自動車関連の文筆家として
周りにAIが溢れている。知識のフィードバックという意味ではこれほど便利な装置はない。なにを聞いてもそれが過去に、どんな形式であれ、データ化されていたならば、瞬時に応えてくれる。なんなら相談でもできる。アイデアをブラッシュアップしたい時の相談相手としては、AIの種類次第だが、本当に有効だ。ところで、そんな時代に私のような自動車関連の文筆家がこれからどのようにして糊口を凌いでいくか、まことに大きな問題である。知識で勝負することはできない。新型車の上っ面な情報など、発表された瞬間にAIの方がくわしくコンパクトに解説してくれる。我々は仕事柄、開発者であったりデザイナーであったりと生の声を吸い上げることもできるし、実物の見た目や質感を詳しく報告することもできる。とはいえ、それとて情報としてひとたび公開してしまうと、それでおしまいだ。結局なにが残るか。経験から得た、データ化できないような何か、たとえば“勘”のようなものしか残らない。新型車を見て、触れて、乗って、すぐに勘を働かせて“良し悪し”を計る技量である。
2026年6月第2週
2026年6月6日(土)曇り

朝から「メルセデス・ベンツ EQS」で名古屋へ向かう。名駅で同業の渡辺敏史君をピックアップし、トヨタ博物館へ。現在、トヨ博では「熱狂を生む技術者たち-’80-’90年代 日本のクルマとオートバイ-」という企画展が催されているのだが(7月12日まで)、この日は「マツダ FD RX-7」や「ND ロードスター」の開発を陣頭指揮した山本修弘さんと博物館館長で「カムリ」や「レクサス ES」などの開発責任者だった榊原康裕さんのトークショーがあった。FDとNDのオーナーであるナベさんとしては是非とも聴きに行かねばならない、というわけで私もいっちょかみしたという次第。初のエンジニア出身館長だけあって、山本氏の面白い開発秘話を色々引き出してくれていた。昔話はやっぱり楽しい。終了後、ともに京都へ。夜はお気に入りのおばんざい屋さんで一献。
2026年6月7日(日)雨

丹波ワイナリーで毎年恒例のカーイベント「Ciao 2026 From Italy & AMERICA with love」に参加。地元のフィアット、アルファロメオとジープを販売する大黒商会主催のイベントだ。渡辺敏史君とのトークショーで会場を盛り上げるも、雨足は強まるばかり。それでも望外の来場者に恵まれて、“飲まない”居酒屋トークをひとしきり。この日のハイライトはこれまた恒例の1円オークション。今年の出品車両はなんと「アバルト 695 トリブートフェラーリ」だった。最低落札価格はなし、だったので、もし入札価格が伸びなかったら自分で競り落とそうと思っていたところ、これまた望外に競り上がり、なんと235万円で落札御礼!それでもマーケットで買うことを思えば安かったけれど。夕方、友人が京都で家を買ったというのでお邪魔し、そのままディナー。月が変わってメニューも一新された割烹「せん田」さんへ。
2026年6月8日(月)曇り

午前中はEQSで西宮市へ。会計士さんから決算の報告を受ける。京都に戻り、クルマを置いて奈良へ。企画中のイベント打ち合わせのため、高校時代に毎朝降りていた近鉄八木駅で焼き鳥の会食。濃厚な打ち合わせに今年も奈良が面白くなりそうだと確信する。それにしても橿原市の焼き鳥は安くて旨い。
2026年6月9日(火)曇り

朝からEQSで東へ。この日も原稿執筆を抱えながらの走行だ。450kmなど満充電なら無給電で走り切る実力の持ち主というのに、2度ほど無理やり充電休憩を取って原稿を書いては送りつつ東京へと向かった。箱根でホンダの試乗会。そのまま横浜へ。某誌の若手編集者たちとお気に入りのカジュアルイタリアンで会食。横浜泊。
2026年6月10日(水)曇り

午前中はホテルで原稿執筆。午後から都内へ。定宿にチェックイン後、再びパソコンに向かう。久しぶりに26日売りで忙しい〆切週だった。海外出張が続いた後くらい、忙しくなってもらわなければ困るというもの。オールドスタイルゆえ、原稿に追われるうちが華だと喜ばねばならない。夜は五反田で見つけた旨くて安い焼肉屋で、また別の若手の編集者と。都内泊。
2026年6月11日(木)曇り


早朝から〆切に挑むも、新型「メルセデス・ベンツ Sクラス」発表会には間に合わず。それでも個別のプレゼンテーション時間には馳せ参じる。マイナーチェンジとはいえ、かなり大掛かりで、見た目に以前のSクラスらしい風格も戻ってきた。その後、来年の一大イベントに向けた打ち合わせを2件済ませてホテルへ。夜まで再び原稿を執筆。ディナーは友人たちと共に外食産業のドン中島さんが直々に提供する鰻と鮑と鼈に舌鼓を打った。精がついたはずも、原稿疲れかホテルに戻るなりベッドへ爆沈ダイブ。
2026年6月12日(金)晴れ
早起きして原稿を何本か仕上げる。今月で日本向けの生産も終わる「マクラーレン 750S スパイダー」を借り出し、妙高高原へ。彼の地で友人が週末にヒルクライムを開催して今年で11年。一度くらいは顔を出しておかなきゃ、と合間を縫って行ってみることに。舞台はアパリゾート周辺の県道。なかなか面白いコースだが、マクラーレンで試走してみればたぬきが出てきて危うく轢きかけた。後から村の人に聞くと、最近は熊の気配もあるらしい。それ、早く言ってよ、と驚く。だって山中の道の途中で何度かクルマから降りて無警戒無防備に写真撮ったりしていたからさ……。
2026 6/6 〜2026 6/12
走行距離 約1400km 試乗車数 2台
2025 11/1〜2026 6/12累計
走行距離 約3万6200km 試乗車台数 149台

