2.0L DOHCは共通ながらFF+NAかAWD+ターボか

スバル・レガシィのなかでも、歴代で唯一OEMモデルが存在したのが初代のセダン。以前、紹介したいすゞアスカCXがそのOEMモデルだ。

ベースとなる初代レガシィセダンは、スポーツフラッグシップモデルとして、EJ20型水平対向4気筒DOHCインタークーラーターボエンジンにフルタイムAWDを組み合わせた「RS」が設定されていたが、モータースポーツのベース車両としてよりコンペティブな「RSタイプR」や「RSタイプRA」が追加設定された。
なかでも「RSタイプRA」は手組みバランス取りが施された珠玉の1台。軽量なボディにハイパワーエンジンという組み合わせは、後に続くインプレッサWRXへと受け継がれる。

一方、いすゞアスカCXはOEMモデルということもあり、ターボエンジンを搭載したモデルは設定されず、前期型では2.0L水平対向4気筒DOHC自然吸気エンジン搭載車と1.8L水平対向4気筒SOHCエンジン搭載車の2本立てで登場。FFとAWDが用意され、AWD車は2.0Lモデルのみという潔い割り切りもOEMモデルらしいラインナップだ。

そもそものキャラクターの違いはレガシィシリーズ内でも自然吸気モデルとターボモデルで異なっており、スポーティなターボ系よりも、ラグジュアリーなイメージのNA系をチョイスしているのはアスカCXというキャラクターを考えれば至極当然だったといえるだろう。
“スポーツ”か“グランドツーリング”か……
走りのキャラクターを分けるパワーと車重の違い
220psの水冷インタークーラー付ターボを搭載するレガシィ「RSタイプRA」は、STIによる鍛造ピストン、強化コンロッド、クランクシャフトなどのバランス取り、吸排気ポートの加工といったエンジン内部にまで徹底したチューニングが施されていることもあり、淀みなく高回転まで回るエンジンは35年以上の月日を感じさせないパワフルな印象だ。

組み合わされる専用のクロスレシオミッションも相まって、ワインディングでは積極的に高回転を使用して気持ちよく走れる。
| 車名 | レガシィ「RSタイプRA」 | レガシィ「RS」(参考) | アスカCX |
| トランスミッション | 5速MT(クロスミッション) | 5速MT | 4速AT |
| 1速 | 3.454 | 3.545 | 2.785 |
| 2速 | 2.333 | 2.111 | 1.545 |
| 3速 | 1.750 | 1.448 | 1.000 |
| 4速 | 1.354 | 1.088 | 0.694 |
| 5速 | 0.871 | 0.825 | – |
| 最終減速比 | 4.111 | 4.111 | 4.111 |
1290kgという車重は当時のコンペティションモデルとしては決して軽い方ではないが、現代のクルマに慣れ親しんだ人にとっては驚くほど軽快に感じる。フルタイムAWD車とは思えないほどの軽さは「タイプRA」ならではといった印象だ。
| メーカー | 車名 | グレード | 年式 | 重量 |
| スバル | レガシィ | RSタイプRA | 1990年 | 1290kg |
| 三菱 | ギャラン | VR4 RS | 1990年(中期型) | 1300kg |
| 日産 | ブルーバード | SSS-R | 1990年(後期型) | 1210kg |
| トヨタ | セリカ | GT-FOUR ラリーパッケージ | 1990年 | 1360kg |
| 日産 | パルサー | GTi-R | 1990年 | 1190kg |
| マツダ | ファミリア | GT-Ae | 1992年 | 1190kg |
| スバル | インプレッサ | WRXタイプRA | 1992年 | 1180kg |
| 三菱 | ランサー | RSエボリューション | 1992年 | 1170kg |
15:1〜13:1というバリアブルレシオのステアリングギア比により、連続するコーナーでもひらひらと舞うように駆け抜け、引き締められた専用サスペンションがワインディングだけでなく普段使いなど、あらゆるシーンでスポーツマインドを感じさせてくれる。

一方アスカCXは、今回試乗したモデルがFFのBCL型ということもあり、AT車ながら車両重量はわずか1240kgと驚くほど軽量だ。最高出力は150psと、レガシィ「RSタイプRA」よりも70psも少ないながら、軽さが補っているため、一般的な走行では全くもって不満はない。

登りのワインディングではいささかアンダーパワーを感じるシーンがあるものの、平坦路や下りでは軽さが武器となり、軽快そのもの。ステアリングギアレシオも16:1とレガシィ「RSタイプRA」と比べるとスローに設定されているため、穏やかにコーナーをいなしていく印象だ。

タイヤ/ホイールも、レガシィ「RS」系の15インチでも現代では軽自動車のサイズでは?と思わせてしまうが、アスカCXの14インチに比べれば、まだまだスポーティに感じる。
一般的な同世代のセダンに比べればスポーティな乗り味のアスカでも、レガシィ「RSタイプRA」と比べると同じボディでここまでキャラクターを変えることができることに驚かされる。イメージ的にはワインディングを駆け抜ける「RSタイプRA」に対し、アスカCXはゆったりとグランドツーリングを楽しむモデルと言えるだろう。

| 車名 | レガシィ「RSタイプRA」 | アスカCX |
| エンジン | 1994cc 水平対向4気筒DOHC16バルブ インタークーラーターボ | 1994cc 水平対向4気筒DOHC16バルブ |
| 最高出力 | 220ps/6400rpm | 150ps/6800rpm |
| 最大トルク | 27.5kgm/4000rpm | 17.5kgm/5200rpm |
| 重量 | 1290kg | 1240kg |
| ステアリングギア比 | 15:1〜13:1 ※バリアブルレシオ | 16:1 |
| タイヤ/ホイール | 205/60R15 | 185/65R14 |
エクステリアはレガシィ「RSタイプRA」が、装備はアスカCXが豪華

エクステリアはスポーティなフロントバンパーやボンネットのインテークがスポーツモデルを感じさせるレガシィ「RSタイプRA」に対し、アスカCXはベースがNAモデルなので、おとなしい佇まい。ただ、アスカCXはベースのレガシィセダン「VZ」にもない、ブラック・アウトされたウインドウモールが、メッキモールを装着するレガシィ「RSタイプRA」とはチグハグな印象を受ける。コンフォートなアスカCXにはメッキもモールの方がマッチするのではないだろうか?


インテリアでは、軽量化のため必要最低限の装備とした「RSタイプRA」は、ウインドウレギュレーターも手動となるほか、集中ドアロックなども装備されない。ただし、取材車に関しては当時のディーラーオプションで設定されていたフルオートエアコンが装備されているのは面白い。

アスカCXはベースが「VZ」であることから、自然吸気モデルと言えども上級グレードになるため、パワーウインドウはもちろん、車速検知式集中ドアロックや暗証コード式キーレスエントリー、リヤセンターアームレスト、照明付きバニティミラーなど、現代のクルマと比べても引けを取らない豪華装備となっている。

それでも、アスカCXの車両重量がレガシィ「RSタイプRA」よりも軽量というのは、いかにパワーユニットやパワートレインが車重の殆どを占めるのかということを改めて実感させる。


同じクルマで異なるキャラクターづくりや幅広いグレード展開があった時代
現代では厳しい衝突安全性能や環境性能をクリアしなくてはならず、こうしたモデルの登場は難しいが、それでもひとつのボディで真逆のキャラクターを与えたり、装備の簡素化で価格を抑えたり、その時代の最先端技術と走り屋装備でアッと言わせるクルマづくりは可能なはず。特にスバルはそうした技術やクルマづくりが得意だったこともあり、もっともっとワクワクするクルマ、ちょっと背伸びしてでも手に入れたい!と思えるモデルの登場に今後も期待したい。

写真で見比べるアスカCXとレガシィ「RSタイプRA」の違い
ここからはアスカCXとレガシィ「RSタイプRA」の違いを写真で細かく見てみよう。
他にもルーフ内張やサンバイザー(取材車はロールケージ装備で外されてしまっているが)の素材が、アスカCXが生地であるのに対してレガシィ「RSタイプRA」はウレタンである反面、アスカCXのステアリングはウレタン、レガシィ「RSタイプRA」はMOMO製本革(コブラ)を備える(取材車はMOMO「ヴェローチェレーシング」に交換)など、アスカCXがラグジュアリーな一方、レガシィ「RSタイプRA」が競技ベース車らしくスパルタンな仕様になっている。
| 車名 | アスカCX | レガシィ |
| ボディタイプ | セダン | |
| グレード | 2.0 | RS type RA |
| 全長 | 4510mm | |
| 全幅 | 1690mm | |
| 全高 | 1385mm | |
| 室内長 | 1875mm | |
| 室内幅 | 1415mm | |
| 室内高 | 1155mm | |
| ホイールベース | 2580mm | |
| 最小回転半径 | 5.1m | 5.3m |
| トレッド(参考値) | F:1465mm R:1450mm | F:1465mm R:1455mm |
| 乗車定員 | 5名 | |
| 重量(参考値) | 1240kg | 1290kg |
| エンジン | EJ20D型 水平対向4気筒DOHC16バルブ | EJ20G型 水平対向4気筒DOHC16バルブ インタークーラーターボ |
| 排気量 | 1994cc | 1994cc |
| 最高出力 | 150ps/6900rpm | 220ps/6400rpm |
| 最大トルク | 17.5kgm/5200rpm | 27.5kgm/4000rpm |
| 燃料/タンク容量 | レギュラー/60L | ハイオク/60L |
| サスペンション | F・R:ストラット | |
| ブレーキ | F:ベンチレーテッドディスク R:ディスク | F・R:ベンチレーテッドディスク |
| ホイールサイズ | 14インチ×5.5J | 15インチ×6.5J |
| タイヤサイズ | 186/65R14 | 205/60R15 |
| 駆動方式 | FF | フルタイム4WD |
| トランスミッション | 4速AT | 5速MT |
繰り返しになって恐縮ではあるが、それぞれのディティールはこれまで掲載した以下記事で詳しく紹介しているので、チェックしてみてほしい。
「ええっ!このクルマ、スバル・レガシィじゃないの!?」令和で一番詳しい【いすゞアスカCX徹底解説】 | Motor Fan|自動車情報のモーターファン
【初代レガシィRSタイプRA】手組みEJ20エンジンを搭載した“元祖”STiコンプリートカー振り返る!! | Motor Fan|自動車情報のモーターファン



































