「パジェロスポーツ」ヒストリー

1996年に発売された三菱チャレンジャー。海外ではパジェロスポーツやモンテロスポーツの車名で販売された。

パジェロスポーツの原点は、その名が示すようにパジェロだ。初代モデルは、2代目パジェロのラダーフレームを流用して生まれたSUVである。海外では「パジェロスポーツ」や「モンテロスポーツ」などの名で販売。日本では、1996年より「チャレンジャー」の名で投入された。

三菱チャレンジャーのフレームとパワートレイン。2代目パジェロのラダーフレームを踏襲している。

2007年の初のフルモデルチェンジを果たした2代目より、海外専売モデルにシフト。パジェロがビルトインラダーフレームのモノコックボディとなった一方で、パジェロスポーツはラダーフレームを持つピックアップトラック「トライトン」をベースとしてSUV化した「PPV(ピックアップ・パッセンジャー・ビークル)」となり、住み分けが図られた。

2代目三菱パジェロスポーツは、ピックアップトラックベースのPPVとなった。
2005年にタイでデビューした初代三菱トライトン。2006年には日本でも発売した。

そして、現行型となる3代目もPPVとして2015年にタイでグローバルデビューを果たし、2017年よりインドネシアの新工場でも生産を開始。現在も現地生産モデルが供給され続けているのだ。

3代目三菱パジェロスポーツ。当初はダイナミックシールドマスクもちょっと大人しめだった。

デビューから10年が経過したロングライフモデル

既にロングライフモデルとなっている現行型パジェロスポーツだが、現地では2024年8月に改良を実施しており、内外装デザインの刷新に加え、フル液晶メーターパネルに象徴されるデジタル機能の強化も図られている。

三菱パジェロスポーツのコックピット。展示車は、上級グレード「DAKAR」。フル液晶メーターは上位グレードのみ。

今回取材したインドネシア仕様を紹介すると、4グレード構成で、グレードにより駆動方式だけでなく、エンジンやトランスミッションの設定も異なる。

グレード構成と駆動方式は、エントリーグレード「GLX(4WDのみ)」、中間グレード「EXCEED(エクシード/FRのみ)」、上級グレード「DAKAR(ダカール/FRのみ)」、最上級グレード「DAKAR ULTIMEATE(ダカールアルティメット/FRと4WD)」という設定だ。

ただし、グレードとしては「EXCEED」の方が格上だが、「EXCEED」がFRのみなのに対して「GLX」が4WDのみとなることから、価格では「GLX」方が高くなるのが少々ややこしいところ。

三菱パジェロスポーツの展示車両「DAKAR」のグレードエンブレム。

パワーユニットはディーゼルエンジンが2種類設定されている。信頼性が高い4D56型2.5L直列4気筒直噴ターボエンジンは、「GLX(4WD)」と「EXCEED(FR)」に搭載。最高出力136ps/4000rpm・最大トルク324Nm/2000rpmと実用的なスペックを備える。トランスミッションは「GLX」は5速MTのみで、「EXCEED」では5速MTと5速ATの選択が可能だ。

三菱パジェロスポーツのエンジンルーム。「DAKAR」はパワフルな2.4L直列4気筒ターボエンジンを搭載する。

もうひとつの高性能な4N15型2.4L直列4気筒ターボエンジンは、最高出力181ps/3500rpm・最大トルク430Nm/2500rpmを発揮。「DAKAR」シリーズに搭載され、8速ATを組み合わせる。

三菱パジェロスポーツのセンターコンソール。写真の「DAKAR」のトランスミッションは8速AT。

展示車のグレードは「DAKAR」。いかにもパジェロらしいグレード名だ。ボディカラーは「DAKAR」と「EXCEED」のみ選べるグラファイトグレーメタリックを纏う。パジェロの弟分と言えるモデルだが、そのスタリングやメカニズムは、まさにパジェロの名に恥じないもの。4WD仕様では、新型パジェロにも採用される「スーパーセレクト4WD-II」を採用している。

三菱パジェロスポーツ(4WD車)のセンターコンソール。ダイヤル式の4WDモードセレクターが備わるほか、モードダイヤルの前にはヒルディセントコントロールとオフロードモードのスイッチが配置される。さらに、5つのドライブモードも備えている。

スポーティなエクステリアと上質なインテリア

ボディサイズは全仕様共通となる全長4840mm×全幅1815mm×全高1835mmと大きめ。力強いデザインと相まって迫力も満点だ。ただ全長こそ長いが、全幅は意外とスリム。最新国産車だと、コンパクトSUV「カローラクロス」(1825mm)よりも幅が狭いので、意外と取り回しも良さそうなのだ。

三菱パジェロスポーツ「DAKAR」。”スポーツ”のサブネームが相応しいスポーティなデザインだ。

パジェロらしさを感じるエクステリアは、デビューより約10年以上が経過しているため、モダンとはいえないが、シャープなボディデザインと尻上がりのウィンドウデザインにより、スポーティな走りを予感させるもの。

三菱パジェロスポーツ「DAKAR」。オプションのエアロ装着車だ。

フロントマスクはデビュー時よりダイナミックシールドを採用するが、クロスカントリー人気などの影響を受けてゴージャスさよりも力強さやスポーティさが強められている。特にフロントグリルが大きく変化しており、ブラックとシルバーの2トーン仕様に加え、ロワグリルは大型化されたハニカム形状に。さらに展示車は、純正エアロパーツを追加し、ボリュームアップされたことで高級感も増している。

三菱パジェロスポーツ「DAKAR」。最新の改良でグリルデザインが変更されている。

上級グレードなので内装の質感も高め。なんとレザーシートが標準なのだ。確かに、ダッシュボードデザインには古さを感じるが、2024年の改良でメーターがデジタルディスプレイ化され、多彩な表示が可能になった。インフォテインメントシステムも8インチサイズと実用的だ。ちなみに「EXCEED」ではインフォテイメントシステムが7インチ仕様になり、エントリーグレードの「GLX」は今ではレアな2DINサイズのラジオ付きCDオーディオシステムになる。

三菱パジェロスポーツ「DAKAR」の8インチディスプレイを備えたインフォテインメントシステム。

クロスカントリー系SUVだけにシートもしっかりとした作りで、本革シートの作りも豪華さを感じるもの。車内は、2+3+2の3列シートとなっており、2列目席ダブルフォールディング機能により3列目シートへのアクセスも悪くない。

三菱パジェロスポーツ「DAKAR」のフロントシート。レザーの風合いにも高級感がある。
三菱パジェロスポーツ「DAKAR」の2列目シート。
三菱パジェロスポーツ「DAKAR」の3列目シート。

ステータス性を備えた三菱のフラッグシップ

現地でのパジェロスポーツの顧客層を三菱自動車の担当者に尋ねると、タフな走破性とステータスシンボルとしての存在感を確立している高級SUVであり、主な顧客は40-50代の富裕層や経営者層、そして本格SUV志向ユーザーだそう。そのため、男性オーナー比率が高いそうだ。

三菱パジェロスポーツの最上級グレード「DAKAR ULTIMATE (4×4)」のAT車。

展示車の価格(標準仕様)は、6億7900万ルピア(約603万円)と比較的高価なことが分かる。モデルの価格レンジが、5億9100万ルピア(約524万円)~7億9400万ルピア(約705万円)ということからも、高級車だということは納得。現地での三菱自動車の乗用車エントリーモデルはエクスパンダー「GLS(MT)」で、2億7450万ルピア(約244万円)なので、エントリーグレード同士の価格差で見てもその差は約2.1倍にもなる。

三菱エクスパンダー。三菱自動車の3列車としては最も手頃なため、人気が高いモデルだ。

現状パジェロスポーツは、新型パジェロ登場以降も継続生産されることが明かされているが、新型パジェロの市場投入と普及を待った上でフルモデルチェンジが行なわれる可能性が高いだろう。その動向にも注目したい。ただ新型パジェロの価格次第では、パジェロスポーツの日本導入の声も再び巻き起こるかもしれない。