220馬力のSR20DE改が吠える!

2.2L&4スロの快速4WDセダン

オーテック製エアロパーツをベースに、フロントバンパーへさりげなくエアダクト処理を施したP10プリメーラ。一見するとノーマル然とした佇まいだが、その中身は見た目からは想像できないほど徹底的に作り込まれている。

ボンネット内に収まるのは、東名パワードのコンプリートエンジン「ディライブ」のフェーズ3で2.2L化されたSR20DE。そこにファンネル仕様の48φ4連スロットルを組み合わせ、ノーマルの150ps&19kgmから220ps&26kgmへと大幅なパワーアップを果たしている。

そんな「羊の皮を被った狼」的な一台が誕生したきっかけは、オーナーの小田さんに二人目の子どもが誕生したことだった。

それまでGA70スープラやECR32スカイラインなどでチューニングを楽しんできた小田さんだが、家族が増えるにあたってファミリーカーへの乗り換えが必要に。FRでピンとくるセダンが見当たらない中、コンパクトなボディサイズとスタイリングが気に入ったP10プリメーラに目を付けた。

「2ドア禁止令が出たので、ファミリーカーとして使えて楽しそうなクルマを考えて行き着いたのがP10でした。それと同時にクルマ遊びも禁止されたので、それなら乗り始める前に理想のチューニングを全部やってしまって、“ノーマルがコレだよ”って誤魔化そうと思ったんです(笑)」と小田さん。

そこで、納車前から理想のファミリーセダン作りがスタートした。特にエンジンへのこだわりは強い。プリメーラへ乗り換える前のECR32は、RB30改3.1Lに6連スロットルを組み合わせたNAフルチューン仕様。その刺激的なレスポンスとフィーリングをP10でも再現するべく、東名パワードへ2.2Lコンプリートエンジンの製作をオーダーしたのだ。

排気量アップと4連スロットルの相乗効果によって、SR20DE改は狙い通りトルクフルかつピックアップに優れた特性を獲得。さらに、中高回転を多用するスポーティな走りにも対応できるよう冷却系にも手を入れ、ラジエターやオイルクーラーの冷却効率を高めるため、フロントバンパーにはダクトホールを追加。ナンバープレートも移設して走行風を積極的に導いている。

エンジンのポテンシャルアップに合わせて、駆動系にも抜かりはない。ミッションにはパルサーGTi-R用を流用。搭載にあたってはベルハウジングやプロペラシャフトなどの加工を必要としたが、クロス気味のギヤ比と2.2L+4スロNAの組み合わせは相性抜群。トップスピードこそ伸びにくいものの、各ギヤを使い切りながら加速していく爽快感を生み出している。

また、プリメーラといえばFFのイメージが強いが、小田さんが選んだのは4WDの2.0T4だ。

その理由は、以前、先輩が所有していたマーチターボを運転した際、強烈なトルクステアに遭遇した経験にある。「チューンドFFは自分には操りきれない」と判断し、最初から4WDを選択したという。

とはいえ、4WDのままでは攻め込んだ際のアンダーステアが強い。そこでリヤのトーを調整限界までアウト方向へ振り、弱オーバーのステア特性にセット。1320kgと2WDモデルより100kg以上重い車重ながら、4WDならではのトラクションと相まって、FFベースの4WDとは思えないほどリヤから力強く押し出す軽快なハンドリングを実現している。

足回りは以前、ノーマル車高のままクラックス製車高調を組み込んでいたが、現在はファミリーカーとしての乗り心地を重視して純正へ戻している。

ブレーキも流用パーツを巧みに組み合わせて強化。フロントにはHCR32用キャリパー、リヤにはBNR32 N1用ブレーキローターなどを投入し、同時にホイールの選択肢を増やすため5穴化も実施した。当初はHCR32純正16インチを履いていたが、現在はステージア260RSのフロント用BBS鍛造ホイールを、センターキャップのアレンジとともに装着している。

こうして乗り出し当初から理想を詰め込んだP10だったが、製作から時間が経過し、環境も変化したことを受け、2年前には大幅なアップデートを実施。その相談先となったのがHKS九州サービスだ。

エンジンマネージメントは、それまで長年使用してきたRAM方式の「レイテック」から「F-CON Vプロ」へ変更。レイテックはバッテリー交換時などにデータが消失すると再インストールが必要になるなど、現在の使用環境では扱いづらい部分もあったため、今となっては希少なプリメーラのチューニングにも親身に対応してくれたHKS九州サービスでリセッティングを行った。

同時に、それまで排圧が厳しかったマフラーもワンオフ製作。排気効率を改善した上で制御を煮詰め直した結果、特に5000〜7000回転のフィーリングが大幅に向上した。

「セッティング後は5000〜7000回転がかなり良くなりました。トルク感が強くて、弱オーバーの足回りも相まって、FFベースの4WDとは思えないくらいリヤからグッと押し出してくれる感じです」と小田さんも満足げだ。

室内もエクステリアと同様、極力ノーマル然とした雰囲気を維持。コンディション管理に欠かせない追加メーターはセンターコンソールへスマートに収め、シートも純正を使用する。ただし、運転席は座面のあんこ抜きによってローポジション化とホールド性の向上を図るなど、目立たない部分にはしっかり手が入っている。

排圧対策で製作したワンオフマフラーによってエキゾーストノートは以前より少々甲高くなったものの、車高を含めた佇まいはあくまで落ち着いたノーマル風。まさに「2ドア禁止&クルマいじり禁止令」をかいくぐって生まれた、羊の皮を被ったファミリーセダンなのだ。

そして、走れば走るほどP10への愛着は深まり、今では長く乗り続けるためのストックパーツ収集も万全。今後は近年の酷暑に対応するウォータースプレーシステムや、BNR32ニスモ風のチビスポイラー装着といったプチアップデートも予定しているという。

2.2L+4連スロットルが生み出す痛快なNAフィール、4WDのトラクション、弱オーバーに仕立てたハンドリング。そして、それらをノーマル然とした4ドアボディに隠し持つ。ファミリーカーとしての役割を果たしながらクルマ好きの理想も諦めなかった小田さんのP10は、まさに究極のストリートチューンド・スポーツセダンなのである。

●取材協力:HKS九州サービス 福岡県北九州市小倉南区蜷田若園3-12-15 TEL:093-931-6910

「令和に生きるバブルの申し子」名車ソアラを未来へ繋ぐために選んだ1JZエンジン換装という選択

バブル期を代表する高級スペシャルティカーとして人気を博したGZ20ソアラ。その中でもブラックツートン&サンルーフ付きという人気仕様をベースに、1G-GTEから後期型1JZ-GTEへと換装した一台だ。単なるパワーアップではなく、将来的な維持管理まで見据えたアップデートによって生き延びてきたネオクラシック。その歩みには、旧車と長く付き合うためのヒントが詰まっている。

【関連リンク】
HKS九州サービス
http://www.hks-kyusyu.co.jp