手頃な価格と使いやすそうな車体サイズ、レトロテイストのスクランブラースタイルなど、様々な魅力を詰め込んだモデルが登場した。中国のクインキーが生産しているBIGFOOT 250スクランブラーだ。今回はフラットダートと市街地、ワインディングでその実力を検証してみることにした。
中国の老舗メーカーが作るスクランブラー
BIGFOOT 250スクランブラーは、51万9200円という価格で販売されるスクランブラーである。一部の日本人の間には、こういった中国の低価格モデルに対して「安かろう悪かろう」的なイメージがあるはず。確かに中国メーカーには技術力などにバラツキがあるが、クインキーは確かなバックボーンがある老舗メーカーである。
1956年に中国・山東省済南市で誕生し、中国初の民生用モーターサイクルを開発。1980年代にはスズキの製造技術と設備を導入し、小排気量モデルを中心に生産技術を高め、1990年代にはスズキとの合弁会社を設立した。その後もプジョー・モトシクルや韓国KR Motors/HYOSUNGとの合弁事業を展開して事業を拡大してきた。高い技術力と生産能力を持っている。
クインキーは2010年代の後半から復古車、つまりレトロイメージのモデルを生産するようになり、2020年代に入ってからスクランブラータイプのバイクをリリースした。BIGFOOT 250スクランブラーは、その流れの中で誕生したモデルだ。
ベースとなっているのは同社のCLASSIC 250。前後ホイールを変えてタンクのニーパッドを追加したくらいなのかと思いきや、フロントフォークやリアショックは別物。ステップまわりのデザインも違い、マフラーも変わっている。段付きのシートが装着されているなど、細かい部分を見ていくと変更点が多いことに気づく。
前19インチ/後18インチのスポークホイールとブロックパターンタイヤを採用し、街乗りからツーリング、ちょっとしたラフロードまで楽しめるスタイルに仕上げられている。前後ディスクブレーキはABS付きだが、オフロード走行時にはABSをオフにするスイッチも装備されている。
エンジンは基本的にCLASSIC 250と同じ空冷SOHC2バルブ単気筒で、最高出力は17.7PS。ストリートを考えた特性だが、オフロード走行を楽しむ場合にも扱いやすい。スズキの単気筒エンジンの流れを汲むこともあり、完成度や信頼性は高い。
全長×全幅×全高は2,060×850×1,150mm。ホイールベースは1,380mmで、最低地上高は240mmを確保している。
ベースモデルとなったCLASSIC 250に関する記事も掲載しているので参考にしていただきたい。
CLASSIC 250のレポートはこちら
街やツーリングで扱いやすいエンジン
エンジンの特性は、基本的にベースモデルとなったCLASSIC 250とほとんど変わらない。低中速がとても使いやすい特性で、守備範囲が広いから、ツーリングをするくらいのペースならシフトチェンジをサボって、多少高めのギアのままスロットルを開けても力強く加速してくれる。タイトなコーナーの続くキツい上り坂で2000rpmくらいまで落としてみても、そこからスロットルを開ければ平気な顔をして加速してくれるくらいに粘り強い。ノンビリ走っているときは単気筒の鼓動感が心地良くて排気音はとてもよく消音されている。
基本的には低中速型のエンジンだが、6000rpmを超えて回しても苦しげな感じにはならない。8500rpmくらいで回転の上昇は止まるので、高回転をキープしてスポーティに走りたい場合は6000~8000rpmくらいを使うことになる。6000rpmを超えるとハンドルやタンクの振動が若干増えてくるが、このクラスのシングルとしては一般的なレベルか、逆に少ないくらいだろう。
秀逸なハンドリング
BIGFOOT 250スクランブラーに乗って、素晴らしいと感じたのはハンドリングである。フロントホイールが19インチになったことで、CLASSIC 250とは違った楽しさが生まれている。俊敏かつ軽快に車体がバンクし、低速で深くバンクさせたときもステアリングが内側に切れ込むようなことがなく、極めてニュートラルな感じで旋回していく。
加えて旋回中もフロントの安定感が高いので、ワインディングは非常に楽しい。装着されているティムソンのブロックタイヤはオンロードのグリップ感も良好。高速で走行しているときもブロックからのノイズはほとんど聞こえなかった。
サスペンションは前後ともあまりよく動いている感じではなく、乗り心地が良いという感じではない。もっとも、通常のオンロードであれば特に乗り心地が悪いとまで感じるようなレベルではなく、大きめの路面のギャップなどがあったときに、若干尻を突き上げるようなショックを感じる程度だ。逆にこれくらいの動きのほうが姿勢変化が少なくて、ワインディングなどでは使いやすいような感じもする。
ブレーキはとてもよく効いて初期のタッチも良好。ABSは作動させると若干のキックバックとパルスを感じるが、効きは良好かつ安定していた。オンロードではタイヤのブロックが変形する音を立てることがあるが、車体の姿勢を崩してしまうようなことは一度もなかった。ABSを作動させながら、舗装路から落ち葉の積もった場所に突っ込んで行くようなテストを何度か行ったが、瞬時に対応してくれたから緊急時には強い味方になることだろう。
比較的フラットな路面の林道では、低いシート高と低重心、低中速から扱いやすいエンジンのおかげで非常に走りやすかった。締まった土質のダートであればタイヤのグリップも良好。大きめのギャップがあるとそこそこのショックは感じるし、元気に走ろうとしたときは「もう少しパワーがあれば」と感じることもあったけれど、250ccのスクランブラーという性格を考えれば、十分に納得できるレベル。ツーリング先で出てきた林道を走るくらいだったら問題なく楽しめることだろう。
今回BIGFOOT 250スクランブラーに乗ってみて、このバイクは自分自身のセカンドバイクとしても良いなあ、と思った。何と言ってもこの佇まいと価格は魅力だ。気になる点がないわけではないけれど、エンジンと車体が完成されているから、後からカスタムを楽しむと考えれば良い。この原稿を書きながら、シートやリアショックを少し変えたらどんな感じになるだろうと妄想してしまったくらいである。
ポジション&足つき(身長178cm 体重78kg)
ポジションは自然だが、シートが薄くて硬い感じがする。車体サイズや154kgの車重は、このクラスとしては平均的だ。
シート高は805mm。前後タイヤが大きくなり、サスペンションが変わっているため、足つきはCLASSIC 250に比べると良くない。
テスターの場合、両足をつくと膝が軽く曲がる程度。足をつくとふくらはぎの位置にステップがくるので、これも足つき性を悪く感じさせる要因になっている。
ディテール解説

















主要諸元
●エンジン
| エンジン形式 | 空冷4ストローク単気筒 |
|---|---|
| バルブ方式 | SOHC 2バルブ |
| 総排気量 | 249cc |
| ボア x ストローク | 72.0mm x 61.2mm |
| 圧縮比 | 9.2 : 1 |
| 最高出力 | 13kW(17.7PS)@7,500rpm |
| 最大トルク | 18Nm(1.84kgf.m)@6,000rpm |
| 燃料供給方式 | フューエルインジェクション |
| 始動方式 | エレクトリックスターター |
| 潤滑方式 | ウエットサンプ |
| エンジンオイル容量 | 1.4リットル |
| 使用燃料 | レギュラーガソリン |
●トランスミッション
| クラッチ形式 | 湿式多板 |
|---|---|
| トランスミッション形式 | 5段リターン |
| ファイナルドライブ | チェーン |
| 1次 / 2次減速比 | 3.24 / 3.00 |
| ギアレシオ | 2.64 / 1.69 / 1.20/ 0.95 / 0.82 |
●シャシー
| フレーム形式 | ダイヤモンド |
|---|---|
| キャスター | 29° |
| サスペンション フロント | テレスコピック(φ41mm正立フォーク) |
| サスペンション リア | スイングアーム(ツインショック) |
| ブレーキ フロント | φ295mmシングルディスク / ピンスライド2POTキャリパー(ABS) |
| ブレーキ リア | φ210mmシングルディスク / ピンスライド1POTキャリパー(ABS) |
| タイヤサイズ フロント | 110/90-19 |
| タイヤサイズ リア | 130/80-18 |
| ホイールサイズ フロント | 19 × 2.50 |
| ホイールサイズ リア | 18 × 2.50 |
●寸法・重量
| 全長 x 全幅 x 全高 | 2,060mm x 850mm x 1,150mm |
|---|---|
| ホイールベース | 1,380mm |
| 最低地上高 | 240mm |
| シート高 | 805mm |
| 車両重量 | 154kg |
| 燃料タンク容量 | 14L |
| 乗車定員 | 2名 |
●価格
| メーカー希望小売価格 | 519,200円 (消費税抜472,000円) |
|---|















