
先生:損 保太郎(右)
某損保サービスセンターに勤務。保険を使いたくなくても、事故が起きたら保険会社に事故報告をした方が良い!その理由は……。
生徒:モン太(左)
等級が下がって保険料が上がるくらいなら自分で示談しようかな。でも知識もないし不安だモン。どうしよ~(泣)
「事故を連絡しただけ」では等級は下がらない
「保険会社へ事故を連絡=保険を使う=等級ダウン」と思っていないだろうか。実際には、事故を連絡しただけで等級が下がるわけではない。等級への影響は、事故の内容や実際に使った補償によって決まる。一般的なノンフリート契約では、保険金の支払いを受けた事故の内容に応じて、3等級ダウン事故、1等級ダウン事故、ノーカウント事故などに分けて扱われる。
モン太 保太郎さん! ボクみたいな若年層は保険料も高いし、お金もないモン。小さな事故なら、等級が下がって保険料が上がるくらいなら、自分で示談した方がいいのかなって思っちゃうモン。
損 保太郎(以下、保太郎) でも、保険会社に事故を連絡しただけで即等級ダウン=保険料アップとはならないんだよ。
モン太 えっ、事故の連絡をしただけなら等級は下がらないモンか?
保太郎 そう。等級に影響するかどうかは、その事故でどの補償を使い、保険金の支払いを受けたかによって決まるんだ。だから事故が起きたら、まず保険会社へ連絡して相談していいんだよ。
モン太 じゃあ、連絡した後で「今回は保険を使わない」と決めることもできるモンか?
保太郎 もちろん。例えば対物賠償責任保険で事故対応を進める場合でも、賠償額などが分かってから、今回支払われる保険金と、保険を使ったことで将来増える保険料を比べて判断できる場合があるんだ。
モン太 なるほど。保険会社へ連絡することと、実際に保険を使うことは別なんだモンね。
保太郎 その通り。事故相手と直接交渉するのは、知識がないと難しいし、負い目がある状況ではなおさら大変だよ。示談交渉サービスが付いている契約なら、原則として保険会社に交渉を任せられる場合もあるしね。
モン太 小さな事故でも、まず相談した方が安心だモン。
保険を使う?使わない? 将来の保険料まで比べて考える
小さな事故では、「修理代を自分で払うか」「保険を使うか」が悩みどころ。そんな時は、今回保険から支払われる金額だけでなく、等級が下がった場合に今後どれだけ保険料が増えるのかまで比べて考えたい。
モン太 でも実際、どのくらいの修理代なら保険を使わない方がいいモンか?
保太郎 一律に「○万円なら使わない方が得」とは言えないんだ。今の等級や年間保険料、事故の種類、契約条件によって違うからね。
モン太 じゃあ、何を比べればいいモン?
保太郎 今回の事故で保険から支払われる金額と、保険を使ったことで今後増える保険料だよ。例えば、今回支払われる保険金よりも、その後数年間で増える保険料の方が大きければ、自分で修理代を負担した方が結果的に出費を抑えられる場合もある。逆に修理費や賠償額が大きければ、保険を使った方が負担を抑えられることもあるんだ。
モン太 つまり「修理代が安いから保険を使わない」じゃなくて、その後の保険料まで含めて比べる必要があるんだモンね。
保太郎 そういうこと。一般的な3等級ダウン事故では翌年度の等級が3つ下がり、将来の保険料にも影響する。自分で計算するのは分かりにくいから、保険会社や代理店に相談してみるといいよ。「今回保険を使ったら翌年以降の保険料がどのくらい変わるのか」を確認したうえで、今回受け取れる保険金と比べながらアドバイスをもらえる場合もあるんだ。
モン太 なるほど! 「保険を使った方が得か」まで相談してから決められるんだモンね。
保険を使う? 使わない? 3年間の保険料を比較!
例えば、ある契約をモデルケースとして試算した例では、保険を使わなかった場合と使った場合で、3年間の保険料に9万4800円の差が出ている。実際の保険料や差額は、年齢、車種、等級、補償内容などによって大きく異なる。

モン太 もし今回の保険金より、将来増える保険料の方が高かったら、保険を使わない選択もあるってことだモンね。
保太郎 そう。ただし、手元に修理代を用意できない場合や、賠償額が大きい場合などは保険を使うメリットも大きい。単純に金額だけでは決められないケースもあるから、事故ごとに考えることが大切なんだ。
等級に影響しない補償もある! 迷ったらまず保険会社へ相談
「保険金を受け取る=必ず等級ダウン」でもない。補償の種類によっては、保険金の支払いを受けても翌年の等級に影響しない「ノーカウント事故」として扱われる場合がある。日本損害保険協会も、人身傷害保険の保険金のみを受け取った場合など、ノーカウント事故となるケースがあると案内している。ただし、扱いは保険会社や契約によって異なる。
モン太 保険を使っても等級が下がらないこともあるモンか?
保太郎 あるよ。例えば、自分のケガで人身傷害保険だけを使った場合や、ファミリーバイク特約などを使った場合は、「ノーカウント事故」として翌年の等級に影響しないことがあるんだ。
モン太 だったら、なおさら自分だけで「保険は使わない!」って決めない方がよさそうだモン。
保太郎 そうだね。契約内容によっては、弁護士費用特約やロードサービスも等級に影響しない扱いになることがある。だから事故の連絡を受けたら、保険会社に契約内容を確認してもらう意味があるんだ。
モン太 ところで、相手をケガさせてしまって、保険会社に治療費の対応をお願いしたら、その時点で任意保険を使ったことになるモンか?
保太郎 必ずしもそうではないんだ。交通事故では、任意保険会社が自賠責保険分を含めて被害者へまとめて支払う「一括払制度」が使われることがある。だから、任意保険会社が病院への支払いなどを対応しているからといって、それだけで必ず任意保険を使ったことになり、等級が下がるとは限らないんだよ。
モン太 例えば被害者のケガが軽くて、自賠責保険の範囲内で収まった場合もあるモンね?
保太郎 そう。自賠責保険では、傷害による損害について被害者1人につき最高120万円までが支払限度額になっている。治療費だけでなく休業損害や慰謝料なども含めた傷害による損害全体の限度額だから、そこは間違えないようにしたいね。
モン太 なるほど~。ボクが心配していた「保険会社に連絡したら即等級ダウン!」ってわけじゃなかったんだモン。
保太郎 そういうこと。事故が起きた時は、小さな事故だからと自己判断で済ませず、まず保険会社や代理店へ連絡してみる。そのうえで、使える補償、等級への影響、将来の保険料などを確認して、保険を使うかどうかを判断するのがいいね。
モン太 よく分かったモン! 事故を起こしたら、まず保険会社へ連絡するモン。
※ここでは一般的な自動車保険や交通事故について解説しています。補償内容、等級への影響、事故対応、各種特約の取り扱いなどは、保険会社・商品・契約内容や個別の事故状況によって異なります。詳しくは加入している保険会社または代理店へご確認ください。
※この記事は月刊モトチャンプ2025年8月号を基に加筆修正を行っています
【モトチャンプ編集部】
![by Motor-Fan BIKES [モーターファンバイクス]](https://motor-fan.jp/wp-content/uploads/2025/04/mf-bikes-logo.png)