お便り サイドカーはバイクなの? それともクルマなの?

投稿者:栃木県/スープ焼きそばラバー

バイクの横に人や荷物を乗せるための側車を取り付けたサイドカー。見た目は車輪が3つあるけれど、ベースはどう見てもバイクだ。いっぽう、バイクの後ろ側を二輪にしたトライクはクルマっぽく見えるし、フロント二輪のヤマハ・トリシティはバイクとして扱われる。

「三輪ならクルマ? それとも、ハンドルがバイクならバイク?」と考え始めると、何が何だか分からなくなってくる。そこで、サイドカーとトライクの専門メーカーである「サクマエンジニアリング」さんに話を聞いてみました。

側車も駆動すると、バイクではなくクルマ扱い

サイドカーやトライクが分かりにくい理由は、道路運送車両法上の車両区分と、道路交通法上の運転ルールや必要免許が、必ずしも同じ括りにならないからだ。

誌面取材時、サクマエンジニアリングさんは次のように説明している。

「3輪バイクについては道路運送車両法(以下車両法)と道路交通法(以下道交法)がからみあっていて複雑なんです。まず昔からよく見る、バイクに側車を装着したタイプは車両法的に側車付軽二輪(排気量50㏄ 超250㏄ 未満)か側車付きオートバイ(排気量250㏄ 超)に分類されます。このとき、バイクの後輪のみによる1輪駆動の車両は道交法上も自動二輪なのですが、見た目が同じでも側車の車輪も駆動する構造の車両は道交法上の取扱いが普通自動車となるのです」

何がどう違うんですか? 「道交法的には普通自動車となるので、運転には二輪免許ではなく普通自動車免許が必要となります」。
二輪駆動になると車両法的にはバイクだけど、道交法上の取扱いはクルマになるということですね。 「 その通りです。後ろが二輪のトライクタイプや前が二輪のタイプも同様で、車両的にはバイクですが、免許的にはクルマです」具体的にどうなるのですか? 「車両的にはバイクですので、排気量を問わず登録に車庫証明は不要ですし、高速道路でも二輪自動車扱いです。しかし、道交法的にはクルマなのでヘルメットの着用義務はありません。もちろん安全のために着用してほしいですが」。

ロシアのサイドカーメーカー、ウラルは
2輪駆動モデルもラインナップ。見た
目には1輪駆動と区別がつかない。

「1輪駆動か2輪駆動か」だけでは決まらない?

誌面では、バイク側の後輪だけが駆動する車両は自動二輪、側車輪まで駆動する二輪駆動車は普通自動車になると説明されていた。ただし、警察庁の通達で判断の軸とされているのは、単純な駆動輪の数ではなく、「側車を外した状態で二輪車として運転できる構造かどうか」である。

側車を外しても走れるなら、側車付き自動二輪車。一方、側車を外すと後輪が駆動しない、前後輪が一直線にならず直進できないなど、二輪の状態では運転できないものは、道路交通法上「三輪の普通自動車」として扱われる。この場合は二輪免許ではなく、普通自動車免許が必要になる。

つまり、二輪駆動のサイドカーは普通自動車扱いになる可能性があるものの、「二輪駆動だから必ずクルマ」とだけ覚えるのは不十分。実際の判断は、駆動方式を含めた車両全体の構造と登録内容で決まるのだ。

トライクはクルマ、トリシティはバイクになる理由

では、後輪が左右に分かれたトライクはどうなるのだろう。

サイドカーのように「二輪車へ取り外し可能な側車を追加した構造」ではなく、最初から三輪車として作られ、二輪の状態では運転できない一般的なトライクは、道路交通法上では普通自動車として扱われる。運転には普通自動車免許が必要で、道路交通法上のヘルメット着用義務はない。ただし、事故時の危険性を考えれば、車両区分にかかわらずヘルメットを着用したいところだ。

いっぽう、ヤマハ・トリシティなど一部の三輪車は、道路交通法上の「特定二輪車」に分類される。主な条件は、3個の車輪を備え、左右対称に配置された同一軸上の車輪間距離が460mm未満で、車体や車輪を傾けて旋回する構造を持つこと。これらを満たす車両は、三輪でも自動二輪車とみなされるため、二輪免許とヘルメットが必要になる。

「車輪が3つならクルマ」というほど単純ではなく、サイドカーなのか、トライクなのか、それとも特定二輪車なのかによって扱いは変わるというわけだ。

YAMAHAトリシティ(左)とHONDAジャイロX(右)。どちらもトレッドが460mm未満のため、バイク扱いとなる。

サイドカーは見た目だけで判断できない!

ひと口にサイドカーや三輪バイクといっても、道路交通法上の区分や必要な免許は車両の構造によって異なる。見た目が似ていても、いっぽうは自動二輪車、もう一方は普通自動車というケースもあり得る。

特に中古車の購入や、バイクへの側車取り付け、トライク化を考えている場合は、販売店や製作ショップの説明だけでなく、車検証や軽自動車届出済証などに記載された車両区分も確認しておきたい。構造を変更した場合は、必要な登録や届出について管轄の運輸支局へ事前に相談するのが確実だ。軽二輪と小型二輪では登録手続きも異なる。

サイドカーはバイクなのか、クルマなのか。その答えは「車輪が3つだから」では決められない。側車を外しても二輪車として走れるのか、車体を傾けて旋回する構造なのかなど、車両の中身を見て初めて決まるのである。
うーん、ややこしい(笑)

まとめ
●車両的にはバイクだが、道交法的にクルマの場合あり!