入している保険や契約内容、事故の状況によって異なる場合があります。詳しくは保険会社または代理店へご確認ください。

※この記事は月刊モトチャンプ2025年1月号を基に加筆修正を行っています

【モトチャンプ編集部】