Q. ガソリンが高い……バイクの燃費って、今からでも改善できますか?

投稿者:神奈川県/給油のたびにため息さん

結論から言うと、できます。もちろん劇的に半分になるような魔法はないけれど、空気圧、積みっぱなしの荷物、エアクリーナー、乗り方など、普段見過ごしている“ムダ”を減らすだけでも燃料消費を抑える方向には持っていける。

しかも今回紹介するのは、お金をかけずにできることが中心。「燃費に効くパーツを買う前に、愛車が本来の状態になっている?」というところからチェックしてみよう。

まずは0円チェック! 空気圧と“積みっぱなし荷物”を見直そう

最初に見たいのがタイヤの空気圧。空気圧が不足するとタイヤが必要以上につぶれ、転がり抵抗が増える。JATMA(一般社団法人 日本自動車タイヤ協会)によると、タイヤの空気圧は使用条件によって差はあるものの、自然に1か月で5%程度低下するという。

さらに、夏から秋へ気温が下がる時期は、温度変化でも内圧が下がる。ブリヂストンでは、外気温が約5.6℃下がると空気圧は約6.9kPa下がるのが目安としている。たとえば夏場に250kPaだったタイヤなら、気温が10℃下がるだけで単純計算では約238kPa前後まで下がるイメージだ。そこへ自然な空気圧低下まで重なれば、夏から一度も見ていないタイヤは思った以上に低くなっている可能性がある。

つまり、涼しくなってきた今は“気温低下+自然減圧”が重なりやすいタイミング。燃費だけでなくハンドリングやタイヤの状態を正常に保つためにも、一度指定空気圧へ合わせておきたい。

空気圧不足は安全面だけでなく燃費にも影響する。これから気温が下がる時期は、走行前の冷間時に車両指定値へ合わせておきたい。

もうひとつ、“タダでできる”のが不要な荷物を降ろすこと。環境省では四輪について、100kgの荷物を載せると燃費が約3%悪化するとしている。こちらもバイクに単純換算はできないが、不要な重量を運ぶために余計なエネルギーが必要なのは同じだ。

スクーターのシート下収納トランクやリヤキャリアに装着しているトップケースを一度開けてみてほしい。使っていない工具、重たいロック、いつ入れたか分からないペットボトル、予備パーツ……意外と“住みついている荷物”はないだろうか? 125ccクラスなら車体そのものが100kg前後のモデルも多いので、数kgでもクルマ以上に車重に対する割合は大きい。毎日運ぶ必要がない物はこれを機に降ろしてしまおう。

燃費が落ちたらエアクリーナーも疑う! “吸えていない”と本来の性能が出ない

「最近なんとなく燃費が悪い」「加速も少し重い」。そんなときに見落としがちなのがエアクリーナーだ。

エンジンはガソリンだけでは燃えない。空気を吸い込み、燃料と混ぜて燃焼させている。その入口にあるエアクリーナーエレメントが汚れて目詰まりすると、必要な空気量が入らなくなり、「加速が悪くなる」「燃費が悪くなる」「坂道を登りにくくなる」症状が出てくる。

だからといって、むやみに“抜けの良い社外製フィルター”へ交換すれば燃費が良くなるという話ではない。まずは純正状態を正常に保つこと。清掃できるタイプなのか、交換するタイプなのかも車種によって違うので、一度確認したい。

そしてスクーターなら、Vベルトの摩耗も気を付けたい。Vベルトが摩耗して幅が細くなると変速しきれなかったり滑ったりして、走行性能と燃費の低下につながるのである。

つまり、燃費改善というと“運転テク”ばかり考えがちだけど、愛車がちゃんと転がり、吸って、燃やして、駆動力を伝えられているか。この基本整備こそ案外効くんです。

アクセル操作、暖機、引きずり……小さな“ムダ燃料”も積み重なる

走り方についてだけれど、極端なスロー走行をする必要はない。必要なのは、不要な加速と減速を減らすこと。

たとえば信号が赤なのに加速して、すぐ強くブレーキ。車間を詰めてアクセルOFF、開いたらまた加速。この繰り返しは、せっかく燃料を使って作った運動エネルギーをブレーキで熱にして捨てているようなものだ。

環境省の四輪向けエコドライブ資料では、穏やかな発進で約10%、加速・減速の少ない走行では市街地で約2%、郊外で約6%の燃費差が出るとしている。バイクの改善率ではないが、「アクセルON/OFFを減らすほど燃料をムダにしにくい」という考え方の参考にはなる。

また、寒くなってくると長めに暖機したくなる人もいるけれど、何分もアイドリングさせれば、その間も当然ガソリンは使う。環境省の四輪データでは10分間のアイドリングで約130cc消費するとしている。バイクの消費量は排気量や車種で異なるため、この数字をそのまま使うことはできないが、“止まったまま暖めている時間も燃料は減っている”ことは覚えておきたい。始動直後の高回転・高負荷を避けながら走行暖機するのが基本だ。

さらにチェーンの張りすぎやサビ、ブレーキの引きずりなど、走行抵抗が増える要素もチェック。押し歩きしたときに以前より重い、ホイールの回りがおかしいなど違和感があるなら、燃費以前に整備を疑いたい。

【ちょいマニアック】スクーターのウエイトローラー、軽くしすぎてない?

ここからはスクーター乗り向け。加速を良くしようとウエイトローラーを軽くするのは、スクーターチューンの定番。でも、“軽ければ軽いほど正解”ではありません。

スクーターの駆動系は遠心力によって変速しているため、ウエイトローラーの重さを変えれば変速特性や使うエンジン回転域も変化する。一般的に軽くすると高い回転数で変速するようになり、加速感を狙えるいっぽう、常用回転数まで必要以上に高くなってしまう。そのため燃費には不利に働く可能性もある。

ただし、ここは車種やエンジン特性、プーリー、Vベルト、ライダーのアクセル操作まで絡むので、「軽くすると必ず燃費が悪化する」とは言い切れない。燃費優先なら、闇雲に軽量化するのではなく、エンジンがおいしく使える回転域と変速のバランスを考えるのが大切だ。

なお、ノーマル車でもウエイトローラーは消耗品。ウエイトローラーの摩耗によって変速性能が低下し、燃費低下につながる場合があるため、カスタムしていない人も、「走行距離が増えて最近燃費が落ちた」という場合は駆動系点検を候補に入れておきたい。

“満タン法”で答え合わせ! 数字を残すと異変にも気づける

ここまでやったら、自分のバイクの燃費を一度記録してみるのがおすすめ。方法は簡単。満タンにしてトリップメーターをリセットし、次の給油時に「走行距離÷給油量=燃費」で計算するだけ。

たとえば200km走って4L入ったなら50km/L。いつも50km/L前後だったバイクが、同じような使い方なのに45km/Lまで落ちれば約10%低下している計算になる。

燃費は気温、渋滞、乗り方、道路状況でも変化するので、1度の計算だけで判断できない。何回か記録しておけば、「いつもより悪いな」と車両の変化に気付くきっかけになる。“愛車の燃費を把握する”ことはけっこう重要だ。

ガソリン価格が上がったからといって、バイクに乗る回数まで減らしたくはない。ならばまず、空気圧を合わせる、不要な荷物を降ろす、エアクリーナーや駆動系を正常な状態に戻す。そして余計なアクセル操作を減らす。派手じゃないけれど、こういう積み重ねが“ムダな1滴”を減らす一番現実的な方法なんです。

POINT

・空気圧不足は転がり抵抗を増やし、燃費悪化につながる
・リアボックスやメットインの不要な荷物は降ろす
・エアクリーナーの目詰まりは加速不良や燃費悪化の原因になる
・満タン法で燃費を記録すると車両の変化にも気付きやすい

【モトチャンプ編集部】