Mercedes-Benz S 580 4Matic long (ISG)
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Mercedes-Benz S 580 e 4Matic long

約2700点のパーツを刷新した新型Sクラス

約5年半ぶりに大幅リニューアルしたメルセデスのフラッグシップサルーンSクラス。今回はマイナーチェンジ前のS580 e 4マティック・ロングを連れ出し、その進化の差分を確かめてみた。
約5年半ぶりに大幅リニューアルしたメルセデスのフラッグシップサルーンSクラス。今回はマイナーチェンジ前のS580 e 4マティック・ロングを連れ出し、その進化の差分を確かめてみた。

主役は今年6月に発表されたばかりの「Sクラス」の後期型。そのプレスリリースの冒頭には、車両全体の50%以上にあたる2700点ものパーツを新規開発、または設計に手を加えているとあった。前期型のオーナーなら「なぜそこまで!」と嫉妬を禁じ得ない改変の規模感である。そこで我々は今回、新たに登場した「S580 4マティック・ロング」だけでなく、前期型である「S580 e 4マティック・ロング」も用意して、その進化を直接比較することにした。

最初に2台の車名を聞いたときに、どちらもV8だと勘違いをして、クロスプレーン対フラットプレーンというクランクシャフトの違いによるエンジンフィールの違いを試せる! と色めきだってしまった。だが実際には新しいS580は4.0リッターV8+ISG、つまりマイルドハイブリッド(MHEV)であるのに対し、S580 eは3.0リッターの直6+プラグインハイブリッド(PHEV)という陣容だったのである。

大幅な進化を遂げたインフォテイメントシステム

それでもプラットフォームやAWDといった基本は同じなので「後期型でアゲてくるメルセデス」の感動は見つけられるはず(?)。まずはS580 eから味見することにした。

当たり前だが、S580 eはこの上なく静かに走りはじめる。バッテリーが満たされていれば100kmのEV走行が可能で、最初は積極的にモーターで走る設定になっているのだ。低速走行の印象はしっとりとしていて「慇懃」としか言いようがない。ごく普通に運転するだけで、まるで後ろにVIPを乗せているような行儀のよい走りになるのである。

一方高速道路では掛け値なしのハイパフォーマンスを見せつけられた。タイヤと路面の接触は速度に関係なくジェントルなままなので、乗り手の心拍数を上げることもない。広いグラスエリアのおかげでスピードがゆっくり感じられるということもあるだろう。システム総計で510PSもあるPHEVのパワートレインだが、主張は少な目でシャシーを際立たせようとしている感じがよくわかる。ショーファーモデルに引き締まった走りは期待できないものだが、アウトバーンでもトップレベル一線級のパフォーマンス発揮が求められるメルセデスの旗艦にそんなエクスキューズは許されないのだろう。

極上の前後シートは甲乙つけ難し

今回のS580 eは前期型といってもわずか2000kmしか走っていない極上の個体だ。このため「古さはどこにある?」といった意地悪な気持ちをもって試乗したにもかかわらず、小さな発見すらなかった。「これが新型です」と言われて乗せられたら信じて疑わないレベルだ。

間髪を入れずS580に乗り換えることにする。新しいフロントマスクは見ての通りで、新型は大型化されたグリルとヘッドランプを結ぶ隈取りが入っている。

グリルの中にも前後のランプにもスリーポインテッドスター模様が入れられているが、辛うじてコンサバに踏み留まっていると感じた。個人的には今年に入って退任したデザインチーフ、ゴードン・ワグナーのアピール強めのデザインが苦手なのだけれど、今回の新型Sクラスはギリギリ威厳を保っていると思う。

フラットプレーンクランクを新採用した新型4.0リッターV8エンジン

一方インテリアはMBUXスーパースクリーンが標準で備わっている。メーターナセルこそ独立しているが、ダッシュボード全体は今どきの他のメルセデスと同じく光沢がある1枚のパネルで構成されているのだ。これと比べると前期型はダッシュ中央に縦型の12.8インチのディスプレイが独立していて端正な感じ。筆者のような「W124はヨカッタ」とか言っている人には、今のところ前期型の方がウケがいいのではないか。

走りはじめると、V8のビートがいきなりちゃんと伝わってくる感じがPHEVとははっきりと異なっていた。またエアサスが若干突っ張るような感じなのは、おそらくまだアタリが付いていないからだろう。

だが走行モードを切り替えても、首都高を少し飛ばしてみたりしても伝わってくるのはエンジンの違いがほとんど。例えば4代目Cクラス(W205)のマイチェンの時には乗り味に隔世の感があって「メルセデスはやっぱり後期型だな」という事実を思い知ったのだが、今回はそんな感じがほとんどしなかった。

では原稿をどうやってオトすのか? となって再びリリースを読み込むと、デザインとデジタル、そして標準装備という3つのキーワードが浮かび上がってきた。中でもデジタル、つまりオペレーティングシステムであるMB・OSを搭載することが改変の主目的であることは明らか。そうなればMBUXスーパースクリーンの標準装備にも納得がいく。

すでに高い完成度を誇る旧型S580 e

圧倒的な品質、走りの進化を遂げた新型メルセデス・ベンツSクラス。メルセデスファナティックにとって最も気になるのは旧型との進化の度合いだろう。そこで今回は、PHVモデルの先代S580 e 4マティック・ロングを持ち込み、その“進化の差分”をじっくり確かめてみた。
クルマとしての基本性能は卓越したレベルにある旧型Sクラス。最も伸びしろを感じたのはデザインとMBUXスーパースクリーンをはじめとするデジタルの部分だ。

今にはじまった話ではないが、クルマとしての基本性能はかなりのところに達しており、今伸びしろがあるのは家電的な部分。そんな現実を新旧のSクラスに触れたことでまざまざと見せられた気がした。

今回ポジティブに感じたのは内燃機へのちょっとした回帰だろうか。なにしろ現行Sクラスが上陸した2020年代の初め頃は「これがマイチェンする頃には内燃機は廃止されている」と誰もが思い込んでいたのだから。そう考えれば、あまり電気が主張しない新型のS580は歓迎すべき旗艦といえるのである。

REPORT/吉田拓生(Takuo YOSHIDA)
PHOTO/小林邦寿(Kunihisa KOBAYASHI)
MAGAZINE/GENROQ 2026年12月号

SPECIFICATIONS

メルセデス・ベンツS580 4マティック・ロング(ISG)

ボディサイズ:全長5315 全幅1930 全高1505mm
ホイールベース:3215mm
車両重量:2340kg
エンジンタイプ:V型8気筒DOHCターボ
総排気量:3982cc
最高出力:395kW(537PS)/5500-6100rpm
最大トルク:750Nm(76.5kgm)/2500-4500rpm
モーター最高出力:17kW(23PS)/1500-3000rpm
システム最大トルク:205Nm(20.9kgm)/0-750rpm
トランスミッション:9速AT
駆動方式:AWD
サスペンション:前ダブルウィッシュボーン 後マルチリンク
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
車両本体価格:2365万円

メルセデス・ベンツS580 e 4マティック・ロング(旧モデル)

ボディサイズ:全長5290 全幅1930 全高1505mm
ホイールベース:3215mm
車両重量:2490kg
エンジンタイプ:直列6気筒DOHCターボ
総排気量:2996cc
最高出力:270kW(367PS)/5500-6100rpm
最大トルク:500Nm(51.0kgm)/1600-4500rpm
モーター最高出力:110kW(150PS)
システム最大トルク:440Nm(44.9kgm)
トランスミッション:9速AT
駆動方式:AWD
サスペンション:前ダブルウィッシュボーン 後マルチリンク
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
車両本体価格:──

【問い合わせ】
メルセデス・コール
TEL 0120-190-610
https://www.mercedes-benz.co.jp/

ブランドのフラッグシップとして、長年にわたり高級セダンの基準を築いてきたメルセデス・ベンツ Sクラス。

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「メルセデス・ベンツ Sクラス」は、同ブランドのフラッグシップとして長年にわたり高級セダンの基準を築いてきたモデルである。今年1月にビッグマイナーチェンジがワールドプレミアされたが、依然としてW223型は最新の先進運転支援システム(ADAS)やデジタル技術を採用し、ラグジュアリーサルーンの新たな基準を提示している。今回はメルセデス・ベンツ Sクラスの特徴や性能、価格などを詳しく解説する。