ノーマル+200馬力超を一気に獲得!

1JZならではの高コスパターボチューン

1JZ-GTEの大きな魅力は、何と言ってもエンジン本体の丈夫さだ。純正ピストンやコンロッド、クランクといった内部パーツの強度が高く、500ps級であれば基本的に交換する必要はない。それだけに、他のエンジンと比べてもタービン交換へのハードルは低い。

そこで名門“ラスティー”が推奨するのが、エンジン本体はノーマルのまま、トラストのTD06SH-20RXを装着するプランだ。アクチュエーター式のため純正エキマニをそのまま使用でき、ワンオフ製作なども必要ない。余計なコストを抑えながら、大幅なパワーアップを狙えるのがポイントとなる。特にVVT-iや電子制御スロットルを採用する後期型1JZでは、この考え方が生きてくる。

「後期の1JZでパワーを出すなら、基本的にフルコンを入れてセッティングすることになります。その導入に約60万円掛かりますし、ステップアップするたびにセッティング費用も必要になる。だったら一気にポン付けタービン仕様まで進めた方がいいですよね」とラスティーの有田さん。

30ps程度の上積みを狙ってブーストアップに留めるより、どうせフルコンを導入するのであれば、タービンまで交換してしまう。その候補としてラスティーではTD06SH-20RX、もしくはHKS GTIII-RSを推奨しているが、ポン付けタイプでより大きなパワーを狙うならTD06SH-20RXというわけだ。

もちろん、500ps級となればタービン交換だけで済むわけではない。燃料系は大容量インジェクター、高吐出量ポンプ、調整式レギュレーターへ変更。取材車両ではデッチワークス製700ccインジェクター、AEM製燃料ポンプ、サード製レギュレーターを投入している。

吸排気系もHPI製前置きインタークーラーに加え、東名パワード製タービンアウトレット、サード製スポーツキャタライザーを装着。マフラーはラスティーオリジナルのVRで、フロントから80φで統一したストレートなレイアウトとしながら、ストリートでも付き合いやすいサウンドに仕上げている。

さらに、タービン交換と同時にやっておきたいのがカム交換だ。取材車両ではHKS製のVVT-i用264度カムをIN/EXともに投入。低中回転域のトルクを太らせるとともに、交換時にタイミングベルトまわりを点検できるため、今後のトラブルを減らす意味でもラスティーでは推奨している。

制御を担うのはLINK G4X。JZX110用のプラグイン設定はないものの、SXE10アルテッツァ用をベースに配線を一部変更し、カプラーオンで使えるようにしている。

LINKならVVT-iはもちろん、電子スロットルまで細かく制御できる。JZX110登場当時はチューニングでは敬遠されがちだった電子スロットルも、アクセル開度特性を変更することで、ワイヤー式のようなダイレクト感を持たせることが可能だ。

こうして仕上げられたJZX110Wは、ダイノパックで428.7psを記録。これは係数ゼロでの数値で、TCF1.15換算なら493psに相当する。

しかも、単にピークパワーだけを狙った仕様ではない。VVT-iと264度カム、TD06SH-20RXを組み合わせたことで、低回転域からスムーズに吹け上がり、街中では太いトルクによって扱いやすい。それでいてアクセルを深く踏み込めば、タービン交換車らしい500ps級の強烈な加速が始まる。

さらに上を狙うなら、TD06SH-25Gも選択肢となる。2.5Lのままでは高回転寄りの特性となるものの、500psオーバーがターゲット。2JZの腰下を使って排気量を拡大すれば、街乗りでの扱いやすさも確保できるという。

とはいえ、このブリットが目指したのは絶対的なパワーではない。タービン交換へ踏み切ったきっかけも、週末の遠出をもっと余裕のあるものにしたかったからだ。

家族や荷物を乗せて高速道路を走る。そんな場面でもアクセルを踏めば余裕を持って加速できる一方、普段の街乗りでは普通に扱える。そのオールマイティな特性こそ、オーナーが求めたものだった。

また、タービン交換以前に5速ATからJZX110用5速MTへ換装されていたことも、この仕様を作るうえで大きなポイントとなった。これによってMT用のLINKを使った制御が可能となり、同時に500psのパワーを自ら操る楽しさも加わっている。

クラッチはORC 559シリーズのメタルツイン。大トルクを受け止める伝達性能や切れの良さを備えながら、半クラッチも扱いやすく、ストリート主体の車両との相性にも優れる。

さらに東名パワード製LSDを投入することで、アクセルを踏み込んだ際にリヤからグッと押し出されるFRらしい感覚もプラス。単に高速道路を楽に走れるだけでなく、後輪駆動車を操る面白さもしっかり残した。

一方で、サーキット走行は想定していないため、シャシー側を過度にハードな方向へ振ってはいない。サスペンションはテイン製車高調で適度にローダウンし、ワゴンに求められる乗り心地を確保。ブレーキもオーナーの使い方では純正キャリパーで十分と判断している。

インテリアもステアリングやブースト計、シフトノブなど、必要最小限の変更に留め、快適装備はそのままだ。

足元にはG-SPEED G-08の18インチと、クムホ・エクスタPS71の225/40R18を組み合わせ、グリップ性能だけでなくランニングコストにも配慮した。

腰下ノーマルのまま500ps級を受け止められる1JZ-GTEだからこそ、エンジン本体に大きく手を入れることなく、タービンや燃料、吸排気、制御へ予算を振り分けられる。そしてVVT-iとLINKを生かせば、500psという数字から想像するほど気難しいクルマにもならない。

家族と遠出できるワゴンとしての実用性を残しながら、ひとたび踏み込めばノーマル+200ps超の加速を味わえる。TD06SH-20RXを軸としたこのメニューは、1JZの丈夫さを最大限に生かした、コストパフォーマンスの高いストリートチューンと言えるだろう。

●取材協力:カーメイクラスティー 千葉県白井市冨士51-4  TEL:047-441-6226

「重いFRセダンでもここまで速くなる!」JZX100を筑波57秒台へ導いた緻密なマシンメイクに迫る

JZ系を中心に幅広いスポーツモデルのチューニングを手掛けるラスティーが、筑波アタックのために作り上げたJZX100マークII。1090kgまで削ぎ落としたボディに750psを与えながら、最も重視したのはそのパワーを確実に路面へ伝えるトラクション性能だ。重量配分、サスペンション、エンジン特性、空力という4つのアプローチから、ツアラー最速となる57秒712を実現したマシンメイクに迫る。

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