連載

西川淳の自動車1Weekダイアリー

サニークーペの思い出

9月13日に私がアドバイザーを務める京都のギャザリングイベント、高雄サンデーミーティング(TSM)が20周年を迎えた。1、2、8月を除く毎月第2日曜に嵐山高雄パークウェイの大駐車場にクルマ好きがたくさん集める。詳しくは公式youtubeチャンネルをご覧いただきたいが、その記念すべき第170回大会で嬉しいことがあった。テーマが日本車ということで、国産ネオクラからヴィンテージまでかなりの台数が集まったのだけれど、そのなかに大挙してやってきた「ダルマセリカ」と並んで個人的に関心を持った個体があった。ワインレッドの「サニークーペ」で、なんと京シングルナンバーだ。叔父が乗っていた卵色のサニークーペが私をクルマ好きに仕立てたきっかけの1台だった。その後、叔父はダルマセリカに乗り換えて私のクルマ好き人生は確定した。そんな2つのモデルと、私が最初に買った「セリカXX」の北米仕様がこの日、高雄に集まったものだから、感慨ひとしおだ。

主催者のミックさんによると、京シングルのサニーは有名な個体で、お婆さんが運転する姿がよく目撃されたらしい。気になったのでオーナーを探してみれば、若い男性(仮にA君としよう)が名乗り出た。聞けば28歳で2年前に手に入れたという。てっきり件のお婆さんの孫かなんかかと思ったら、そうではないらしい。物語はこうだった。A君が小学5年生のとき。近所のお屋敷のガレージに停まっていたクルマに一目惚れした。衝撃を受けた彼は思わず玄関のチャイムを鳴らした。出てきた老夫婦に「クルマを見せてください!」と言ったのだそうだ。以来、A君にとって、そのクルマは憧れの1台として心に刻まれた。それから10年以上が経って、彼は偶然、街でそのクルマと再会し、ドライブしていたお婆さんと再会する。覚えていますか、あの時、ガレージでクルマを見せてもらった者です、と。そう、そのクルマこそが紅色のサニークーペだった。オーナーのお婆さん曰く、この1969年式サニーは彼女の花嫁道具で、50年以上に渡って大切にしてきたものだけど、夫もすでに亡くなり、ステアリングも重いしクーラーも弱いことだし、そろそろ新しいクルマに買い替えたいと思っている、と。

彼は即座に手を挙げた。私が引き継ぎます! そして誓った。ノンレストアのこの個体を、できるだけ手をつけず(所々にキズやハゲもあるけれど)そのままに大切に乗り続ける、と。「だって、全てが歴史ですものね」。この日のTSMはまだ暑かった。「クルマがしんどそうにするんで、クーラーは付けませんよ」。笑顔でそう語るA君が、とても眩しかった。

2026年9月第3週

2026年9月12日(土)晴れ

全日本希少車ミーティングin関西にて
全日本希少車ミーティングin関西にて

早朝から北野天満宮で「BMW iX3」の撮影。取材後、嵐山高雄パークウェイで催された「全日本希少車ミーティングin関西」を覗く。月末に控えたラディカル・モータースポーツの本社訪問を前に、日本のレアカー事情を偵察した。ラディカルはもちろん、「BACモノ」や「アリエル アトム」など“変態モデル”(褒め言葉だよ)の数々に、オーナーの常識はずれ(褒め言葉ね)なクルマ愛を発見する。危うくこちらも引き込まれそうに! 遅めのランチをラーメン「親爺」さんでいただき、日産のディーラーで充電。近くのA PITオートバックス京都四条でコーヒーブレーク。夕方、TSM前夜祭に顔を出したのち、友人の主催する食事会で「肉料理おか」さんへ。

2026年9月13日(日)曇り

午前中は20周年を迎えた第170回高雄サンデーミーティング。冒頭に記したサニークーペの他にも、驚愕の若者が! なんと22歳で1959年式「ダットサン100」(211型)を手に入れた。なんでも中古車情報を検索していてヒット、その姿に一目惚れしたらしい。クルマはやっぱり“一目惚れ”だよね。そのほか、名古屋からとても珍しい「ドラージュ」の4ドアサルーンや、奈良のナカムラエンジニアリングが年月をかけて仕上げた極上の「フェラーリ 328GTS」など、気になる個体には直撃取材「アナタの愛車に乗せてください!」、公式YouTubeにて公開中です。午後から北野天満宮と上七軒にて、ちょっと遅めの盆踊り。

2026年9月14日(月)雨

金沢の名店「小松」さんにて
金沢の名店「小松」さんにて

iX3で金沢へ。仕事も年代もまるで違う野郎が年に一度、金沢の名店「小松」さんに集い、優しい主人の心づくしをいただく。昨年、あまりに衝撃的だった“ナス”のお料理を受けたかのように、今年は別の“ナス”料理でスタートするという粋な計らい。お料理はもちろん、皿もグラスもぐい呑みも、もはや博物館級の逸品揃い。もう懐石料理は年(正確には15ヵ月)に一度、小松さんだけで良いと思ってしまうほど。来年は12月。季節も変わって、楽しみだ。片町のアパホテル1号店泊。

2026年9月15日(火)大雨

「ラディカル SR3」
「ラディカル SR3」
「BMW iX3」
「BMW iX3」
渋谷の「AGE.」さんにて
渋谷の「AGE.」さんにて

早朝、日産で充電したのち、金沢を出発。富士スピードウェイを目指す。「ラディカル SR3」の試乗ができるというまたとないチャンスだ。が、しかし!おりからの大雨で思うように走れず、到着したのは試乗時間から遅れること1時間。仕方なくマシンの見物。混まないうちに都内へ走り、iX3を返却する。途中、海老名SAにできたばかりの350kW充電器を試した。10分のトイレ&コーヒー休憩で200km以上ぶんの電気を飲み込む。素晴らしい! 夜は渋谷で某芸能事務所の社長と「AGE.」さんにて会食。新幹線で京都へ戻る。

2026年9月16日(水)雨

雨の中、「フィアット パンダクロス」で三重方面へ。椿大社に参拝。帰宅後、オフィスで原稿。

2026年9月17日(木)晴れ

『GENROQ』元編集長の田中達也さんと玉虫色の「アルトゥーラクーペ」
『GENROQ』元編集長の田中達也さんと玉虫色の「アルトゥーラクーペ」

新幹線で名古屋へ。マクラーレン名古屋から玉虫色の「アルトゥーラクーペ」MY26で軽井沢へ向けて走る。アシの具合がさらに良くなって、GTカーとしても相当上質に仕上がった。現行型としてはこれで最終系。次世代への進化も楽しみだ。途中、諏訪湖で『GENROQ』元編集長の田中達也さんと久しぶりに会って、昨今のAI事情について話をうかがう。ランチは諏訪のソウルフード、「ハルピンラーメン本店」さん。甘めのスープで、病みつきに。諏訪から車山へ登って撮影。山を降りて軽井沢。以前、ランドローバーの試乗会で訪れた「ししいわハウス軽井沢」に宿泊。テレビも冷蔵庫もないシンプルライフを楽しんだ。

2026年9月18日(金)晴れ

栃木の蕎麦の人気店「嵯峨」
栃木の蕎麦の人気店「嵯峨」
MY24の「アルトゥーラ スパイダー」
MY24の「アルトゥーラ スパイダー」

MY24の「アルトゥーラ スパイダー」で東京へ。途中、栃木のドリームオートさんで11月に開催するイベント「第1回ドリームモーターショー2026~ランボルギーニミウラの60周年~」の打ち合わせ。ランチは上原社長と蕎麦の人気店「嵯峨」さんへ。うまい天ぷら蕎麦もさることながら、店と庭、背景の山まで含めた空気感、舞台装置が良い。オーナーはクルマ、バイク好き。食後、都心へ。シルバーウィークを前にどこもかしこも大渋滞。這々の体で赤坂のマクラーレン東京へアルトゥーラを返却。その足で六本木に向かい、「フェラーリ アマルフィ」をピックアップし、白金の定宿へ。夜は麻布十番「麻布苑」さんで、イベントへの出演依頼を兼ねてDJさんと焼肉ディナー。

2026 9/12〜2026 9/18

走行距離 約1650km 試乗台数 8台

2025 11/1〜2026 9/18累計

総走行距離 約5万2800km 累計試乗台数 216台

秘密のクンタッチ

日本にはマニアックなランボファンが多いことを痛感【西川淳の自動車1WeekダイアリーVol.44】

スーパーカー界の重鎮、モータージャーナリスト西川淳。この連載は、昨年還暦を迎えた氏が、日々どんなクルマに乗って、何を感じたのか徒然なるままに語るものである。果たして今週はどこで何をして過ごしたのか?

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