追憶の大阪環状。
実測880kgの軽量快速マシン!
別に派手なカラーリングが施されているわけではない。それでもアウトレットダクトが刻まれたカーボンボンネットや、あからさまにワイドなフロントフェンダーから、只者ではない雰囲気がビンビン伝わってくる。


室内に目を移す。ダッシュボードとドアトリムこそかろうじて残されているけど、アンダーコートは完全に剝がされ、クロスしたサイドバーを持つロールケージがA/Bピラーにガッチリと溶接留め。そこに装着されるのは二脚のフルバケだ。ラゲッジスペースにはATL製安全タンクとコレクタータンクを設置している。
ベースとなったEG6シビックSiR/同Ⅱは1991年に登場。1.6L直4DOHC+VTECのB16Aは、先代EF9に対してプラス10ps&0.5kgmとなる170ps&16.0kgmを発揮した。車重は40kgほど増えたけど、それでもカタログ値1050~1090kgと今では信じられない軽さ。さらに、ホイールベースの延長(2500→2570mm)により当時はFF屈指のコーナリングマシンとして君臨し、いまだに多くのファンを抱える。


取材車両は定番とも言えるB18C換装仕様。アスランでオーバーホール作業が行なわれ、戸田レーシングのハイコンプ鍛造ピストンとBカムが組み込まれる。エキマニはGフォースオリジナル45φを装着。制御はアスランオリジナルECUが担当し、レブリミットは9000rpmに設定される。また、エンジンマウントはトライボックスのジュラコン製。アクセル操作に対するエンジンの振れを抑える。
駆動系は、まずエクセディメタルクラッチを組んで強化。切れ目ない加速を実現するクロスミッションと、トラクション性能を確保する機械式LSDにはOS技研をセレクトする。

また、足回りにはアスランがセッティングを施したスピリット車高調をセット。アーム類は純正ながら、ピロボール化が行なわれている。
ホイールは15インチのレイズボルクレーシングのTE37。フロント8J+27、リヤ7J+30で225/50、195/55サイズのアドバンA050が組み合わされる。また、フロントブレーキはエンドレスチビ6キャリパーで容量アップを実現。

さらに、ボディメイクにも注目。フルスポット増しとピラー留めロールケージで剛性を高めつつ、カーボンルーフの導入と、フロントを除くウインドウ5面のアクリル化で軽量化も追求。車重は、ノーマルに対して150kg以上の減となる実測880kgまで絞り込まれているのだ。

「タイムを出すならEF。バランスに優れていてクセがないのがEGだと思います。ちなみに、ホイールベースがさらに長くなったEKは動きがダルく、コーナーで巻き込むんですよ」とはオーナー。EF以降のシビックを乗り継いできただけでなく、取材したEG6以外にDC2とDC5インテグラタイプRも所有するオーナーだけに、その言葉は説得力も十分だ。
主戦場はサーキットに移ったものの、ホンダ一筋のオーナーが乗り続けるEG6。そこには、今でも大阪環状の記憶が静かに息づいている。
