ヤマハ PAS Carigo……16万3000円(税込)
PASシリーズ最高峰のアシストレベルを獲得! 荷物を積んだ状態での登り坂走行も快適





大型のフロントキャリア(耐荷重6.6kg)&リアキャリア(耐荷重30kg)を装備した、荷物の積載や運搬を目的に設計開発された「PAS Carigo」。前後20インチタイヤによる低重心設計で、荷物を積んだ状態でも安定した走行が可能。重い荷物を積んだ状態での登り坂走行も想定した、パワフルかつトルクフルな電動アシスト機能も導入済みだ。
写真は都市部の宅配業務で繁用されている、荷物積載用の荷台牽引車(規格外の参考出品)導入例。サドルの高さ調整用丸パイプに専用ブラケット(ワンオフ)を固定し、牽引車を接続するしくみ。パワフルでトルクフルなPAS Carigoは、牽引車にヘビーな荷物を積んだ状態でも軽快に走行(ヤマハのテストコースにて)。
写真の荷台牽引車部分と接続ブラケットはワンオフ制作された参考出品だが、ヤマハでは電動アシスト自転車と牽引車をセットにした、メーカー保証も備えた宅配業務専用車の生産・販売も視野に入れている模様だ(※注1)。
※注1:ヤマハではPAS Carigoなどに自作や社外の荷台牽引車を接続して走行し、もしも車両に不具合が生じた場合、基本的にメーカー保証対象外となる。
ヤマハ PAS Carigo公式WEBサイト https://www.yamaha-motor.co.jp/pas/lineup/carigo/
電動アシスト自転車はヤマハが開発! それは「打倒・ホンダ!」の元に生まれた
HY(エイチワイ)戦争の果てに誕生した電動アシスト自転車
ソフトバイク(原付の小型スクーター)ブームやバイクブーム(主にカウル付きのレーサーレプリカモデル)に沸いた1970年代終盤~1980年代。
ホンダとヤマハは国内のバイク市場において、激しい覇権争い(販売台数争い)を展開。この戦いはHY(エイチワイ)戦争と呼ばれ、社会現象にもなった。

その後、ヤマハは勝利への道を断念。その後のヤマハは「打倒・ホンダ!」をスローガンに、1989年、新たなモビリティの開発に着手。これが自転車にモーターとバッテリーを取り付け、補助的なアシスト機能を導入した世界初の電動アシスト自転車だ。
ヤマハがその後、世界で初めて開発・実用化に成功した電動アシスト自転車は、ヤマハの技術者や開発者たちが「打倒・ホンダ!」を目標に製作した、執念の賜物(たまもの)ともいえる。
停車時のハンドリングを軽くする自動車のパワーステアリングに着目

発案者でもあるヤマハの技術者Aさん(後に電動アシスト車椅子の開発・実用化も実現)は、停車時のハンドリングを軽くする自動車のパワーステアリング(パワステ)に着目。市販の自転車とパワステ用パーツ等を使い、電動アシスト自転車を試作した。
試作車に初めて試乗した発案者の上司Bさんは、「ペダル漕ぎ始めが重いはずのスタート時、背中を押されるような感覚に驚愕。スーパーマンになった感じがした」と衝撃を受け、「これは絶対に売れる!」と確信。
だが一部の幹部からは「乗車には原付免許が必要。しかも原付とほぼ同価格になる。こんなもの売れるはずがない」と市販化に反対。
これに対し、発案者Aさんからバトンタッチを受けた開発担当者Cさんは、警察庁及び運輸省に「これは自転車です」と根気強く交渉。
後に警察庁や運輸省の要人をヤマハのテストコースに招き、走行会を実施。坂道になった途端、“アシスト機能による絶妙な感覚”に笑顔を浮かべた警察庁や運輸省の要人たちに、「確かに便利だが決して原付ではない。これは自転車です」と言わしめた。

社内のプロトタイプ(上記写真左)試乗会では、跨りにくさから(バッテリーをメインフレームに沿わせた斜め横置きに設置)、一部の女性社員から「タダでも要らない」とダメ押し。その結果、設計をイチから見直し、バッテリーの配置をシート下の斜め縦置きに変更(上記写真右)。
こうして1993年、電動アシスト自転車の市販車第一号「ヤマハPAS」が誕生。同車は自転車メーカーでもあるブリヂストンと共同開発された(上記写真右)。
ヤマハは独自開発した電動アシスト機能に対し、一社独占となる特許を取得せず、自転車関係各社に技術提供。ヤマハにおいて電動アシスト自転車は「打倒・ホンダ!」から、いつしか「多くの人たちに届けたい」に変わっていったのだ。
ヤマハが自転車関係各社に技術提供した理由は、
・電動アシスト自転車普及のため
・市場価格を下げるため
つまり「餅屋は餅屋(その道のことは専門家が一番であるというたとえ)」の論理に則し、自転車本体は自転車メーカーに任せるのがベストだと判断したから。
ヤマハではPAS発売の1993年から10年間、電動アシスト自転車事業は赤字。しかし2003年以降は黒字に転化。経済産業省の調査によれば、2018年上半期に国内で製造された自転車(約45.6万台)のうち、電動アシストは67%(約30.6万台)、金額ベースでは86%まで成長した。まさに「継続は力なり」と言えよう。
電動アシスト自転車は2026年現在、世界30ヶ国以上に普及。国内では一般用だけでなく、首都圏や観光地でのシェアサイクル用、営業などのビジネス用、宅配用、警察車両用等々、多方面に活用されている。
参照サイト:https://global.yamaha-motor.com/business/e-bike-systems/30th/jp.html#section-1989
